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医療従事者全体の働き方改革を診療報酬でもサポート、手術等の時間外加算見直し、看護補助の新評価など―中医協総会(1)

2022.1.28.(金)

2022年度診療報酬改定について、中央社会保険医療協議会は個別改定項目(いわゆる短冊)論議に入り、まさに最終局面を迎えています(1月26日に行われた看護必要度見直しの記事はこちら、急性期入院医療・高度急性期入院医療に関する記事はこちら、回復期・慢性期入院医療に関する記事はこちら、外来医療等に関する記事はこちら、在宅医療や訪問看護に関する記事はこちら、オンライン診療等に関する記事はこちら)。

1月28日の中央社会保険医療協議会・総会では、短冊のうち(II)医師等の働き方改革等の推進(III)不妊治療、がん対策、認知症対策など(IV)効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上―を議論しました。本稿では「医師等の働き方改革推進」に焦点を合わせます。

●短冊はこちら

地域医療体制確保加算、母子医療センターやNICU設置病院などでも算定可能に

2024年4月から、勤務医に新たな時間外労働規制(原則となるA水準では年間960時間以内、救急医療などのB水準・研修医などのC水準などでは例外的に同じく1860時間以内)が適用されるため「医師の働き方改革」が急務となっています。その中で注目されるのが「医師は医師免許取得者でなければ実施できない業務に集中し、他の業務は他職種に移管する」というタスクシフティングです。ただし、業務移管される他職種の負担も考慮しなければならず、結果「医療従事者のすべてで働き方改革を進める」ことが求められます。

医師働き方改革の全体像(中医協総会1 210721)



その際に重要となるのは「医療の質を向上させるためにタスクシフティングを行う」という視点です(単なる「忙しさからの解放」にとどまってはいけない)。例えば薬剤関連業務については「薬剤の専門家である薬剤師」へ業務移管することで医療の質が向上すると期待されるため、「医師からの業務移管」にとどまらず、「看護師等の他職種からの業務移管」も検討することが重要となります。

2022年度改定では、こうした働き方改革を診療報酬でサポートするために、大きく(1)地域医療体制確保加算の見直し(2)医療従事者の労働環境改善等(3)タスクシフティング・タスクシェアリング(4)ICT利活用など―という4本柱が立てられました(関連記事はこちらこちら)。



まず(1)の【地域医療体制確保加算】は、医師働き方改革をサポートするために2020年度の前回改定で新設されました。まず「勤務医の負担が極めて大きいと考えられる救急医療に力を入れている病院」において、医師の業務負担軽減に向けた取り組みを進めてもらう必要があることから、▼年間2000件以上の救急搬送患者を受け入れていること▼勤務医の負担軽減・処遇改善に積極的に取り組んでいること―などの施設基準が設定されています。

ただし、「救急搬送受け入れ2000件」をクリアできない病院でも「極めて勤務医が多忙である」との実態を踏まえ、2022年度改定では▼救急搬送受け入れ件数が一定以上で、【ハイリスク分娩管理加算】・【小児特定集中治療率管理料】・【新生児特定集中治療室】のいずれかを届け出ている病院▼総合周産期母子医療センター▼地域周産期母子医療センター―についても取得対象を広げることとなりました。

また、加算の要件として「勤務医の負担軽減・処遇改善計画」を作成することなどが求められていますが、医師働き方改革論議の中で「医師労働時間短縮計画作成ガイドライン」が固められたことを受け、当該要件を「『医師労働時間短縮計画作成ガイドライン』に基づいて『医師労働時間短縮計画』を作成することなど」に改めることになります。B水準・C水準指定を目指す病院においては「『医師労働時間短縮計画作成ガイドライン』に基づいた『医師労働時間短縮計画』の作成」が必須となるため、診療報酬の要件もこれに揃えたものです(病院における事務負担の軽減)。

手術等の時間外加算1、「予定手術前の当直」に加え「連続当直」も算定要件に組み込む

また(2)の医療従事者の労働環境改善等については、次のような見直しが行われます。

(a)手術・処置の【休日加算1】、【時間外加算1】、【深夜加算1】について次のような見直しを行う
▽記録要件について、「予定手術前日の当直等」に加えて、「2日以上の連続当直」を加える
▽当直要件(現在、当直医が6人以上の場合には予定手術前日当直制限が通常の12日から24日に緩和される)について、「予定手術前日の当直が●日以内」かつ「2日以上の連続当直が年●日以内」に改める

(b)夜間の看護・看護補助配置強化を評価する加算について点数引き上げを行う
【対象加算】
▼夜間看護加算(療養病棟)
▼看護補助加算(障害者施設等)
▼夜間看護配置加算(有床診療所)
▼夜間急性期看護補助体制加算(30対1、50対1、100対1)(急性期看護補助体制加算の上乗せ加算)
▼看護職員夜間配置加算(12対1、16対1)
▼夜間75対1看護補助加算
▼看護職員夜間配置加算(地域包括ケア病棟)
▼看護職員夜間配置加算(精神科救急)
▼看護職員夜間(精神科救急、合併症入院料)

(c)夜間看護体制加算(急性期看護補助体制加算)等の施設基準における「夜間における看護業務の負担軽減に資する業務管理等に関する項目」について、「11時間以上の勤務間隔の確保」または「連続する夜勤の回数が2回以下」のいずれかを満たすことを必須化する
【対象加算】
▼夜間看護体制加算(急性期看護補助体制加算)
▼夜間看護体制加算(障害者施設等)
▼看護職員夜間配置加算(12対1、16対1)
▼夜間看護体制加算(看護補助加算)

(d)看護職員夜間配置加算(精神科救急入院料、精神科救急・合併症入院料)の施設基準における「夜間における看護業務の負担軽減に資する業務管理等に関する項目」について、満たすべき項目数を「2項目以上」から「3項目以上」に厳格化する

医師事務作業補助者では経験年数要件を設定、看護補助者への研修実施等を新たに評価

他方、(3)タスクシフティング・タスクシェアリングに関しては、次のような見直し項目が掲げられました。

▽【医師事務作業補助体制加算1】について、「3年以上の勤務経験を有する医師事務作業補助者が、それぞれの配置区分ごとに5割以上配置されている」ことを要件化し、点数を引き上げる

▽【精神科リエゾンチーム加算】【栄養サポートチーム加算】【褥瘡ハイリスク患者ケア加算】【呼吸ケアチーム加算】について「専門的な研修を受けた者」の配置が要件となっているが、そこに「特定行為研修を修了した看護師」を組み込む

▽【病棟薬剤業務実施加算】について、【小児入院医療管理料】算定病棟でも算定可能とする

▽手術室の薬剤師が病棟の薬剤師と薬学的管理を連携して実施することを、新たに【周術期薬剤管理加算】(【麻酔管理料(I)の加算】として評価する

▽看護補助者の活用を推進するため、看護補助者との業務分担・協働に関する看護職員を対象とした研修実施等、看護補助者の活用に係る十分な体制を整備する病棟は、新たに【看護補助体制充実加算】として評価する
【算定対象】
▼療養病棟
▼障害者施設等
▼急性期看護補助体制加算の算定病棟
▼看護補助加算の算定病棟
▼地域包括ケア病棟



最後の【看護補助体制充実加算】について、厚労省保険局医療課の井内努課長は「看護補助活用にかかる所定研修を終えた看護職員の配置、病棟のすべての看護職員への看護補助者へのタスクシフティングにかかる院内研修実施、看護補助者への日常生活支援にかかる業務手順・留意点に関するマニュアル整備や研修実施などを施設基準・要件に盛り込むことを考えている」と説明。

関連して吉川久美子専門委員(日本看護協会常任理事)は「看護補助者へのタスクシフティングに関する研修プログラム(補助者の役割・責任、医療安全、感染管理、一時救命処置、食事解除・移送・清拭・排泄介助など)を作成しており、これを踏まえた研修を院内実施することで補助者の院内定着が進むことがわかっている。質の高い看護補助者の育成・継続が待ったなしであり、2022年度改定での評価が必要である」と、また診療側の池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長、福井県医師会長)も「介護施設の介護従事者と、病院の看護補助者との処遇格差を埋めるために、看護補助配置の評価充実が急務である」と訴えています。

一方、支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は「質向上の担保がなされない先行評価である」と、当初難色を示しましたが、「質の向上に向けた研修等が着実に実施されること」「点数を低めに抑えること」を条件に、【看護補助体制充実加算】の新設を了承しています。

入退院支援加算等で求められるカンファレンスなど「オンラインでの実施」も可能に

また(4)のICT利活用は、人材確保が困難な医療現場においても不可欠な要素です。2022年度診療報酬改定では次のようなサポート見直しが行われます。

▽【入退院支援加算】、【感染対策向上加算】(感染防止対策加算を改組)、【退院時共同指導料1・2】、【介護支援等連携指導料】、【退院時共同指導加算】(訪問看護療養費)において、カンファレンスなどを「ビデオ通話システム等を用いてオンラインで実施する」ことを認める

▽「研修終了証」の添付義務廃止、レセプト摘要欄の選択式拡大など事務負担軽減を進める

▽【診療録管理体制加算】に係る定例報告において、▼電子カルテの導入状況▼HL7 FHIR(電子カルテ情報を共有等するための標準規格)の導入状況―に関する報告も求めることとする(電子カルテの標準化に向けた取り組みを推進するため、関連記事はこちら



さまざまな角度から「医療従事者の負担軽減」が進むことに期待が集まります。



なおGem Medでは改定セミナー動画も準備しております。是非、あわせてご活用ください。



【これまでの2022年度改定関連記事】
◆議論の整理(改定項目一覧)に関する記事はこちら
◆入院医療の全体に関する記事はこちら(入院医療分科会の最終とりまとめ)こちら(入院医療分科会の中間とりまとめを受けた中医協論議)こちら(入院医療分科会の中間とりまとめ)こちら(入院総論)
◆急性期入院医療に関する記事はこちら(新指標5ほか)こちら(看護必要度8)こちら(看護必要度7)こちら(看護必要度6)こちら(新指標4)こちら(新指標3、重症患者対応)こちら(看護必要度5)こちら(看護必要度4)こちら(看護必要度3)こちら(新入院指標2)こちら(看護必要度2)こちら(看護必要度1)こちら(新入院指標1)
◆DPCに関する記事はこちらこちらこちら
◆ICU等に関する記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちら
◆地域包括ケア病棟に関する記事はこちらこちらこちらこちらこちら
◆回復期リハビリテーション病棟に関する記事はこちらこちらこちらこちらこちら
◆慢性期入院医療に関する記事はこちらこちらこちらこちらこちら
◆入退院支援の促進などに関する記事はこちらこちら
◆救急医療管理加算に関する記事はこちらこちらこちら
◆短期滞在手術等基本料に関する記事はこちらこちら
◆外来医療に関する記事はこちらこちらこちらこちらこちら
◆在宅医療・訪問看護に関する記事はこちらこちら(訪問看護)こちら(小児在宅等)こちら(訪問看護)こちらこちら
◆オンライン診療に関する記事はこちらこちら
◆新型コロナウイルス感染症を含めた感染症対策に関する記事はこちらこちら
◆医療従事者の働き方改革サポートに関する記事はこちらこちら
◆がん対策サポートに関する記事はこちらこちら
◆難病・アレルギー疾患対策サポートに関する記事はこちら
◆認知症を含めた精神医療に関する記事はこちらこちら
◆リハビリに関する記事はこちら
◆小児医療・周産期医療に関する記事はこちら
◆医療安全対策に関する記事はこちら
◆透析医療に関する記事はこちら
◆個別疾患管理等に関する記事はこちらこちら
◆新規医療技術に関する記事はこちら
◆データ提出等に関する記事はこちらこちら
◆調剤に関する記事はこちらこちらこちら
◆後発医薬品使用促進・薬剤使用適正化、不妊治療技術に関する記事はこちらこちらこちらこちら
◆医療経済実態調査(第23回調査)結果に関する記事はこちら
◆消費税対応の是非に関する記事はこちら
◆薬価・材料価格調査に関する記事はこちら
◆改定率に関する記事はこちら
◆基本方針策定論議に関する記事はこちら(医療部会5)こちら(医療保険部会5)こちら(医療保険部会4)こちら(医療部会4)こちら(医療部会3)こちら(医療保険部会3)こちら(医療部会2)こちら(医療保険部会2)こちら(医療部会1)こちら(医療保険部会1)
●薬価制度改革に関する記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちら
●保険医療材料制度改革に関する記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちら
●費用対効果評価制度改革に関する記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちら
●公聴会に関する記事はこちら



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