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プログラム医療機器、有用性や医師負担軽減効果踏まえた施設基準緩和等の考え方明確化―中医協・材料専門部会

2021.11.17.(水)

疾病の診断・治療を目的としたプログラムの開発により、アプリや人工知能(AI)を使用したプログラム医療機器が続々と登場している。こうしたプログラム医療機器について、有益性などをどのような観点で判断し、公的価格(保険医療材料価格)や診療報酬(技術料)でどのように評価していくのかを整理・明確化する―。

こうした議論が、11月12日に開催された中央社会保険医療協議会の保険医療材料専門部会で行われました。評価の明確化により、優れたプログラム医療機器の開発が進むことが期待されます。

機器導入で医師の負担が軽減されるのであれば、技術料の施設基準を緩和する考えを明確化

2022年度には診療報酬改定にあわせて、薬価制度改革・材料改革制度改革・費用対効果評価制度改革も行われます。材料専門部会では▼保険医療材料専門組織(材料価格算定ルールに基づいて、個別医療機器の価格設定などを行う中医協の下部組織)からの改革案材料・機器メーカー等の意見―を踏まえて、具体的な見直し方向に関する論議を続けています。11月12日の材料専門部会には、厚生労働省保険局医療課医療技術評価推進室の中田勝己室長から、第3弾として(1)プログラム医療機器の評価の在り方(2)医療機器・材料の安定供給確保—の2論点が提示されました(第1弾の見直し論議に関する記事はこちら、第2弾の見直し論議に関する記事はこちら)。



まず(1)のプログラム医療機器については、冒頭に述べたように様々な製品が開発され、すでに薬事承認・保険適用も進んでいます。この点について中田医療技術評価推進室長は、海外の状況や業界意見等を踏まえて「保険診療における評価の明確化」を図ってはどうかとの考えを提示しました。

プログラム医療機器は、▼治療・診断プログラムの開発(メーカー) → ▼医療機器に該当するか否かの判断(厚労省や医薬品医療機器総合機構(PMDA)) → ▼医療機器に該当する場合には臨床試験等を実施(メーカー) → ▼薬事承認・認証(薬事・食品衛生審議会) → ▼保険適用(中央社会保険医療協議会)—という流れで保険診療に供されます。

その際に、(A)医療機器に該当するか否かの判断基準を明確化する(B)材料価格を設定するか、技術料として評価するかの基準を明確化する(C)加算として評価するか否かの基準を明確化する(D)医療現場の負担軽減に資するものであれば「施設基準への判定を行う」旨などの考えを明確化する―ことで、開発するメーカーサイドの予見可能性を高められると期待されるのです。

プログラム医療機器の評価イメージ(中医協・材料専門部会1 211111)



中田医療技術評価推進室長は例を挙げて(A)から(D)のイメージを具体化しています。

例えば、「X線画像の読影補助を行うプログラム」を例にとりましょう。その目的が「X線画像の医師による読影を補助し、治療方針等の決定に寄与する」ものであり、(A)において「医療機器である」と判断されることになります。一方で、例えば「医師が読影した内容をカルテ等に反映するプログラム」の場合には、「データの加工・処理を行わない(表示、保管、転送のみを行う)」「利用者への情報提供を目的とする」「機能の障害等が生じた場合でも人の生命・健康に影響を与えるおそれがほとんどない」ものに該当すると考えられ、(A)において「医療機器ではない」と判断され、保険診療上の制限はなくなります。

また「X線画像の読影補助を行うプログラム」が、▼異常陰影の可能性のある病変を検出する▼異常陰影が分かりやすいように他の構造物(骨など)の陰影を減弱・消失させる―などの機能を有している場合には、「画像診断」という特定の診療行為に関連するものとして「技術料」の中で評価されることになりそうです(B)。

さらに、当該プログラムについて「読影検出能(異常陰影の可能性のある病変を検出する能力)の向上」が認められ、既存の技術よりも「病変検出能力が高い」と判断されれば、(C)において有用性加算の評価が行われることになるでしょう。

他方、当該プログラムによって、専門外の医師が「放射線科の専門医」に劣らないレベルでの読影が可能になるなどのぐれた効果が認められれば、(D)において「当該X線画像読影補助プログラムを活用する場合には、放射線科の専門医配置は不要とする」などの技術料施設基準の緩和が検討されることになるでしょう。こうした基準緩和が行われれば、医療機関にとって当該プログラムの導入インセンティブが強く働き、メーカーにも大きなメリットになると期待されます。

プログラム医療機器の評価イメージ例(その1)(中医協・材料専門部会2 211111)



なお、(A)でプログラム医療機器と判断されないもの、あるいは保険導入を前提としないプログラム医療機器についても従前どおり「患者の選択によるものは選定療養費(保険診療と保険外診療(ここではプログラム医療機器の利活用)との併用を可能とする仕組み)の活用が可能な選択肢がある」旨も明確化されます。

プログラム医療機器の評価イメージ例(その2)(中医協・材料専門部会3 211111)



こうした方向に中医協委員から明確な反論は出ておらず、「患者情報等の保全など、安全性に十分配慮する必要がある」(支払側の松本真人委員:健康保険組合連合会理事)、「機器のサポートについて外国ではメーカーのコールセンターが対応しているようだが、メーカーが治療に介入する恐れもあり、医療機関や薬局での対応を基本とすべき」(診療側の有澤賢二委員:日本薬剤師会常務理事)などの注文がつくにとどまっています。今後、こうした注文も参考に、具体案を厚労省で詰めていくことになります。



また、(2)の安定供給に関しては、▼不採算品に係る基準材料価格の見直しに当たっては、引き続き、個別製品の実情を勘案しながら適切に対応する(とりわけ、小児や難病患者を対象とする医療機器等について配慮する)▼供給停止等の報告書への記載内容について、記載項目を整理して、報告様式を定型化し、迅速な報告・状況把握が可能となるよう見直す―方針が示され、了承されています。



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