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2022年度材料価格改革、チャレンジ申請拡大やプログラム医療機器の評価明確化などが重要論点―中医協・材料専門部会

2021.8.13.(金)

2022年度の次期材料価格制度改革においては、▼チャレンジ申請の拡大▼プログラム医療機器の評価ポイント明確化▼内外価格差の是正―などを進めてはどうか―。

8月4日に開催された中央社会保険医療協議会・保険医療材料専門部会では、保険医療材料等専門組織の小澤壯治委員長(東海大学医学部 外科学系消化器外科学領域主任教授)から、こういった意見が提示されました。

薬価と同様に、これら意見をベースに、業界団体からの意見も踏まえながら、2022年度の材料価格制度改革に向けた議論が中医協で進められます。

プログラム医療機器、まず海外事例も含めて全体像を整理

保険医療材料等専門組織は、材料価格算定ルール(中医協で決定する)に基づいて、個別医療機器の材料価格設定などを検討する中医協の下部組織です。検討の過程で「現在の材料価格算定ルールの問題点」が浮上し、今般、次のような改善提案が小澤委員長からなされました。

(1)チャレンジ申請について次の見直しを行う
(i)データ収集・評価計画について、具体的に提示する項目を定型的に整理する
(ii)「技術料に一体として包括して評価される医療機器等」についても対象を広る

(2)プログラム医療機器について「評価ポイントの明確化」などを検討する

(3)改定薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)で「先駆け審査指定制度」が法制化されたことを踏まえ、現行の補正加算等との整合性を踏まえつつ、さらなる評価について検討する

先駆的医療機器等の概要(保険医療材料専門部会4 210804)



(4)改正薬機法で「特定用途医療機器」が法制化されたことを踏まえ、現行の補正加算等との整合性を踏まえつつ、さらなる評価について検討する

特定用途医療機器等の概要(保険医療材料専門部会5 210804)



(5)内外価格差のさらなる是正に向けて、次の点を検討する
(i)新規収載品では「外国平均価格の1.25倍を上回る場合は、1.25倍の価格とする」ルールがあるが、比較水準の引き下げや外国平均価格の算出方法の見直しを検討する
(ii)既収載品では「外国平均価格の1.3倍を上回る場合は、1.3倍の価格とする」ルールがあるが、比較水準の引き下げや外国平均価格の算出方法の見直しを検討する

新規収載品の内外価格差是正ルールの推移(保険医療材料専門部会6 210804)

既収載品の内外価格差是正ルールの推移(保険医療材料専門部会7 210804)



(6)機能区分の細分化、不採算、合理化および定義の見直し等を進める

(7)A3(既存技術・変更あり)区分、B2(既存機能区分・変更あり)区分となった医療機器についても、E2(既存項目・変更あり)区分とされた体外診断用医薬品と土曜に「決定された月の翌月1日から保険適用する」取り扱いとする(現在は、各月10日までに決定されたものを、原則として翌月1日から保険適用している)



このうち(1)のチャレンジ申請とは、「保険収載後に、長期間の使用実績を踏まえなければ有用性の確認が難しい」製品について、新たな機能区分を申請できる(つまり高価格を設定することが可能になる)仕組みです。(i)では「審議の効率化」を、(ii)では「対象の拡大」を狙うものです。ただし、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「技術料と機器料が包括された医療機器では、点数のどの部分が機器分であり、どの部分は技術料分であるかの切り分けが難しい。チャレンジ申請・その後の評価にマッチするのだろうか」との疑問を投げかけています。小澤委員長も「切り分けの難しさ」は認めており、今後、どういった提案がなされ、どういった議論が行われるのか注目する必要があります。

チャレンジ申請の概要(1)(保険医療材料専門部会1 210804)

チャレンジ申請の概要(2)(保険医療材料専門部会2 210804)



また(2)のプログラム医療機器とは、アプリケーションや人工知能(AI)を活用した「疾病の診断・治療」を目的とする機器です。例えば、昨年(2020年)11月には「禁煙t量を補助するアプリケーション」(禁煙治療中の患者に対し、▼在宅での毎日の禁煙状況を「アプリとCOチェッカー」を用いて医療機関が把握する(COチェッカーにより「紙巻きたばこを喫煙した場合に発生する一酸化炭素の発生」をチェック(禁煙が実施できているかの確認)し、それをアプリを通じて医療機関に配信する)▼医師が必要な指導をアプリを通じて患者に行う—)の保険適用が認められており(12月1日から保険適用)、これもプログラム医療機器の1つと言えるでしょう(関連記事はこちらこちら)。

プログラム医療機器の具体例(保険医療材料専門部会3 210804)



従前からの医療機器・医療材料とは性質が異なることから、「評価のポイント」明確化に向けた検討が行われます。厚労省保険局医療課医療技術評価推進室の中田勝己室長は、「プログラム医療機器には、アプリから画像診断補助装置など、さまざまなものがある。海外事例も含めて、まず実態調査を行い、全体像を整理したい」との考えを示しています。

なお、支払側の佐保昌一構成員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)は「プログラム医療機器として、本当に診断・治療を目的としたものなのか、効果などの怪しいものが出てくることを懸念している。しっかりした評価基準を設定する必要がある」と、診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は「例えばda vinciシステムを用いたロボット支援下手術については、『既存治療に比べた優越性』のエビデンスがないとして、通常の内視鏡治療と同点数が設定されている。こうした過去の評価方針と整合性も考える必要がある」と注文しています。



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