2022年度材料価格制度改革、イノベーション評価・プログラム医療機器の評価方法等が重要論点―中医協・材料専門部会
2021.5.27.(木)
2022年度に予定される「保険医療材料価格改定」に向けて、▼イノベーションの適切な評価▼外国価格調整▼プログラム医療機器の評価方法—などを論点とし、今後、業界ヒアリングなども行いながら議論していく―。
5月26日に開催された中央社会保険医療協議会の保険医療材料専門部会(以下、材料専門部会)において、こうした方向が固められました(関連記事はこちら(薬価制度改革論議の進め方)と こちら(2022年度改定の進め方))。
材料価格制度においても「イノベーションの評価」などが重要論点に
2022年度には、診療報酬改定・薬価改定とあわせて「材料価格改定」(材料価格制度改正)も行われることから、5月26日の中医協は、今後の▼検討課題▼進め方—を整理したキックオフ議論となりました。
検討課題については、厚生労働省保険局医療課医療技術評価推進室の岡田就将室長から次のような例示が行われました。検討スケジュールとしては、関係業界からのヒアリング等も交えて今秋(2021年11月頃)まで議論を行い、年内に意見を取りまとめ、中医協総会に報告する形となります。
(1)前回改定(2020年度保険医療材料制度改革)の骨子に記載されている事項(関連記事はこちら)
▽イノベーションの適切な評価
▽外国価格調整
▽再算定
(2)これまでに問題提起された事項等
▽イノベーションの適切な評価(再掲)
▽プログラム医療機器の評価
(3)その他
▽関係業界から提起された事項
▽保険医療材料等専門組織から提起された事項
このうち「プログラム医療機器」について、診療側の城守国斗委員は「今後、AIを組み込んだ医療機器も出てくると予想される。海外の事例を調査していると聞くが、当該国の医療保険制度の概要とあわせて報告してほしい」と要望。また同じく診療側の有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)は「機能的には医薬品に類似した医療アプリも開発されていると聞き、調剤薬局が活躍する場面(アプリのインストールやフォローなど)もありそうだ。調剤報酬での評価なども議論すべきである」と指摘しました。
一方、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、▼基本的には薬価制度改革と平仄を合わせて議論すべき▼原価計算方式におけるイノベーション評価について、材料価格制度でも薬価制度と同様に『原価の開示度に応じた加算係数を設定する』仕組みを導入したが、材料に関しても『原価開示を進める』方策を検討すべき▼単回使用医療機器の再製造品について価格を0.7倍とする仕組みが導入されたが、その妥当性を検証すべ▼外国価格調整・再算定における倍率(1.25倍等)の妥当性を検証すべき▼安定流通のための「一定幅」が4%に設定されているが、その妥当性を検証すべき―と踏み込んだ提案を行っています。
今後、材料専門部会で具体的な「論点」を設定していく際に、これらの意見も勘案することになるでしょう。城守委員は「中医協の原則である『エビデンスに基づく議論・評価』を踏襲する」よう再確認しています。
また、幸野委員の「薬価制度改革と平仄を合わせて議論すべき」との提案に対し、堀之内晴 美専門委員(東レ株式会社常任理事)は「医薬品と医療材料とは制度が異なることを考慮した議論を行ってほしい」と指摘。岡田医療技術評価推進室長も「医薬品と医療材料とは制度が異なる。どういった形で議論を進めてもらうか、厚労省でも検討したい」とコメントしています。
医薬品と医療材料とでは、特性も異なり、経済的評価の手法も異なることから、償還価格制度を「すべて同一にする」ことは困難でしょう。幸野委員の言う「平仄を合わせる」が、具体的に何を示すのか明らかではありませんが、今後、それぞれの特性を踏まえた「評価方法の見直し」を検討していくことになります。
なお、堀之内専門委員は「新型コロナウイルス感染症によって、治療やワクチン投与に関係する医療機器のニーズが高まっている。コロナ感染症、コロナ感染症以外にとっても、医療器の安定供給が重要であり、制度改革に向けて関係業界と十分な意見交換をお願いしたい」とも要望しています。
【関連記事】
2022薬価改定、新規後発品の価格設定ルール・原価計算方式の在り方・イノベーション評価などが重要論点―中医協・薬価専門部会
2022年度診療報酬改定論議、コロナ感染症の影響など見据え7・8月に論点整理―中医協総会(1)