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【2022年度診療報酬改定総点検3】新たに受診時負担課せられる200床以上紹介受診重点病院、診療報酬でどうサポートするか

2022.1.5.(水)

Gem Medでは、2022年度の次期診療報酬改定に向けて、これまでの中医協論議についてポイントを絞ってお浚いしています(第1回は入院医療の見直しポイントを整理、第2回は医療従事者の働き方改革サポートを整理)。今回は「外来医療」に焦点を合わせます。

200床以上の紹介受診重点病院、診療報酬でどういった経営サポートを行うべきか

外来医療では、まず「外来機能報告に基づく紹介中心型病院(紹介受診重点病院)」について診療報酬でどういったサポートが行われるのかが気になります。

今年(2022年)4月から外来機能報告制度がスタートし、すべての病院・有床診療所および一部の無床診療所で「外来診療データ」「紹介受診重点病院・診療所になる意向の有無」などを都道府県に年1回報告することが義務付けられます。

そのデータをもとに地域ごとに「紹介受診重点病院等」を明確にし、「まず地域のかかりつけ医療機関を受診し、そこから紹介受診重点病院を紹介してもらう」という患者の流れを強化することを目指すものです(外来機能報告、紹介受診重点病院の明確化等に関する詳しい記事はこちら)。紹介受診重点病院等になるか否かに関しては、「病院の意向」が最も重要です。病院の意に反して「貴院には紹介受診重点病院になってもらう」と強制的に決せられることはありません。

国基準値を初診40・再診25に据えると、200床以上病院では40%が、200床以上地域医療支援病院では83%が、特定機能病院では81%が該当する(外来機能報告WG1 211217)



この点、医療現場からは「紹介受診重点病院への診療報酬でのサポートがどのようになるのかで、手上げをするか否かが決まってくる」との指摘があります。紹介受診重点病院のうち200床以上の病院では「紹介状を持たない患者から初診時7000円程度以上の特別負担を徴収しなければならない」という義務が課せられ、これは「外来患者の減少」(=外来収益の減少)につながると考えられるためです。

この点、中医協では【地域医療支援病院入院医療加算】(入院初日に1000点)などを参考とする方向が議論されています。紹介状なし患者の減少は「外来診療の負担軽減→入院患者へのケア充実」につながると考えられ、入院基本料等加算でサポートすることが一定の合理性を持つと考えられるためです。

今後、厚生労働省から具体的な「加算の新設」案が提示される見込みです、それを踏まえて詰めの議論が行われるでしょう。

また、この特別負担(受診時定額負担)については、すでに適用されている特定機能病院・200床以上の地域医療支援病院も含めて次のような見直しが行われる見込みです。

▽受診時定額負担(現在は初診時5000円・再診時2500円以上)について初診では2000円、再診では500円程度の引き上げを行い、その引き上げ分は保険給付から除外する

▽受診時定額負担を徴収しなくともよい患者(最新)について、新たに▼院内出生病児▼移植ドナーの患者▼紹介先の医療機関が新型コロナウイルスによる診療休止のためやむを得ず受診した患者▼予約受診の患者—などを明確化する

▽紹介率・逆紹介率が低い場合の初診料や外来診療料の減算について、紹介率・逆紹介率の基準値を厳格化する

機能強化加算、患者に「かかりつけ医機能を果たす医療機関」である旨をどう伝達するか

また外来医療では「かかりつけ医機能の評価」に関し熱い議論が交わされており、例えば次のような見直し方向が朧げに見えてきています。

▽地域包括診療料・加算について、例えば▼心疾患や慢性腎臓病を対象疾患に加える▼予防接種に対する相談を要件化する―ことなどを行えないか

▽小児かかりつけ診療料、24時間対応体制要件を「他医療機関との連携」で満たすことを認められないか

小児かかりつけ診療料の概要(中医協総会8 211020)



▽生活習慣病管理料について、例えば▼薬剤料の高騰により包括点数を超えてしまっている▼治療方針変更内容・理由を診療録に記載する―などの点を改善し、また学会ガイドライン等を踏まえた指導・管理実施を推進できるような要件・基準見直しを行えないか

▽診療情報提供料(III)について、現在の「自院がかかりつけ医機能を有していること」あるいは「他院がかかりつけ医機能を有し、自院でそれを確認していること」との要件を見直し、「双方向の情報連携」を推進できないか

診療情報提供料(III)が2020年度改定で新設された(中医協総会11 211020)

相手先の施設基準把握ができないために診療情報提供料(III)を算定できないなどのケースがある(中医協総会13 211020)



また、機能強化加算については、患者が「この医療機関(機能強化加算算定医療機関)がかかりつけ医機能を果たしていること」をより確認しやすくする方向での見直しが検討されてきています。ただし、具体的にどういった手当てを行うべきかについて具体案はこれまでに煮詰まってきておらず、今後の最終論議の中でも重要な検討テーマの1つとなりそうです。





なおGem Medでは改定セミナー動画も準備しておりまず。働き方改革や看護職員処遇改善加算についても解説しておりますので、是非、あわせてご活用ください。



【これまでの2022年度改定関連記事】
◆入院医療の全体に関する記事はこちら(入院医療分科会の最終とりまとめ)こちら(入院医療分科会の中間とりまとめを受けた中医協論議)こちら(入院医療分科会の中間とりまとめ)こちら(入院総論)
◆急性期入院医療に関する記事はこちら(看護必要度6)こちら(新指標4)こちら(新指標3、重症患者対応)こちら(看護必要度5)こちら(看護必要度4)こちら(看護必要度3)こちら(新入院指標2)こちら(看護必要度2)こちら(看護必要度1)こちら(新入院指標1)
◆DPCに関する記事はこちらこちらこちら
◆ICU等に関する記事はこちらこちらこちらこちら
◆地域包括ケア病棟に関する記事はこちらこちらこちらこちら
◆回復期リハビリテーション病棟に関する記事はこちらこちらこちらこちら
◆慢性期入院医療に関する記事はこちらこちらこちらこちら
◆入退院支援の促進などに関する記事はこちらこちら
◆救急医療管理加算に関する記事はこちらこちらこちら
◆短期滞在手術等基本料に関する記事はこちらこちら
◆外来医療に関する記事はこちらこちらこちらこちら
◆在宅医療・訪問看護に関する記事はこちら(訪問看護)こちら(小児在宅等)こちら(訪問看護)こちらこちら
◆オンライン診療に関する記事はこちら
◆新型コロナウイルス感染症を含めた感染症対策に関する記事はこちらこちら
◆医療従事者の働き方改革サポートに関する記事はこちらこちら
◆がん対策サポートに関する記事はこちらこちら
◆難病・アレルギー疾患対策サポートに関する記事はこちら
◆認知症を含めた精神医療に関する記事はこちらこちら
◆リハビリに関する記事はこちら
◆小児医療・周産期医療に関する記事はこちら
◆医療安全対策に関する記事はこちら
◆透析医療に関する記事はこちら
◆個別疾患管理等に関する記事はこちらこちら
◆データ提出等に関する記事はこちらこちら
◆調剤に関する記事はこちらこちらこちら
◆後発医薬品使用促進・薬剤使用適正化、不妊治療技術に関する記事はこちらこちらこちらこちら
◆医療経済実態調査(第23回調査)結果に関する記事はこちら
◆消費税対応の是非に関する記事はこちら
◆薬価・材料価格調査に関する記事はこちら
◆改定率に関する記事はこちら
◆基本方針策定論議に関する記事はこちら(医療部会5)こちら(医療保険部会5)こちら(医療保険部会4)こちら(医療部会4)こちら(医療部会3)こちら(医療保険部会3)こちら(医療部会2)こちら(医療保険部会2)こちら(医療部会1)こちら(医療保険部会1)



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コロナ禍の医療現場負担考え小幅改定とすべきか、2025年度の地域医療構想実現に向け大胆な改定とすべきか―中医協総会(1)
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2022年度改定基本方針を了承、医療提供体制改革・医師働き方改革が重点課題—社保審・医療保険部会
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