医療部会も2022年度改定基本方針案を了承、12月10日の中医協に報告されるが正式諮問は年明けに—社保審・医療部会(1)
2021.12.10.(金)
12月9日に開催された社会保障審議会・医療部会でも、2022年度診療報酬改定の基本方針案が了承されました。
若干の修文を行い、医療保険部会の田辺国昭部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)と医療部会の永井良三部会長(自治医科大学学長)とで最終調整を行い、基本方針が決定されます。
基本方針は12月10日開催の中央社会保険医療協議会・総会に報告されますが、後藤茂之厚生労働大臣からの正式諮問(「基本方針を踏まえて改定内容を検討せよ」との諮問)は年明け(2022年1月)になります。
なお、同日の医療部会では「電子カルテの標準化など医療機関間における情報共有の推進」「ワクチン接種会場への看護師派遣」についても議論しており、別稿で報じます。
医療提供体制改革が重点課題の1つ、急性期医療の集約化はどう進むか
診療報酬改定論議は、過去の汚職事件への反省を踏まえ、▼基本方針を社会保障審議会の医療保険部会と医療部会で決定する▼改定率(つまり財源配分の大枠)を内閣が予算編成過程で決める▼基本方針と改定率を受け、中医協で改定内容を詰める―という役割分担が行われています。
基本方針策定論議は今夏(2021年夏)から医療保険部会・医療部会で進められてきました。12月9日の医療保険部会では、厚生労働省保険局医療介護連携政策課の水谷忠由課長から示された「基本方針案」を一足先に了承。同日の医療部会でも概ね了承されました(主に表現の修正)。
2022年度の次期改定では、別途報じたように次の4本柱が打ち立てられています。
(1)新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築【重点課題】
(2)安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進【重点課題】
(3)患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現
(4)効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上
医療部会では、今後の改定率決定・改定内容決定論議に向けて、さらに将来を見据えて、例えば▼看護職員の賃金引き上げについて「確実に現場職員に届く」ような仕組みとすべき(内堀雅雄委員:全国知事会・福島県知事)▼新型コロナウイルス感染症対策に対応する医療提供体制とともに、「コロナ感染症以外の疾病に対応する医療提供体制」が構築されなければ国民の安心は確保できない。こうした視点を持った改定論議を中医協で進めてほしい(釜萢敏委員:日本医師会常任理事)—などの注文が付いています。
医療部会の永井会長と、医療保険部会の田辺会長とで最終調整を行ったうえで「基本方針」を決定。その内容が12月10日の中医協総会に報告されます。ただし、後藤厚労相から中医協への正式諮問は年明けの1月中旬(2022年1月中旬)に行われます。
今後、内閣で2022年度予算案編成論議が本格化し、その中で「2020年度診療報酬改定の改定率」が決定されます。12月10日の中医協総会では、改定率設定に向けて「中医協意見」の取りまとめも行われる見込みです(意見を後藤厚労相に提出、厚労相は中医協意見も踏まえて、財務大臣との「改定率決定」折衝に臨む)。
すでに中医協では、入院・外来・在宅・個別事項についての改定論議を進めてきていますが、基本方針策定を踏まえ、また改定率決定を見据えて、さらに議論が熱を帯びてくることでしょう。
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