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2023年度から24年度にかけて都内の特養待機者は減少、ただし医療ニーズの高い者などが取り残されていないか―東京都

2026.2.13.(金)

2023年度から24年度にかけて都内の特別養護老人ホームの入所待ちをしている者(待機者)が大きく減少しているが、「医療ニーズの高い者」などが待機者として取り残されている可能性がある―。

待機者が減少した背景には「空床」(退所による空床の発生)があるが、ここには「入所調整に時間がかかっている」ことが関係しており、特別養護老人ホームの経営安定のために、▼入所調整の迅速化▼代理人・家族支援体制の強化—を通じて空床期間を短縮することが重要である―。

東京都が1月31日に公表した、2025年度の「東京都内特別養護老人ホーム入所(居)待機者に関する実態調査」結果から、このような状況が明らかになりました(都のサイトはこちら)。

2023年度から24年度にかけて都内の特養待機者は大きく減少

2022年度から、人口の大きなボリュームゾーンを占める、いわゆる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめ、ついに今年度(2025年度)には、すべての団塊の世代が75歳以上の後期高齢者に達します。

さらに2025年度以降は、高齢者人口そのものは大きく増えない(高止まりしたまま)ものの、▼85歳以上の高齢者比率が大きくなる(重度の要介護高齢者、医療・介護の複合ニーズを持つ高齢者、認知症高齢者などの比率が高まっていく)▼支え手となる生産年齢人口が急激に減少していく(医療・介護人材の確保が極めて困難になる)—ことが分かっています。少なくなる一方の若年世代で、多くの高齢者を支えなければならず、「効果的かつ効率的な医療・介護提供体制」の構築がますます重要になってきます。

また、こうした人口構造の変化は、地域によって大きく異なります。ある地域では「高齢者も、若者も減少していく」、別の地域では「高齢者も、若者もますます増加していく」、さらに別の地域では「高齢者が今後増加するが、そう遠くない将来に減少していく」など区々です。

特別養護老人ホームは「終の棲家」に位置付けられる介護保険施設ですが、都市部では地価等が高額である(しかも昨今、ますます高騰している)ため建設が難しい(介護報酬では賄いきれない)のが実情です。このため、一定の要件を満たす社会福祉法人では「国・自治体以外から土地・建物の貸与を受けて特養ホームを整備することを認める」などの、増加する要介護高齢者のニーズに応えるための規制改革なども行われています。

東京都では、都内の特養ホームの状況や、入所待ちの状況などを調査し、介護保険事業支援計画(市町村の介護保険事業計画を支援するもの、介護サービスとニーズの量をマッチさせることが大きな狙い)に反映させています。

今般、都内の292の特養ホームが調査に協力し(回答率は57.0%)、そこから次のような状況が明らかになりました。

▽2024年度には定員2万5854人に対し7208人が退所し、退所率は27.9%(前年度から1.0ポイント低下)であった
→2024年度に新たに「7208人分のベッドが空いた」とも考えられる

▽待機者のカウント方法について、62.46%の施設が「申込者人数=待機者」としている→→6割超の特養ホームで「空きベッドがない」と考えられる

▽申込者の状況
▼「低所得者」の入所(居)申し込みが増加しているとの回答施設が6割超(増加している:30.4%、やや増加している:32.2%)
▼「医療ニーズの高い者」の入所(居)申し込みが増加しているとの回答施設が約85%(増加している:50.2%、やや増加している:34.4%)
▼「身寄りや身元引受人(連帯保証人、保証人含む)不在の者」の入所(居)申し込みが増加しているとの回答施設が約7割(増加している:30.9%、やや増加している:39.0%)

特養入所希望者の状況は変化しているか(2025年都内特養待機状況調査1 260131)



▽入所(居)待機者の中で「入所(居)に至らない」理由としては、「医療依存度の高い方(喀痰吸引、気管切開、在宅酸素等)である」ことが最も多い

待機者が入所に至らない最大の理由は「医療ニーズが高い」ことである(2025年都内特養待機状況調査2 260131)



▽要介護3以上の入所(居)待機者の人数(2025年3月31日時点)は「3万3994人」で、要介護度別に見ると、要介護5:7427人、要介護4:1万2553人、要介護3:1万4014人
→前年度の「4万3496人」から大きく減少(9502人・21.8%減)し、1施設当たりの待機者数も134人から116人に減少している

2025年3月末における都内の特養ホーム待機者数(2025年都内特養待機状況調査3 260131)



また、施設全体の運営状況を見ると次のようになっています。

▽稼働率(ショートステイ含めず):93.8%(前年度から0.5ポイント増)

▽2024年度延べ空床数:60万3593床(1施設平均で2140床、1施設1か月平均で178 床)

▽空床となっている主な理由1(「入所(居)に至るまでの期間が延びた」理由)としては、▼家族(代理人)との調整に時間がかかる(68.9%)▼入所(居)元(病院・老人保健施設・グループホーム等)による入所(居) 調整が増えた(62.1%)▼相談員等の入所関連業務に携わる職員の業務量増加により対応が遅れた(35.2%)▼入院等により、入所(居)順番の変更が増えた(28.9%)—などが多い

空床が埋まらない(入所までに時間がかかる)理由(2025年都内特養待機状況調査4 260131)

家族との調整で、入所が遅れるケースが多い(2025年都内特養待機状況調査5 260131)



▽空床となっている主な理由2(「施設の体制や職員配置等が理由で受け入れられない」理由)としては、▼募集をかけても人が来ず、新規採用ができなかったため(69.2%)▼採用しても定着せず、退職者が多く出たため(48.7%)—などが多い
→つまり、ベッドはあるが、スタッフが確保できず受け入れができない状況がままある(人員配置基準を満たさなければ介護保険指定が受けられない)

▽空床となっている主な理由3(「入所(居)待機者の減少」理由)としては、▼所在地や近隣地域での特養ホームの増加(63.3%)▼所在地や近隣地域での有料老人ホームの増加(54.7%)▼利用者負担額の増加(28.1%)▼所在地以外の(遠方)区市町村からの入所(居)希望者の減少(27.3%)—などが多い

空床が埋まらない(待機者減少)理由(2025年都内特養待機状況調査6 260131)



まず待機者減の背景・要因が気になります。東京都では「退所率が25%超の水準で推移しており、比較的早期に入所(居)が可能となっている」と分析しています。

ただし、「医療ニーズの高い者」の申し込みが増加している一方で、入所(居)に至らない理由として「医療依存度の高さ」が多くの施設から上がっていることから、「医療依存度の高い者などが待機者として残り続けている」とも指摘。

特養ホーム側は待機者受け入れにあたって「成年後見人の申し立て完了」や「死後事務の手続きの明確化」を希望しており、「法的・社会的な支援体制の整備」が、こうした待機者の受け入れ促進につながるとの考えも示しています。



一方で平均稼働率が93.8%にとどまり、空床(延べ)が年間60万床超も発生していることから「経営が厳しさを増している」状況も明らかになっています。この背景には入所調整に時間がかかる(家族等と連絡がつきにくい)ことなどがあるようです。東京都は、▼入所調整の迅速化▼代理人・家族支援体制の強化—を通じて空床期間を短縮し、稼働率の安定化を図ることが、さらなる待機者減少と施設経営の両立に向けた重要な課題であると分析しています。

身元引受人等がいない待機者の受け入れに向けて期待すること(2025年都内特養待機状況調査7 260131)



病院ダッシュボードχ ZEROMW_GHC_logo

 

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