外国人旅行者の医療費未払い問題、医療機関による報告基準を「20万円以上」から「1万円以上」に拡大し厳格対応―厚労省
2026.2.10.(火)
外国人旅行者の医療費未払い問題に対応するために、保険医療機関から「医療費の不払いを発生させた訪日外国人受診者の情報」を【訪日外国人受診者医療費未払情報報告システム】で収集し、その情報をもとに再入国時に厳格審査を行う仕組みが稼働している(2021年から)—。
今般、その登録の基準を「20万円以上の不払いがある場合」から「1万円以上の不払いがある場合」に引き下げて、より厳格な対応を行う―。
厚生労働省は2月4日に事務連絡「訪日外国人受診者医療費未払情報報告システムに係る運用変更について」を提示し、こうした考えを明確にしました。
医療機関からの「医療費の不払い」情報をもとに、再入国時に厳格な審査を行う
近年の歴史的円安などを背景に、我が国を訪れる外国人が増加。これに伴って、訪日外国人旅行者が、我が国で医療を受けるケースも増加しています。
その際、例えば「医療従事者は必ずしも外国語に堪能なわけではない」「新興・再興感染症が蔓延するリスクもある」などの課題もあり、政府は「医療機関における外国人受診者の受入れ環境整備」に積極的に取り組んでいます(関連記事はこちら)
一方、こうした訪日外国人が医療機関を受診した際に「医療費を支払わない」ケースも散見されています(中には「500万円超」の不払いとなるケースもある、関連記事はこちら)。
このため厚労省は2021年5月より、保険医療機関から「医療費の不払いを発生させた訪日外国人受診者の情報」を【訪日外国人受診者医療費未払情報報告システム】で収集。その情報を出入国在留管理庁へ提供し、再入国時に厳格審査を行う仕組みを運用しています(厚労省サイトはこちら)。
そうした中で、政府の「外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議」が本年(2026年)1月23日に「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」を決定。そこでは、速やかに▼医療費の不払いがある訪日外国人に対する厳格な審査について、対象となる不払額を現在の『20万円以上』から『1万円以上』に引き下げ(つまり厳格化する)、新たな医療費の不払いの発生を抑止する▼対象を中長期在留者にも拡大し、外国人患者の医療費不払情報を在留審査においても活用する―とされました。
厚労省は今般、この決定を踏まえて、次のように【訪日外国人受診者医療費未払情報報告システム】の運用変更を行うとしています。
(1)登録基準額の引き下げ
→未払情報登録の対象となる基準金額を「1万円以上」に引き下げる
▽対象となる外国人の種別、登録基準日等についての変更はないが、詳細は本年(2026年)3月改訂予定の「訪日外国人受診者医療費未払情報の報告マニュアル」で確認してほしい(現在(改訂前)のマニュアルはこちら)
(2)運用変更予定時期
→本年(2026年)4月1日(同日以降に発生した未収金が対象となる、つまり本年(2026年)3月までは「20万円未満」の不払い情報を登録しないが、4月1日以降は「1万円以上」の不払い情報も登録することになる)
●「訪日外国人受診者による医療費不払い防止」の仕組みに関する厚労省サイトはこちら
→仕組みの詳細やチェックリスト、外国人患者向けの院内掲示用ポスター、外国人患者向けの医療費支払いに関する動画なども準備されているので、是非、ご参照ください
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