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外国人患者の感染症治療を支援する多言語ガイドブックを作成—東京都

2017.4.10.(月)

 外国人が日本を訪れ、インフルエンザやノロウイルス感染症が疑われる症状が出た場合、患者の状況を的確かつ簡易に把握し、医療機関を適切に受診するための手引き(医療機関受診のための多言語ガイドブック)を東京都が7日に公表しました。

 患者目線で「自分の症状を伝える方法」や「医療機関のかかり方」などを記載していますが、多くの外国人を受け入れる医療機関側にとっても有益な内容です(都のサイトはこちら(見開き版)こちら(単ページ版))。

外国語に通じていない医療機関側にとっても有益なガイドブック

 感染症にかかってしまった場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが、症状の早期改善と、感染拡大防止のために重要となりますが、日本語に精通していない外国人にとっては、医療機関受診に困難が伴います(関連記事はこちらこちら)。

 旅行者や留学生など多くの外国人が訪れる東京都は、こうした状況に鑑み、「外国人が必要な時に医療機関を受診できる」ようサポートする多言語対応ガイドブックを作成しました。対応している言語は、▼英語▼中国語(簡体字・繁体字)▼韓国語▼タイ語▼スペイン語―です。

 まず「嘔吐や下痢が続いている」「発熱や頭痛がある」などの症状がある場合には、さまざまな感染症の可能性があることを述べた上で、「診断」「治療」「感染拡大防止」のために医療機関の受診が勧められることを説明します。

 次に、医療機関の探し方(東京都保健医療情報センターの外国語による相談窓口など)、医療機関へのかかり方(受付をし、待合室で待ち、名前を呼ばれてから診察室に入り、診察が終わったら、お金を支払って処方箋を受け取るなど)を説明。その際、咳やくしゃみなどの症状がある場合には、他の患者への感染拡大を防止するために「マスクの着用」も求めています。

 さらに、医療機関を受診した際に「自身の症状」「持病の有無」「アレルギーの有無」「予防接種歴」「その他」の事項について、医療関係者にどのように伝えればよいかを分かりやすく示しています。日本語が不得手な外国人であっても、「自身が習得している言語」からこうした状況を把握し、当該箇所(例えば体のどの部分かなど)を指させば、外国語に通じていない日本人医療者も、患者の状況を一定程度把握することができるようになっています。東京都のホームページから無料でダウンロードできるので、外国人患者の受診に備えて、医療機関側でも準備しておくと円滑な診療に結びつけることができるでしょう(都のサイトはこちら(見開き版)こちら(単ページ版))。

▼どのような症状が、体のどの部位にあるのか:▽熱がある▽発疹が出た▽下痢▽出血▽麻痺▽しびれ▽痙攣▽苦痛—など

▼いつからその症状があるのか

▼症状の程度は軽いのか、ひどいのか

日本語に通じていない外国人であっても、どういった症状(ピンクの部分)が体のどの部位に生じているかを指させば、外国語に通じていない医療関係者にも状況を一定程度伝えることができる(図はタイ語版)

日本語に通じていない外国人であっても、どういった症状(ピンクの部分)が体のどの部位に生じているかを指させば、外国語に通じていない医療関係者にも状況を一定程度伝えることができる(図はタイ語版)

 

▼高血圧、糖尿病、心臓病、呼吸器疾患、脳神経疾患、がんなどの持病はあるのか、女性であれば妊娠中か生理中かなど

▼薬や食べ物でアレルギーはあるか

▼麻しん、風疹、A型肝炎、B型感染、ポリオなどの予防接種歴はあるか

▼その他、「同行者がいるか、同行者に同じ症状はあるか」「鳥やラクダなどの動物と接触しているか」(新型インフルエンザやMERSなどの疑い)「虫にさされたか」(デング熱などの疑い)

外国語に通じていない日本人医療関係者であっても、持病はあるのか(黄色部分)、薬や食べ物にアレルギーはあるのか(薄茶部分)、予防接種を受けているのか(青部分)などを指さして聞くことで、日本語に通じていない外国人患者の状況を一定程度把握できる(図はタイ語版)

外国語に通じていない日本人医療関係者であっても、持病はあるのか(黄色部分)、薬や食べ物にアレルギーはあるのか(薄茶部分)、予防接種を受けているのか(青部分)などを指さして聞くことで、日本語に通じていない外国人患者の状況を一定程度把握できる(図はタイ語版)

  
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