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医療・介護計画の整合性確保に向けた「総合確保方針」改正、人材確保とDX推進が最優先との意見多し―医療介護総合確保促進会議

2022.10.3.(月)

2024年度から新たな医療計画・介護保険事業(支援)計画がスタートすることを踏まえ、その両者の上位指針(医療・介護連携を進める)となる「総合確保方針」について、本年(2022年)内に改正を行う―。

その際、▼⼈⼝構造の変化への対応▼「地域完結型」の医療・介護提供体制の構築▼人材確保と働き方改革▼デジタル化▼地域共生社会づくり―といった視点を重視することになるが、とりわけ「人材確保」と「デジタル化」(DX、デジタルトランスフォーメーション)を優先的に進めるべきではないか—。

9月30日に開催された「医療介護総合確保促進会議」(以下、促進会議)で、こうした議論が行われました。次回会合に「総合確保方針改正の素案」が厚生労働省から示される見込みです。

9月30日に開催された「第17回 医療介護総合確保促進会議」

DXには時間もかかるため、処遇改善やタスク・シフティングもセットで進めよ

、2024年度からは▼新たな医療計画(第8次医療計画)▼新たな介護保険事業(支援)計画(第9期、市町村が事業計画、都道府県が事業支援計画を作成)—がスタートします。このため、厚労省の審議会・検討会で、新たな計画を都道府県が作成する際の拠り所となる「指針」作りに向けた議論が精力的に進められています。

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ところで、医療計画と介護保険の計画とを全く別個に作成したのでは「切れ目のない医療・介護提供体制」構築が難しくなることから、両計画の上位概念・上位指針である「総合確保方針」が設けられています。例えば「両計画を都道府県で作成するにあたり、医療所管部局と介護所管部局とが密接な連携をとる」こと、「介護保険事業計画を作成する市町村を、医療計画や介護保険事業支援計画を作成する都道府県がサポートする」ことなどが盛り込まれています。

今般、総合確保方針の見直し論議が促進会議で始まっており、厚労省保険局医療介護連携政策課の水谷忠由課長は次の5つの論点を提示しています(関連記事はこちら)。

(1)⼈⼝構造の変化への対応
→後期高齢者が増加する(2025年度には団塊世代が全員が後期高齢者となる)一方で、支え手となる現役世代人口は2025年度から2040年度にかけて急速に減少する
→ただし、その状況は地域によって全く異なる(すでに高齢化がピークを迎えている地域、これからピークを迎える地域、支え手が減少していく地域、減少しきっている地域、増加する地域など様々)
→こうした地域の実情を踏まえた医療・介護提供体制を考える必要がある

(2)「地域完結型」の医療・介護提供体制の構築
→地域医療構想の推進、さらなる医療機能の分化・連携の強化、かかりつけ医機能を発揮できる制度整備、地域包括ケアシステムの構築などが重要となる

(3)サービス提供⼈材の確保と働き⽅改⾰
→支え手が減少する中で人材の確保は急務であり、あわせて「働き方改革」の実現に向けたタスクシフト、ICT等の活用などを推進する必要がある

(4)デジタル化・データヘルスの推進
→患者・利⽤者⾃⾝の医療・介護情報を、デジタル基盤を活⽤して医療機関・介護事業所等の間で共有・活⽤していく必要がある
→NDBや介護DB等の公的データベースやこれらの連結解析等を通じ、客観的なデータに基づいてニーズ分析や将来⾒通し等を⾏うことが重要である

(5)地域共生社会づくり
→地域包括ケアシステムの先にある「地域共生社会」も見据える必要がある



9月30日の促進会議では、この5つの見直し方向を確認するとともに、特に「(3)の人材の確保」と「(4)のデジタル化・データヘルス推進」(医療・介護DX)の重要性を説く声が多くの構成員から出されました。

論点(1)のとおり、「高齢者が増加し、医療・介護ニーズも増加する」(ついに今年度(2022年度)から団塊世代が後期高齢者となり始め、2025年度には全員が75歳以上の後期高齢者となる)一方、「支え手が減少していく」(2025年度から40年年度にかけて急速に減少する)ため、医療・介護のサービス提供基盤・財政基盤が極めて脆くなっていきます。サービス提供体制を行う人材不足は深刻度を増していくため、「効率的なサービス提供」が欠かせず、そのために「デジタル化・データヘルスの推進」を加速させていかなければならないのです。河本滋史構成員(健康保険組合連合会専務理事)や猪口雄二構成員(日本医師会副会長)、井上隆構成員(日本経済団体連合会専務理事)、東憲太郎構成員(全国老人保健施設協会会長)らが、立場をこえて「人材の確保」と「デジタル化・データヘルス推進」の2点を最優先で進めるべきと訴えています。

もっとも「デジタル化」などの推進には時間もかかります。このため「処遇改善による人材の確保」や「タスク・シフティング」などをセットで強力に進めることが求められます。後者のタスク・シフティングは、医療の世界では「医師→特定行為研修修了看護師→看護補助者」といった具合に「専門性を考慮し、どの業務をどの職種が行うことが最も効果的かつ効率的か」という点が目立ちますが、介護分野でも「身体介助などの直接業務は介護福祉士などの有資格者に、間接業務は介護補助者(元気高齢者やボランティアなど)に」というタスク・シフティングが現場レベルで進められています。限られた人材が、生産性の高い業務を遂行するために「タスク・シフティングを強力に進めていく」ことが重要です。もちろん、その際には「サービスの質・安全性が確保されるか」を確認しながら進める必要があることは述べるまでもありません。

さらに、「人材確保」や「働き方改革」を考えるうえでは「施設の集約化」も検討しなければなりません。小規模な施設が乱立すれば、施設当たりの人員配置は手薄になり、「スタッフ1人当たりの業務量が増す(休暇もとりにくい)」「1施設当たりで提供可能なサービス量が限られる」という問題点があります。このため、乱立するサービスの再編・統合を行うことも真剣に考えなければならない時期に来ています。

一方、武久洋三構成員(日本慢性期医療協会名誉会長)は「要介護状態になる人を減らさなければ問題は解決しない。急性期病院に基準介護・基準リハビリを導入することで、寝たきりの防止、要介護状態の防止が可能となる。この点を早急に検討すべき」と強く訴えており、急性期病院の代表者として参画する仙賀裕構成員(日本病院会副会長、茅ヶ崎市立病院名誉院長)もこの考えに賛意を示しています。

このほか、▼在宅要介護者に複合的なサービスを提供する看護諸規模多機能型居宅介護などの整備を充実すべき(齋藤訓子構成員:日本看護協会副会長、山際淳構成員:民間介護事業推進委員会代表委員)▼外国人人材の更なる活用を検討すべき(加納繁照構成員:日本医療法人協会会長)▼地域の医療・介護状況などを住民に十分に情報提供することが重要である(山口育子構成員:人ささえあい医療人権センターCOML理事長)—などの意見も出ています。



総合確保方針とは関連の薄い意見も多く出ていますが、田中滋座長(埼玉県立大学理事長)は「構成員の意見も踏まえ、次回会合に、総合確保方針改正の素案を提示する」よう厚労省に指示。素案審議の後に、パブリックコメントを募集。国民からの意見も踏まえて、年内に「総合確保方針改正案」が固められる予定です。



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