Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Post Type Selectors
260226ミニセミナー診療報酬改定セミナー2026

小児DND治療薬のエレビジス点滴静注、1患者あたり「3億497万2042円」の薬価を設定し2026年2月20日に保険適用—中医協総会

2026.2.13.(金)

2月13日に開催された中央社会保険医療協議会総会で、「デュシェンヌ型筋ジストロフィー」(DND)治療に用いる「エレビジス点滴静注」(一般名:デランジストロゲン モキセパルボベク)を2月20日に保険適用(薬価基準収載)し、薬価を1患者当たり「3億497万2042円」とすることが承認されました。

なお、Gem Medで報じているとおり、同日には「2026年度診療報酬改定の答申」が行われており、順次、改定内容を見ていきます。

条件・期限付き承認を受けた再生医療等製品の薬価算定ルールに基づいて薬価を設定

3歳以上8歳未満の「デュシェンヌ型筋ジストロフィー」(DND)患者に対する画期的な再生医療等製品である「エレビジス点滴静注」が昨年(2025年)5月13日に条件・期限付きの薬事承認を受けました。「有効性」について、「確認」がなされておらず「推定」にとどまっているためです。

「条件・期限付き」の薬事承認を受けた製品についても保険適用が行われ、傷病と闘う患者が同製品にアクセスしやすい環境が整えられています。しかし、条件・期限付き承認を受けた再生医療等製品の中で、有効性・安全性を確認できず「取り下げ→保険適用からの削除」となるものが続けて2例現れてしまいました(慢性動脈閉塞症等治療に用いる「コラテジェン筋注用」重症心不全治療に用いる細胞シート「ハートシート」)。

このため中医協では「条件・期限付き承認を受けた製品の保険診療上の評価の在り方」を検討し、次のような方針を固めています(関連記事はこちらこちら)。

【薬価・材料価格算定】(有用性が「推定」にとどまる時点)
▽条件・期限付き承認を受けた再生医療等製品を、医薬品の例により算定するか、医療機器の例により算定するかについては、通常の承認を受けた再生医療等製品と同様に薬事承認の結果を踏まえて判断する

▽計算方式については、通常の承認を受けた再生医療等製品と同様に、薬価算定においては類似薬効比較方式、材料価格算定においては類似機能区分比較方式を原則とし、類似薬・類似機能区分が存在しない場合は原価計算方式により算定する

▽原価計算方式で算定される場合に用いる営業利益率の係数は「平均的な営業利益率に0.5を乗じた値」を用いる(有効性が推定にとどまるため低い薬価となる)

▽画期性加算、有用性加算、改良加算(以下、有用性系加算)は、有効性が「推定」にとどまることから、算定時には該当性を判断しない(有用性系加算は付与しない)

▽有用性系加算「以外」の補正加算については、イノベーション推進の趣旨に鑑み、算定時に該当性等を判断する(加算付与の可能性あり)

▽外国平均価格調整は、要件に該当する場合に適用する

▽薬価算定・材料価格算定にあたり、通常の承認を受けた再生医療等製品と同様に、薬価算定組織・保険医療材料等専門組織で審議した上で、中医協総会の了承を経る

【薬価・材料価格収載後の対応】
(1)市場拡大再算定
▽通常の承認を受けた再生医療等製品と同様に取り扱う

▽市場拡大再算定を適用する場合は、通常の承認を受けた再生医療等製品と同様に薬価算定組織・保険医療材料等専門組織において審議した上で、中医協総会の了承を経る

(2)費用対効果評価
▽有効性が「推定」にとどまることから、費用対効果の分析に必要なデータが不十分であることが想定されるため、「改めて承認を受けた際にその該当性を判断」する

(3)新薬創出・適応外薬解消等促進加算(革新的新薬薬価維持制度)
▽要件に該当する場合は適用する

【改めて承認を受けた際の取り扱い】(有効性が「確認」された後)
▽期限内に改めて承認申請が行われた場合、通常の承認が付与された後、中医協総会に報告し、通常の承認に係る審査の結果等を踏まえて原価計算方式により算定された場合の営業利益率の係数、補正加算の適用・控除について、薬価算定組織・保険医療材料等専門組織において検討した上で、中医協総会の了承を経る

▽補正加算率の計算に当たっては、新規収載品目に対する補正加算率の算式と同様とする

▽費用対効果評価の該当性については、薬価算定組織・保険医療材料等専門組織・費用対効果評価専門組織において検討した上で、中医協総会の了承を経る

【その他】
▽条件及び期限付き承認を受けた再生医療等製品に関する事例が集積するなど、状況の変化があった場合には、中医協総会に報告し、必要に応じて本取扱いの見直しを審議する



この特別ルールに沿ってエレビジスについての薬価が次のように算定され、2月12日の中医協総会で承認されました。2月20日に保険適用(薬価基準収載)が行われます。

●エレビジス点滴静注(1患者当たり)(一般名:デランジストロゲン モキセパルボベク)
▽効能・効果または性能
→デュシェンヌ型筋ジストロフィー
→ただし、以下のいずれも満たす場合に限る
・抗AAVrh74抗体が陰性の患者(関連記事はこちら
・歩行可能な患者
・3歳以上8歳未満の患者

▽主な用法・用量または使用方法
→通常、体重10kg以上70kg未満の患者には体重1kgあたり1.33×1014ベクターゲノム(vg)を、体重70kg以上の患者には9.31×1015vgを、60から120分かけて静脈内に単回投与する
→本品の再投与はしない

▽算定薬価:1患者当たり「3億497万2042円」
(参考)
→米国薬価:384万ドル(2025年の為替レート平均や5億7216万円)

▽投与患者数予測等
→2026年度に37人でピークを迎え、その後、年間20人程度で推移する見込み
→ピーク時の市場規模は約113億円

▽加算等
→本剤は希少疾病用再生医療等製品に指定されており、市場性加算I(10%)を適用
→上述のルールにより有用性系加算などは適用されない(有効性「確認」の後に、改めて薬事承認→保険適用となる際に適用の是非が検討される)

エレビジス点滴静注の薬価(中医協総会 260213)



診療側の江澤和彦委員(日本医師会常任理事)と支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は「有効性に関するデータを積極的に収集し、確実な薬事承認を目指してほしい」と製薬メーカー(中外製薬社)に要請しています。

また、本剤は非常に高額なため「既存のDPC点数では評価しきれない」(包括点数<<薬剤料)ことから、当面(まず2028年度診療報酬改定まで)、本剤を使用した入院患者については「薬剤以外も含めたすべての診療行為について出来高算定とする」取り扱いとなります(対象は010140 筋疾患(その他))。



なお、2月13日の中医協総会では次のような点も承認されています(厚労省サイトはこちら、関連記事はこちら(薬剤の供給停止・薬価削除プロセスについての明確化))。

▽承継(製造販売業者の変更)等に伴い薬価削除が必要な品目(30成分)を本年(2026年)3月頃に経過措置に移行する予定(経過措置期間は2027年3月末まで)

▽医療上の需要がなくなる等の理由によりメーカーが供給停止・薬価削除を希望する場合に、学会の意見を踏まえて薬価削除などを決定した(387品目)。うち386 品目について本年(2026年)3月頃に経過措置に移行予定(経過措置期間は2027年3月末まで)、1品目(テリパラチド皮下注用56.5μg「サワイ」)については、特許権侵害訴訟が終了し本年(2026年3月末に薬価基準から削除予定)
・同一成分の薬剤があり代替可能(333品目)
・同一成分はないが他成分で代替可能(54品目)

▽既に経過措置に移行しているが、メーカーから「経過措置期間の延長希望」があった品目(237品目)について、経過措置期間を2027年3月末まで延長する



病院ダッシュボードχ ZEROMW_GHC_logo

【関連記事】

保険薬局への「オンライン診療受診施設」設置は原則不可、保険医療機関の管理者(院長等)要件の詳細を設定—中医協総会(4)
小児のデュシェンヌ型筋ジストロフィー治療に用いる「エレビジス点滴静注」、安全性を再確認するまで保険適用論議をストップ—中医協(2)
小児の筋ジストロフィー治療に用いる「エレビジス点滴静注」、米国で5億円近い価格設定がなされ、どう保険適用を考えるか—中医協総会(2)