慢性動脈閉塞症等治療に用いる「コラテジェン筋注用」、薬事承認取り下げに伴い薬価基準から削除へ、市場流通製品は使用を控えて—厚労省
2024.6.28.(金)
慢性動脈閉塞症等の治療に用いる「コラテジェン筋注用4mg」につい薬事承認が取り下げられたことに伴い、薬価基準から削除する。削除前であっても市場流通製品の使用は控えてほしい—。
厚生労働省は6月27日に通知「『コラテジェン筋注用4mg』の保険診療上の取扱いについて」を発出し、こうした点について留意するよう医療現場に要請しました。
なお、品質や安全性に問題があるわけではないため「健康被害の恐れはない」と販売側はコメントしています。
「コラテジェン筋注用4mg」(一般名:ベペルミノゲン ペルプラスミド)は、▼慢性動脈閉塞症▼閉塞性動脈硬化症▼バージャー病—の治療薬として、2019年9月に「条件・期限付きの薬事承認」を受けました。特定の遺伝子を体内に注射し血管の再生を図ることが期待されていました。
この承認期限は「5年間」とされ(治験規模が小さかった)、その間にデータを集積し「本承認」を得る必要がありました。メーカー(アンジェス社)は本承認申請をしていましたが、効果を明確にできずに製造承認申請を取り下げたため、薬事承認が失効となりました。
厚労省はこれに伴い、保険診療上の取り扱いについて次のように通知しています。
▽市場に流通している本品については、速やかに回収措置が講じられる
→薬価基準からの削除(後述)の前であっても、保険診療上、使用を差し控えてほしい
▽本品については、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)に基づく製造販売承認が失効したことにより、「薬価基準から削除」する
→これに伴う薬価基準等の一部改正については準備中である
なお、本品を販売する田辺三菱製薬社は「市場の製品を回収するが、品質・安全性に関連する回収ではなく、健康被害が発生する恐れはない」としています(田辺三菱製薬社のサイトはこちら)。
製造メーカーであるアンジェス社は、今後、米国データをもとに改めて薬事承認申請を行う構えです。