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診療報酬改定セミナー2022 診療報酬改定セミナー2022

小児特性踏まえた緊急往診加算・在宅がん医療総合管理料の評価、重症者救急搬送の特別評価など実施へ―中医協総会(4)

2021.11.11.(木)

小児の在宅療養患者では、成人と異なる特性を持つことから、往診料の【緊急往診加算】や、【在宅がん医療総合診療料】について小児特性を踏まえた評価に改編してはどうか―。

例えばECMO導入などの重症患者を他医療機関に搬送する場合、集中治療に精通した医師が同乗するなど特別の対応が必要となる。こうした点を診療報酬で評価すべきではないか―。

11月10日の中央社会保険医療協議会・総会では、こうした方向が概ね了承されました(診療側・支払側の双方が見直し方向を了承)。今後、厚生労働省で具体的な算定要件・点数等を検討することになります。

小児在宅患者、成人と異なる状況で日中の緊急往診が必要となるケースがある

2022年度の次期診療報酬改定に向けた議論が、中医協などで本格化しています(これまでの改定論議の関連記事は最後部に整理)。

11月10日の中医協では▼在宅医療(小児在宅など)▼急性期・高度急性期入院医療—改革を主な議題としました。本稿では在宅医療に焦点を合わせます(一般病棟用の重症度、医療・看護必要度に関する議論の記事はこちら、急性期入院医療の新指標・重症患者対応に関する議論の記事はこちら、高度急性期入院医療に関する議論の記事はこちら)。



医療・医学水準、さらには介護技術の高度化などにより「在宅療養する医療的ケア児」が増加。逆に言えば、医療的ケア児への在宅医療ニーズが増加・多様化しています。当然、医療的ケア児への在宅医療の「質向上」に向けた動きが加速化するとともに、経済的な評価の必要性も高まっており、厚生労働省保険局医療課の井内努医療課長は次の2点を検討するよう中医協に要請しました。

(1)小児の在宅患者では、成人とは異なる疾患・状態で緊急往診が必要となるケースが少なくない。成人と異なる、小児への【緊急往診加算】について要件等を設定してはどうか

(2)小児の在宅末期がん患者では、成人に比べて診療期間が長く、麻薬等の投与量も多いことから、成人と異なる、小児への【在宅がん医療総合診療料】の設定等と検討してはどうか



まず(1)の【緊急往診加算】(C000【往診料】の加算、325-850点)は、診療時間内に往診を求められた際に、外来診療を停止して対応しなければならない点を踏まえた往診料の加算です。加算の性質に照らし、▼急性心筋梗塞▼脳血管障害▼急性腹症—などの「外来を停止してもなお、緊急往診が必要な状態」にのみ算定が可能です。

往診料と各種加算(中医協総会(4)1 211110)



しかし、小児の在宅患者(医療的ケア児)では、日中(診療時間内)に▼急性の呼吸不全(人工呼吸器使用中の患者や酸素使用の患者の低酸素状態等)▼嘔吐▼けいれん▼発熱—などが生じ、生命に危険が及ぶこともままあり、外来診療の手を止めて緊急往診をしなければならないケースが少なからずあるようです(小児在宅患者への医療提供を実際に行っている診療側の池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長、福井県医師会長)も同見解である)。

小児では、成人と異なる状況で緊急往診が必要となる消すがままある(中医協総会(4)2 211110)



【緊急往診加算】の要件に照らせば、こうした呼吸不全等に対応するための緊急往診では加算の算定を行うことができません(日中の診療時間内であれば夜間等の加算も算定賦課)。これは「外来の手を止めて緊急往診を行う」医療機関にとって酷と言わざるを得ません。

このため、診療側・支払側双方とも「小児の特性を踏まえた評価の工夫」(例えば小児用の【緊急往診加算】を設ける、【緊急往診加算】の算定要件に小児特有疾患を加味するなど)を行うことを進言。上述の通り、実際に在宅医療的ケア児の診療に携わる池端委員は「評価の工夫」を強く求めています。今後、厚労省で具体的な点数設計を行うことになります。

小児の在宅末期がん患者、成人より麻薬量等が多く、診療期間も長い点踏まえた評価へ

在宅の末期がん患者に対し、定期的な訪問診療を行い、総合的な医学管理・指導管理等を行う場合、C003【在宅がん医療総合診療料】(1日当たり1495-2000点)を算定することが可能です。

在宅がん医療総合診療料では、注射による鎮痛療療法などが包括評価されている(中医協総会(4)3 211110)



本診療料は包括評価となっており、▼注射による鎮痛療法▼専門的な指導管理―なども点数の中に含まれており、別算定することはできません。

ただし、小児の在宅末期がん患者では、上述のとおり▼診療日数が成人に比べて長く、在宅看取りの割合が高い▼麻薬等の使用料が成人に比べて多い▼患者とのコミュニケーション等が困難、家族の悲嘆が極めて大きいなど、成人とは異なるケアが必要となる―などの特性があり(高コストである)、現行の【在宅がん医療総合診療料】の評価水準等に疑問を投げかける医師も少なくありません。

小児の在宅末期がん患者では、成人比べて麻薬等の使用料が多く、高コストになる(中医協総会(4)5 211110)

小児末期がん患者では、成人に比べて診療期間が長くなる(中医協総会(4)4 211110)



こうした点に鑑みて、診療側・支払側双方が「小児の特性に配慮した評価を行うべきである」との見解を示しています。今後、厚労省で具体的な点数設計などを詰めていくことになります(点数の引き上げや、包括範囲の見直しなどが選択肢として考えられそうだ)。

重症患者の救急搬送、集中治療専門医の同乗など特別な対応を踏まえた評価へ

また井内医療課長は「重症患者の救急搬送(例えばA病院のICU等→B病院のICU等といった搬送)についてどう評価すべきか」という論点も提示しました。

今般の新型コロナ感染症対応の中でECMO導入患者を救急搬送するケースが多数でました。この場合、▼搬送元医療機関に搬送チームが出向きECMOを導入してから搬送するプライマリトランスポート▼すでにECMO導入されている患者を搬送するセカンダリトランスポート―があり、それぞれ特別な配慮が必要となります。

ECMO導入患者の広域搬送では特別に配慮が必要となる(中医協総会(4)7 211110)



さらにECMO導入に限らず「重症者」の救急搬送では、例えば▼集中治療の専門家派遣が必要となるケースもある(病院で待っていたのでは間に合わないケースもある)▼臨床工学技士の帯同が必要なケースもある▼集中治療用の医療器材を搬送に耐えうるものに変更する必要がある▼通常よりも強固な患者固定が必要となる▼患者の恒常性を維持する装置を準備する必要がある―ことなどが判明してきており、関係学会でガイドライン作成が進められています。

重症者の広域搬送ガイドラインが作成中である(中医協総会(4)8 211110)



患者を救急自動車等で医療機関に搬送する際、診療上の必要から当該救急車に医師が同乗して診療を行う場合には、C004【救急搬送診療料】(1300点)として評価が行われます。しかし、本点数は上記のような重症患者の救急搬送を想定しておらず、重症患者の救急搬送では医師の診療行為等の評価が十分になされていません。

救急搬送診療料の概要(中医協総会(4)6 211110)



このため中医協では、診療側・支払側の双方が「実態を踏まえた適正な評価を行うべき」旨で一致しました。診療側の島弘志委員(日本病院会副会長)は「ECMO導入患者に限らず、学会が作成するガイドラインに沿って重症患者搬送を行う場合には、相応の評価をしてほしい」と切実に訴えています。今後、厚労省で評価の詳細(例えば学会ガイドラインに沿った搬送を行う場合の加算など)を検討していくことになります。





【これまでの2022年度改定関連記事】
◆入院医療の全体に関する記事はこちら(入院医療分科会の最終とりまとめ)こちら(入院医療分科会の中間とりまとめを受けた中医協論議)こちら(入院医療分科会の中間とりまとめ)こちら(入院総論)
◆急性期入院医療に関する記事はこちら(新指標3、重症患者対応)こちら(看護必要度5)こちら(看護必要度4)こちら(看護必要度3)こちら(新入院指標2)こちら(看護必要度2)こちら(看護必要度1)こちら(新入院指標1)
◆DPCに関する記事はこちらこちら
◆ICU等に関する記事はこちらこちらこちら
◆地域包括ケア病棟に関する記事はこちらこちら
◆回復期リハビリテーション病棟に関する記事はこちらこちらこちら
◆慢性期入院医療に関する記事はこちらこちら
◆入退院支援の促進に関する記事はこちら
◆救急医療管理加算に関する記事はこちらこちら
◆短期滞在手術等基本料に関する記事はこちら
◆外来医療に関する記事はこちらこちら
◆在宅医療・訪問看護に関する記事はこちらこちらこちら
◆新型コロナウイルス感染症を含めた感染症対策に関する記事はこちら
◆医療従事者の働き方改革サポートに関する記事はこちら
◆がん対策サポートに関する記事はこちらこちら
◆難病・アレルギー疾患対策サポートに関する記事はこちら
◆認知症を含めた精神医療に関する記事はこちら
◆調剤に関する記事はこちらこちら
◆後発医薬品使用促進・薬剤使用適正化、不妊治療技術に関する記事はこちら
◆基本方針策定論議に関する記事はこちら(医療部会3)こちら(医療保険部会3)こちら(医療部会2)こちら(医療保険部会2)こちら(医療部会1)こちら(医療保険部会1)



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