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【2022年度診療報酬改定総点検2】各種加算充実し、医療従事者全体の働き方改革を診療報酬でサポート

2022.1.4.(火)

Gem Medでは、2022年度の次期診療報酬改定に向けて、これまでの中医協論議についてポイントを絞ってお浚いしています(第1回は入院医療の見直しポイントを整理)。今回は「医師をはじめとする医療従事者の働き方改革」への診療報酬によるサポートに焦点を合わせます。

各種加算を充実し、医師のみならず医療従事者の働き方改革を診療報酬でサポート

Gem Medで繰り返しお伝えしているとおり、勤務医について2024年4月から新たな時間外労働上限が設けられます【医師の働き方改革】。

原則として「年間960時間以下」が上限となりますが【いわゆるA水準】、救急医療など地域医療に欠かせない医療機関【いわゆるB水準】や、研修医など集中的に多くの症例を経験する必要がある医師【いわゆるC水準】などでは「年間1860時間以下」までに上限が緩和されます。

ただし、一般労働者と比べて「多くの医師が長時間労働に携わらなければならない」状況にあるため、医療機関の管理者(院長等)には▼28時間までの連続勤務時間制限▼9時間以上の勤務間インターバル▼代償休息▼面接指導と必要に応じた就業上の措置(勤務停止など)―といった追加的健康確保措置を講じる義務が課されます。

医師働き方改革の全体像(中医協総会1 210721)



「医師の働き方改革」を進めるにあたっては、「医師は医師免許保有者でなければ実施できない業務に特化し、医師免許保有者でなくとも実施可能な業務は他職種に移管していく」ことが極めて重要です(タスク・シフティング)。医師の業務の総量が減らなければ、どれだけ仕組みをいじっても医師の労働時間は減少しないからです。

ただし、医師から例えば看護師へのタスクシフトを行えば、看護師の業務量が増えます。このため、看護師から他職種(薬剤師や看護補助者など)へのタスクシフトも同時に進める必要があり、こうした「医療従事者全体の働き方改革」を診療報酬でもサポートしていくことが期待されているのです。

2022年度の次期改定に向けては、これまでに大きく10項目の論点が浮上しています。

(1)【医師事務作業補助体制加算】について、▼全体の点数引き上げ▼「経験年数の長い補助者」を活用する場合の点数引き上げ―などを行い、医師の負担軽減効果の高い「経験年数3年以上の補助者についての雇用安定、キャリアアップ」を確保することができないか

(2)手術・処置等の【時間外加算】等について、「勤務医の負担軽減の実効性が高まる」ような施設基準の見直しを行えないか

(3)周術期において薬剤師が専門性を発揮することで医療の質が高まる点(インシデント・アクシデントの発生抑制、業務の効率化など)を踏まえ、例えば「周術期医療への薬剤師介入」を【病棟薬剤業務実施加算】などで評価することはできないか

(4)【病棟薬剤業務実施加算】を小児入院医療管理料病棟でも取得可能とできないか

(5)専門性の高い看護師(認定看護師や専門看護師)が配置要件となっている診療報酬項目(例えば【栄養サポートチーム加算】など)について、「特定行為研修修了者」配置でも要件を満たせることとできないか

(6)2022年10月から診療報酬によって「看護師の処遇改善」を行う

(7)看護補助者配置を評価する加算(【急性期看護補助体制加算】や【夜間急性期看護補助体制加算】など)について、点数の引き上げや「看護職員向けの研修実施」の要件化などを検討してはどうか。また「直接ケアを行う看護補助者」を配置し、適切な研修等のうえで直接ケアを担当する場合の評価充実を検討してはどうか

(8)看護職員の夜間負担軽減策(例えば【夜間急性期看護補助体制加算】などにおける▼11時間以上の勤務間インターバル確保▼連続夜勤は2回まで▼夜勤後の暦日の休日確保▼看護補助者の夜間配置—といった選択的負担軽減策導入)について厳格化(例えば導入が広く進んでいる勤務間インターバルの必須化など)を行うとともに、回復期リハビリテーション病棟での夜間看護配置・業務負担軽減を診療報酬でサポートできないか

(9)ICTを活用した医療従事者の負担軽減(オンライン会議やオンラインカンファレンス、オンライン研修など)をさらに進めてはどうか

(10)【地域医療体制確保加算】について、▼加算対象の拡大(産科救急や小児救急の実施医療機関を加える)▼医師労働時間短縮計画ガイドラインを踏まえた施設基準へと見直す―を行えないか



このうち(10)の【地域医療体制確保加算】は、2020年度の前回改定で創設された新たな加算です。▼勤務医の負担が大きいと考えられる(例えば年間2000件以上の救急搬送患者を受け入れるなど)▼勤務医の負担軽減・処遇改善に積極的に取り組んでいる―急性期病院を評価することで、B水準・C水準医療機関等に該当すると思われる病院に対して「労働時間短縮に今から取り組んでほしい」というメッセージが発する効果もあると考えられます。

この点、▼産科救急・小児科救急・精神科救急医療を担う病院において、地域に必要な医療提供を担い、勤務医の負担が重い(産科や小児科で宿日直が多く、労働時間も長い)が、要件を満たさない(救急搬送件数が2000件に届かない)ために加算取得ができない▼医師の負担軽減に向けた取り組み状況・内容には格差・バラつきがあり、また「医師労働時間短縮計画ガイドライン」で求められる内容と、加算で求められる負担軽減内容に若干の差異がある―という課題も出ていることから上述の論点が浮上しました。この方向には診療側・支払側とも反対しておらず、今後の中医協に具体的な見直し内容が提示されることでしょう。

冒頭に述べたとおり、2024年度から「新たな勤務医の労働時間上限」が適用されます。地域において急性期の基幹的な役割を担う病院では「勤務医のすべてで、時間外労働を960時間以内に収める」ことが難しいのが実際であり、B水準やC水準に指定を受けることが重要となってきます。「1人でも960時間を超える時間外労働をする医師がいる場合には、B・C等の指定を受けておかなければ違法になる」点を忘れてはいけません。

B・C水準指定を受けるためには、▼労務管理の徹底・タスクシフトなどを進め、勤務医の労働時間短縮に努める → ▼医師労働時間短縮計画を作成する → ▼「医療機関勤務環境評価センター」(評価センター、従前は「評価機能」と呼ばれていた)で評価を受ける → ▼都道府県の指定を受ける―という手続きを踏むことが必要です。「2023年3月末までにB・C指定を受けていなければならない」(さもなくば1人の勤務医たりとも960時間を超える時間外労働をすることは許されない)点から逆算すると、残された時間はわずかです。しかも期限が近付けば多くの病院が評価申請・指定申請を行うため「評価・指定が期限に間に合わない」恐れもあります。可能な限り早く、▼労務管理の徹底・タスクシフトなどを進め、勤務医の労働時間短縮に努める▼医師労働時間短縮計画を作成する―必要があり、そこでは【地域医療体制強化加算】も活用することが重要でしょう。

B水準等の指定を受けるには、時短計画の作成・評価が要件となる点に変わりなく、時短計画作成を急がなければならない(医師働き方改革推進検討会(1)2 210701)



また(6)の看護職員処遇改善については、昨年末(2020年末)に後藤茂之厚生労働大臣・鈴木俊一財務大臣との間で、10月(2020年)から「診療報酬のA205【救急医療管理加算】を算定し、救急搬送件数が年間200台以上の医療機関および3次救急を担う医療機関」に対し「看護職員の収入を3%(月額平均1万2000円)程度引き上げられる」ような診療報酬上の手当て(例えば加算の創設)を行うことが合意されました。

詳細はこれから詰められますが、大きな仕組みは次のようなものとなるでしょう。

▽「対象医療機関(上述)に勤務する看護職員の収入を3%程度引き上げられる」程度の診療報酬(例えば【看護職員処遇改善加算】)を新設する

▽X病院で「100名の看護職員がおり、収入3%アップが月額1万2000円に相当する」と仮定した場合には、月額120万円(年額にして2880万円)の加算算定が可能となる

▽加算で得られた財源(X病院の例では月額120万円・年額2880万円)をもとにX病院で「スタッフの賃金引き上げ」を行う

▽ただし、どのスタッフの賃金をどの程度引き上げるかは、相当程度「X病院の裁量」が認められる(すべてを看護職員のみに充当することも、「看護職員+看護補助者」に充当すること、「看護職員+看護補助者+リハビリ専門職」に広く充当することも可能)

例にあげたX病院で「スタッフ間の賃金バランスを確保する必要がある」と考えれば、例えば「看護職員+看護補助者+リハビリ専門職」に広く充当することになるでしょう。ただし、加算で得られる財源は決まっている(上記例では月額120万円・年額2880万円)ので、対象を広げれば1人1人の賃金引き上げ額は小さくなります。どのスタッフに、どの程度の賃金引き上げ等を行うのかについては、病院サイドに大きな裁量が与えられています。したがって、必ずしも「看護職員1人1人の給与が毎月1万2000円アップする」わけではない点に留意が必要です。

なお、新たな加算の仕組みは「介護報酬の介護職員処遇改善加算を参考にする」ことになっています。介護職員処遇改善加算は「各事業所が毎月請求する総介護報酬」に「サービスごとの加算率」を乗じて計算します(1か月当たりに請求する介護報酬×●%)。算定要件として、▼スタッフの処遇改善を行う(計画および実績の資料提出)▼キャリアパス要件(職位や職責等に応じた賃金体系の整備など)を整備する▼職場環境要件(研修などの資質向上、非正規から正規への転換など)を整備する―ことが設けられています。急性期病院では、こうした体制がすでに一定程度整備されていると考えられ、新たな「看護職員処遇改善加算」がどういった仕組みになるのか、今後に注目する必要があります。





なおGem Medでは改定セミナー動画も準備しておりまず。働き方改革や看護職員処遇改善加算についても解説しておりますので、是非、あわせてご活用ください。



【これまでの2022年度改定関連記事】
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◆後発医薬品使用促進・薬剤使用適正化、不妊治療技術に関する記事はこちらこちらこちらこちら
◆医療経済実態調査(第23回調査)結果に関する記事はこちら
◆消費税対応の是非に関する記事はこちら
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◆基本方針策定論議に関する記事はこちら(医療部会5)こちら(医療保険部会5)こちら(医療保険部会4)こちら(医療部会4)こちら(医療部会3)こちら(医療保険部会3)こちら(医療部会2)こちら(医療保険部会2)こちら(医療部会1)こちら(医療保険部会1)



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