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【2022年度診療報酬改定総点検1】充実した急性期一般1で検討される新加算、財源は急性期入院料引き下げに求めるのか

2022.1.3.(月)

あけましておめでとうございます。
本年が皆様にとりまして素晴らしい年になるよう祈念しておいます。

さて2022年度には診療報酬改定が行われます。間もなく中央社会保険医療協議会で具体的な点数・基準の見直し・設定論議に入ります。

Gem Medでは、こうした「詰めの議論」に備えて、これまでの中医協論議についてポイントを絞ってお浚いしてみます。初回は「入院」に焦点を合わせます。

充実した急性期1の新加算、財源は「急性期入院料の点数引き下げ」に求めるのか

急性期入院医療を評価する【急性期一般入院基本料】(急性期一般入院料1-7)については、次のような見直し論点が浮上してきています(関連記事はこちら(看護必要度6)こちら(新指標4)こちら(新指標3、重症患者対応)こちら(看護必要度5)こちら(看護必要度4)こちら(看護必要度3)こちら(新入院指標2)こちら(看護必要度2)こちら(看護必要度1)こちら(新入院指標1))。

(1)重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)について項目の見直し、重症患者割合(看護必要度満たす患者割合)の基準値を見直すべきか否か

(2)急性期一般1について、ICU等のユニット設置、救急搬送件数・手術件数などに着目した「新たな評価」を行うべきか否か

(3)急性期入院料について点数引き下げを行うべきか否か

まず(1)は、看護必要度の不具合(急性期入院医療の必要性が低い患者を重症患者とカウントしてしまい、逆に急性期入院医療の必要性が高い患者を重症患者とカウントできないなど)を是正するために、例えば▼A項目の「心電図モニター管理」を削除する▼A項目の「点滴ライン同時3本以上の管理」を削除あるいは定義変更(使用薬剤が3種類以上などへ)を行う▼B項目の「口腔清潔」「衣服着脱」「食事摂取」について重複を整理する(一部項目を削除する)▼C項目の「骨の手術」についてC1点該当日数を8-10日に見直す―ことを検討してはどうかとの論点です。診療側委員は「新型コロナウイルス感染症が収束していない中で、重症患者対応の柱となる急性期一般1に大きな影響を及ぼす看護必要度について大きな見直しを行うべきではない」と、支払側委員は「団塊の世代がすべて後期高齢者となり、医療ニーズが急速に膨張する2025年度が目前に迫っており、コロナ禍でも急性期入院医療改革を着実に進める必要がある」と主張しており、両者の意見には大きな隔たりがあります。今後、各項目の見直しが各病院の重症患者割合にどう影響するのかのシミュレーション結果を見て、具体的な見直し論議を行っていきます。

一般病棟用の看護必要度について見直しを一部行った場合の影響(中医協総会(2)1 211217)

一般病棟用の看護必要度について見直しを一部行った場合の影響(入院料別)(中医協総会(2)2 211217)



また(2)は、急性期一般1の中でも「とりわけ充実した急性期入院医療を提供する病棟」について特別の評価(例えば新たな加算など)を行うべきかどうかとの論点です。あわせて「患者の急変→死亡」という事態を防ぐために、院内心停止の前兆となる▼平均動脈圧▼脈拍数▼呼吸数▼意識状態—などの変化を把握する「院内迅速対応システム」(RRS:(Rapid Response System)の導入などを評価してはどうか、との論点も浮上しています。

この論点について、支払側委員は「提供する医療内容・質に応じた評価を行うべき」と述べ、新加算等の創設に前向きです。一方、診療側委員は「(2)の新加算創設の財源を、(3)の急性期一般入院料の点数引き下げによって捻出するのではないか」と考え、消極的と言えます。

2020年年末に、後藤茂之厚生労働大臣・鈴木俊一財務大臣との間で「看護配置7対1の入院基本料」を含む入院医療評価の適正化などの制度改革事項が合意されています。文面通りに受け取れば、(3)のように「急性期一般入院料の点数引き下げ」を行うことが決まったとも読め、診療側委員の「急性期一般入院料の点数を下げ、(2)の新加算を創設する」との懸念が現実味を帯びてきているとも考えられます。今後の中医協論議の中で具体的な姿が明らかになってきます。

ICU用の看護必要度、B項目は廃止すべきか継続すべきか

ICU等をはじめとする高度急性期入院医療については、次のような論点が浮上しています(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

(1)看護必要度の見直し(例えばB項目全体の削除、A項目の「心電図モニター管理」「輸液ポンプ管理」の削除、レセプト電算処理システムコードによる看護必要度評価(いわば看護必要度II)の導入など)を行うべきか否か

(2)臓器移植患者やECMO管理患者などにおける算定日数上限の延伸を行うべきか否か

(3)看護職員や臨床工学技士等を手厚く配置するユニットについて特別の評価を行うべきか否か

(4)集中治療データベース「JIPAD」への協力や遠隔ICU支援などを行うユニットを特別に評価すべきか否か

(5)バイオクリーンルーム要件について、学会指針見直しなどを踏まえて緩和すべきか否か

これらのうち(2)-(5)については診療側・支払側ともに特段の反対意見を示しておらず、厚労省による具体的な見直し内容提示を待って中医協で細部を詰める段階に入ってきています。

ただし(1)については「項目の見直しが各ユニットに及ぼし影響」の試算を行い、その結果を踏まえて改めて検討することになっています。とりわけ「B項目」については、すでに「廃止・削除しても、ほとんどのユニットに影響はでない」(A項目4点を満たす患者のうち、B項目3点以上を満たさない患者はわずか1.7%に過ぎない)との粗い試算結果が示されていますが、診療側委員は「B項目の継続は重要である」と慎重姿勢です。年明けの試算結果を踏まえた議論に注目が集まります。

A項目4点以上を獲得しながら、B項目が3点未満であったICU患者はわずか1.7%に過ぎない(中医協総会(3)3 211110)

DPC、入院初期の医療資源投入量増加を踏まえて「点数配分方式」をどう考えるか

急性期入院医療について、標準化を進めるために包括評価を行うDPC制度では、(1)診療実態や投下コスト実態など踏まえた診断群分類の精緻化を進めてはどうか(2)入院初期の医療資源投入量が増加傾向を踏まえた点数配分設計をどう考えるか(例えばB方式・D方式の拡大など)(3)機能評価係数IIの地域医療係数(体制評価指数)でコロナ感染症対策など評価してはどうか(4)4 DPC病院に「外来診療に関するさらなるデータ提出」を求めてはどうか―との論点が浮上しています(関連記事はこちらこちらこちら)。

このうち(1)は、例えば「DPC病棟に直接入院する脳梗塞患者大腿近位骨折患者」と「他院のDPC病棟にいったん入り、そこから転棟してくる脳梗塞患者」では、同じ傷病でも「資源投入量が大きく異なる」点を踏まえて「別の診断群分類とする」ことなどが検討されます。

脳梗塞では、入棟元による資源投入量の大きな差はない(その1)(入院医療分科会(3)1 211001)

脳梗塞では、入棟元による資源投入量の大きな差はない(その2)(入院医療分科会(3)2 211001)



また(2)は、「入院初期に投入される医療資源量が増加している」点を踏まえて点数配分を見直す必要はないのか、という新たな論点です。入院初期の医療資源投入量(つまりコスト)が大きく増加した場合、現在のメイン配分方式である「A方式」ではコスト回収ができず「無用な入院期間の延伸を生む」ことが懸念されているものです。

DPC点数設定方式の標準となる「A方式」、入院期間Iまでの点数が、入院期間IIよりも15%高くなるように設定されている(中医協総会(2)1 211124)

DPCでは4つの点数設定方式があり、標準的なAのほかに「入院初期の医療資源投入量が多いケースに対応する」B方式や、高額薬剤を使用する際に「入院初日に多くの支払いを行ってしまう」D方式などもある(中医協総会(2)2 211124)



今後の具体案を待って最終的な詰めの論議を中医協で行うことになります。

地域包括ケア病棟、「自院の急性期後患者受け入れに偏る病棟」の評価をどう考えるか

地域包括ケア病棟入院料・地域包括ケア入院医療管理料に関しては、(1)自院の急性期病棟からの転棟患者受け入れに偏った病棟の評価をどう考えるか(2)在宅患者対応に力を入れる地域包括ケア病棟1・3の実績要件(訪問診療提供、訪問看護提供など)について再整理を行ってはどうか(3)包括評価の中でも【入退院支援加算1】については出来高算定が認められているが、【入退院支援加算1】の届け出割合は4割にとどまっている点をどう考えるか―などの論点が出てきています(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

注目される(1)では、例えば「400床未満病院の地域包括ケア病棟でも、自院の急性期病棟からの転棟患者割合が高い(60%以上)場合の入院料1割減算を行ってはどうか」などの具体的な見直し論点も浮上しています。しかし、「コロナ禍での見直しは避けるべき」(他病院からのコロナ回復患者受け入れを躊躇する地域包括ケア病棟等も少なくない)との指摘もあり、どういった見直しになるのか今後の詰めの議論に注目する必要があります。

自院のpost acute患者割合の高い病棟は、患者の状態が安定している(入院医療分科会(6)5 211001)

自院のpost acute患者割合の高い病棟は、医師の診察頻度も少ない(入院医療分科会(6)6 211001)

自院のpost acute患者割合の高い病棟は、医療資源投入量の少ない(入院医療分科会(6)7 211001)

自院のpost acute患者割合は、300床台・200床台病院の地域包括ケア病棟でも高い(その1)(入院医療分科会(6)8 211001)

回復期リハビリ病棟、適切なADL測定、良質なリハビリ提供を推進

回復期リハビリテーション病棟については、(1)入門編と言える「入院料5・6」に長期間とどまる病棟が一部あり、例えば「届け出可能期間の上限」などを検討してはどうか(2)ADL測定を正確に行うことの重要性に鑑みて、例えば「病院機能評価などの第三者評価」受審(組織として適切にADL測定・評価を行う体制を敷いているか否かなど)などを評価項目に導入してはどうか(3)特定機能病院の回復期リハビリ病棟について経過措置を延長すべきか(4)心大血管疾患リハビリ患者を「回復期リハビリが必要な患者」に位置づけるべきか―といった論点が浮上しています(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

このうち(3)は「特定機能病院では10対1以上の看護配置など、高度医療提供のために手厚い人員配置が求められている中で、15対1看護でよい回復期リハビリ病棟設置は好ましくないのではないか」との考えに基づき、2020年度の前回改定で「2022年3月まで」の経過措置となっている点をどう考えるか、との論点です。この考えに基づけば「段階的に廃止していく」方向が見えてきますが、一方(4)の「心大血管疾患リハビリを行える回復期リハビリ病棟」として「特定機能病院の回復期リハビリ病棟」に注目する関係者も少なくありません。両者をセットで考えていく必要があるかもしれません。

療養病棟、適切なリハビリ提供や中心静脈栄養空の早期離脱を促す

療養病棟入院基本料に関しては(1)経過措置型療養があたかも「ミニ回復期リハビリ病棟」化している点をどう考えるか(例えば、どうせリハビリをするのであれば適切な実施を求めてはどうかなど)(2)中心静脈栄養からの早期離脱を目指して、例えば「摂食嚥下支援加算」の要件を「他院と連携して満たす」ことも認めてはどうか―などの論点が浮上しています(関連記事はこちらこちらこちら

例えば「経過措置型療養の点数設定をさらに厳しくする」などの手法も考えられますが、その場合には「減算分を取り戻すために、より多くのリハビリなどを行う」という対抗手段が検討される可能性が高いと考えられます。そうであるならば「リハビリを適切に提供してもらうために基準を設けてはどうか」と発想の転換を行うことも重要になることでしょう。今後の具体案に注目が集まります。



このほか、入院医療について次のような見直し論点が浮上しています。

▽障害者施設等入院基本料については、栄養サポートチーム加算の届け出を可能とし、「重度の意識障害『以外』の脳卒中後遺症患者」について療養病棟と同様の評価(医療区分・ADL区分に基づく包括評価として、薬剤等の出来高算定を認めない)(関連記事はこちら

▽緩和ケア病棟において「定量的な疼痛評価」の推進を診療報酬でもサポートする(関連記事はこちら

▽有床診療所入院基本料について、在宅医療の拠点、在宅療養患者が増悪した場合の後方病床としての役割に着目した評価充実を行い、透析対応を行う場合の評価(慢性維持透析管理加算など)を行う(関連記事はこちら

▽救急医療管理加算について「定量基準」導入に向けた検討をさらに進める(関連記事はこちらこちらこちら

▽入退院支援加算1について、点数の引き上げを行うことで「人材確保」につなげる(関連記事はこちらこちら

▽診療録管理体制加算について、昨今のランサムウェア被害等に鑑みた要件設定を行う(関連記事はこちらこちら

▽短期滞在手術等基本料2について「廃止」も含めた検討を行うとともに、短期滞在手術等基本料3について「在院日数等踏まえた点数見直し」や「新規項目の導入」などを行う(関連記事はこちらこちら



もちろん、これらは例示であり、「他の論点が急浮上してくる」ことや「2024年度改定以降の宿題とし、2022年度改定では見送る」ことも出てくる点にはご留意ください。



なおGem Medでは外来や在宅などの総点検記事を掲載するとともに、改定セミナー動画の中でも全体の振り返りを行います。是非、ご活用ください。



【これまでの2022年度改定関連記事】
◆入院医療の全体に関する記事はこちら(入院医療分科会の最終とりまとめ)こちら(入院医療分科会の中間とりまとめを受けた中医協論議)こちら(入院医療分科会の中間とりまとめ)こちら(入院総論)
◆急性期入院医療に関する記事はこちら(看護必要度6)こちら(新指標4)こちら(新指標3、重症患者対応)こちら(看護必要度5)こちら(看護必要度4)こちら(看護必要度3)こちら(新入院指標2)こちら(看護必要度2)こちら(看護必要度1)こちら(新入院指標1)
◆DPCに関する記事はこちらこちらこちら
◆ICU等に関する記事はこちらこちらこちらこちら
◆地域包括ケア病棟に関する記事はこちらこちらこちらこちら
◆回復期リハビリテーション病棟に関する記事はこちらこちらこちらこちら
◆慢性期入院医療に関する記事はこちらこちらこちらこちら
◆入退院支援の促進などに関する記事はこちらこちら
◆救急医療管理加算に関する記事はこちらこちらこちら
◆短期滞在手術等基本料に関する記事はこちらこちら
◆外来医療に関する記事はこちらこちらこちらこちら
◆在宅医療・訪問看護に関する記事はこちら(訪問看護)こちら(小児在宅等)こちら(訪問看護)こちらこちら
◆オンライン診療に関する記事はこちら
◆新型コロナウイルス感染症を含めた感染症対策に関する記事はこちらこちら
◆医療従事者の働き方改革サポートに関する記事はこちらこちら
◆がん対策サポートに関する記事はこちらこちら
◆難病・アレルギー疾患対策サポートに関する記事はこちら
◆認知症を含めた精神医療に関する記事はこちらこちら
◆リハビリに関する記事はこちら
◆小児医療・周産期医療に関する記事はこちら
◆医療安全対策に関する記事はこちら
◆透析医療に関する記事はこちら
◆個別疾患管理等に関する記事はこちらこちら
◆データ提出等に関する記事はこちらこちら
◆調剤に関する記事はこちらこちらこちら
◆後発医薬品使用促進・薬剤使用適正化、不妊治療技術に関する記事はこちらこちらこちらこちら
◆医療経済実態調査(第23回調査)結果に関する記事はこちら
◆消費税対応の是非に関する記事はこちら
◆薬価・材料価格調査に関する記事はこちら
◆改定率に関する記事はこちら
◆基本方針策定論議に関する記事はこちら(医療部会5)こちら(医療保険部会5)こちら(医療保険部会4)こちら(医療部会4)こちら(医療部会3)こちら(医療保険部会3)こちら(医療部会2)こちら(医療保険部会2)こちら(医療部会1)こちら(医療保険部会1)



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2022年度診療報酬改定論議、コロナ感染症の影響など見据え7・8月に論点整理―中医協総会(1)

医療部会も2022年度改定基本方針案を了承、12月10日の中医協に報告されるが正式諮問は年明けに—社保審・医療部会(1)
2022年度改定基本方針を了承、医療提供体制改革・医師働き方改革が重点課題—社保審・医療保険部会
2022年度診療報酬改定の基本方針策定は目前、オンライン資格確認稼働から1か月間の状況は―社保審・医療保険部会
2022年度診療報酬改定、「強固な医療提供体制の構築」「医療従事者の働き方改革」が重点課題―社保審・医療部会
かかりつけ医制度化を検討すべきか、感染症対策と医療提供体制改革はセットで検討を―社保審・医療保険部会(1)
平時に余裕のない医療提供体制では有事に対応しきれない、2022年度診療報酬改定での対応検討を―社保審・医療部会(1)
コロナ感染症等に対応可能な医療体制構築に向け、2022年度診療報酬改定でもアプローチ―社保審・医療保険部会(2)
「平時の診療報酬」と「感染症蔓延時などの有事の診療報酬」を切り分けるべきではないか―社保審・医療部会
診療報酬で医療提供体制改革にどうアプローチし、医師働き方改革をどうサポートするか―社保審・医療保険部会(1)