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GemMed塾 短期間で効果を出せるコスト削減の手法とは ~パス改善と材料コスト削減~

紹介受診重点病院の創設に伴う加算新設、機能強化加算に実績要件を設け、「外来機能分化」を推進―中医協総会(4)

2022.1.27.(木)

お伝えしているとおり、1月26日の中央社会保険医療協議会・総会で、2022年度診療報酬改定に向けた「個別改定項目」(いわゆる短冊)が明らかにされました。

本稿では、「外来医療」などに焦点を合わせます(一般病棟用の重症度、医療・看護必要度見直しの記事はこちら、急性期入院医療・高度急性期入院医療に関する記事はこちら、回復期・慢性期入院医療に関する記事はこちら)。「在宅医療」や「訪問看護」、「オンライン診療」などはそれぞれ別稿で報じます。

●短冊はこちら

一般病床200床以上の紹介受診重点病院、入院初日の加算を設け、外来患者減を補填

まず外来医療のうち、大規模病院や外来機能分化に関連する事項を眺めると次のような項目があがっています。

(1)紹介状なし患者からの特別負担徴収義務について次のような見直しを行う
▽現行の「特定機能病院」「一般病床200床以上の地域医療支援病院」に、「一般病床200床以上の紹介受診重点医療機関」も対象に加える
▽定額負担を求める患者の初診料・再診料を一定額割り引く
▽定額負担額を引き上げる
▽除外要件(特別負担を求めずともよいケース)について、「急を要しない時間外の受診」「単なる予約受診」など、患者都合で受診する場合は認められないことなどの明確化・整理を行う

(2)一般病床200床以上の紹介受診重点医療機関を対象に【紹介受診重点医療機関入院診療加算】を創設する(地域医療支援病院入院診療加算との併算定は不可)

(3)紹介率・逆紹介率が低い病院における初診料・外来診療料の減算規定について次のような見直しを行う
▽現行の「特定機能病院」「一般病床200床以上の地域医療支援病院」に、「一般病床200床以上の紹介受診重点医療機関」も対象に加える
▽紹介率・逆紹介率を「紹介割合」「逆紹介割合」に名称変更し、定義等を実態に即したものへ見直す

(4)「外来→在宅」と移行する患者に円滑な医療提供が行われるよう、外来担当医と在宅担当医が共同して指導等を実施した場合の評価【外来在宅共同指導料】を新設する(外来・在宅双方の担当医が算定可能)

(5)紹介を受けた患者に対しどういった治療等を行ったかなどの情報を紹介元へ返した場合の評価である【診療情報提供料(III)】について、名称を【連携強化診療情報提供料】に変更し、▼算定回数の拡大▼「かかりつけ医-紹介受診重点医療機関」間の情報連携評価を行う―といった見直しを行う



昨年(2021年)末に「紹介受診重点医療機関」の枠組みが明確化されたことを受け、地域医療支援病院に倣った評価等(紹介状を持たない場合に特別負担が生じるため、どうしても外来患者が減少する。その分を、資源集約の恩恵を受ける入院医療において加算で補填するなど)げを行うものです。どういった運用が行われ、外来医療機能分化がどう進むのかを注視していく必要があります。

機能強化加算に、地域包括診療加算や在宅医療提供の「実績要件」を導入

外来医療では「かかりつけ医機能の評価」が重要論点の1つとなりました。この点、例えば次のような見直しが行われます。

(1)【地域包括診療料】・【地域包括診療加算】について次のような見直しを行う
▽対象疾患に「慢性心不全」「慢性腎臓病」を追加する
▽患者に対する生活面の指導を、必要に応じ「医師の指示を受けた看護師や管理栄養士、薬剤師」が行うことを認める
▽「患者からの予防接種に係る相談に対応すること」「院内掲示により、当該対応が可能なことを周知する」ことを要件に加える

(2)【小児かかりつけ診療料】について、「時間外対応」を「自院で行う体制を整えている」か、「他院と連携して行う体制としている」かに応じた評価区分を設ける

(3)耳鼻咽喉科において、▼6歳未満の乳幼児へ処置を行った場合の【耳鼻咽喉科乳幼児処置加算】の新設▼6歳未満の乳幼児への抗菌薬使用を適正化した場合の【耳鼻咽喉科小児抗菌薬適正使用支援加算】の新設▼耳処置、鼻処置、口腔・咽喉処置の評価見直し―を行う

(4)【機能強化加算】について、例えば次のような見直しを行う
▽必要に応じて「専門医への紹介」や「健康管理相談」「医薬品の把握」「緊急時対応」などを行うとともに、その旨を院内掲示・ホームページ等で示すことを要件化する
▽直近1年間の「地域包括診療加算2の算定回数」「往診等の回数」に関する実績基準を設ける

(5)「在支診以外の診療所」(在宅医療にとりわけ力を入れているわけではない)が、自院のかかりつけ患者が在宅医療が必要となった場合に、他の医療機関との連携等により24時間の往診・連絡体制を構築することを評価する【継続診療加算】について、名称を【在宅療養移行加算】に変更し、「地域の医師会などと連携して在宅医療体制を確保する」場合の評価を新設する

(6)生活習慣病管理料について次のような見直しを行う
▽生活習慣に関する総合的な治療管理を、看護師、薬剤師、管理栄養士等の多職種と連携して実施することが可能である旨を明示する
▽糖尿病・高血圧症患者の管理方針を変更した場合に、患者数の定期的な記録は求めない
▽投薬に係る費用を「包括範囲から除外」する



機能強化加算に「実績要件」が持ち込まれた背景には、中医協において支払側委員が「かかりつけ医機能が患者にとって極めて不明確であるにもかかわらず、診療報酬での評価がなされ、患者が『知らない間、了解せぬ間に費用負担を強いられている』状況を一刻も早く改善する必要がある」旨の考えを極めて強く求めてきたことがあります。「かかりつけ医の制度化」は困難ですが、患者に「●●医師が私のかかりつけ医である」ときちんと認識してもらうことが重要です。なお、この点、診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は「実績要件が過度に厳しいものにならないように留意すべき。【機能強化加算】はかかりつけ医機能を持つという『体制』を評価する点数である点を再確認する必要がある」と釘を刺しています。

なお、(6)の生活習慣病管理料について「投薬の費用が別途出来高算定となる」点を踏まえて、支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は「本体を低めの点数にすべき」と主張しています。

リフィル処方の運用、支払側は「制限をかけるな」と、診療側は「適切なルールを」と要望

また、地域において他医療機関はもちろん、医療機関以外の施設とも連携して「質の高い保健医療サービス」提供を可能とするために、次のような幅広い見直しも行われます。

▽診療情報提供料(I)について、▼情報提供先に保育所などを追加する▼対象患者に「小児慢性特定疾病支援の対象患者」(いわば小児の難病患者)を追加する―などの見直しを行う

▽手術前後の栄養管理を医師・管理栄養士が連携して行うことを【周術期栄養管理実施加算】として新たに評価する

▽特定機能病院において、管理栄養士が他職種と連携して患者の栄養管理を行うことを【入院栄養管理体制加算】として新たに評価する

▽手術後の、チームによる質の高い疼痛管理を【術後疼痛管理チーム加算】として新たに評価する

▽医師の判断で「繰り返し利用可能」なリフィル処方箋に対応可能なように処方箋様式を見直し、リフィル処方箋を使用した場合には「処方箋料の長期投薬減算」を適用しない取り扱いとする

▽画像診断報告書や病理診断報告書の「確認漏れ」防止対策を院内の部門が横断的に工事、診断・治療開始遅延を防止する取り組みを【報告書管理体制加算】として新たに評価する

▽【療養・就労両立支援指導料】について、▼対象疾患の拡大(心疾患、糖尿病、若年性認知症)▼勤務先の情報提供者の拡大(衛生推進者)―を行う



このうちリフィル処方箋関連について支払側の松本委員は「通知や事務連絡に置いて特段の制限はかけず、リフィル処方箋を広めるべき」と提案しましたが、診療側も城守委員は「長期処方にはリスクがあり、安心安全な医療提供のために医師は長期処方を行わない。患者の健康に問題が出ないよう、慎重かつ丁寧に始めるべき」と述べ、通知・事務連絡で適切な基準・要件を設けるよう反論しています。



なおGem Medでは改定セミナー動画も準備しております。是非、あわせてご活用ください。



【これまでの2022年度改定関連記事】
◆議論の整理(改定項目一覧)に関する記事はこちら
◆入院医療の全体に関する記事はこちら(入院医療分科会の最終とりまとめ)こちら(入院医療分科会の中間とりまとめを受けた中医協論議)こちら(入院医療分科会の中間とりまとめ)こちら(入院総論)
◆急性期入院医療に関する記事はこちら(新指標5ほか)こちら(看護必要度8)こちら(看護必要度7)こちら(看護必要度6)こちら(新指標4)こちら(新指標3、重症患者対応)こちら(看護必要度5)こちら(看護必要度4)こちら(看護必要度3)こちら(新入院指標2)こちら(看護必要度2)こちら(看護必要度1)こちら(新入院指標1)
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◆回復期リハビリテーション病棟に関する記事はこちらこちらこちらこちらこちら
◆慢性期入院医療に関する記事はこちらこちらこちらこちらこちら
◆入退院支援の促進などに関する記事はこちらこちら
◆救急医療管理加算に関する記事はこちらこちらこちら
◆短期滞在手術等基本料に関する記事はこちらこちら
◆外来医療に関する記事はこちらこちらこちらこちら
◆在宅医療・訪問看護に関する記事はこちら(訪問看護)こちら(小児在宅等)こちら(訪問看護)こちらこちら
◆オンライン診療に関する記事はこちら
◆新型コロナウイルス感染症を含めた感染症対策に関する記事はこちらこちら
◆医療従事者の働き方改革サポートに関する記事はこちらこちら
◆がん対策サポートに関する記事はこちらこちら
◆難病・アレルギー疾患対策サポートに関する記事はこちら
◆認知症を含めた精神医療に関する記事はこちらこちら
◆リハビリに関する記事はこちら
◆小児医療・周産期医療に関する記事はこちら
◆医療安全対策に関する記事はこちら
◆透析医療に関する記事はこちら
◆個別疾患管理等に関する記事はこちらこちら
◆新規医療技術に関する記事はこちら
◆データ提出等に関する記事はこちらこちら
◆調剤に関する記事はこちらこちらこちら
◆後発医薬品使用促進・薬剤使用適正化、不妊治療技術に関する記事はこちらこちらこちらこちら
◆医療経済実態調査(第23回調査)結果に関する記事はこちら
◆消費税対応の是非に関する記事はこちら
◆薬価・材料価格調査に関する記事はこちら
◆改定率に関する記事はこちら
◆基本方針策定論議に関する記事はこちら(医療部会5)こちら(医療保険部会5)こちら(医療保険部会4)こちら(医療部会4)こちら(医療部会3)こちら(医療保険部会3)こちら(医療部会2)こちら(医療保険部会2)こちら(医療部会1)こちら(医療保険部会1)
●薬価制度改革に関する記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちら
●保険医療材料制度改革に関する記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちら
●費用対効果評価制度改革に関する記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちら
●公聴会に関する記事はこちら



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