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GemMed塾 「看護必要度」新制度シミュ―レーション

2022年度診療報酬改定、看護必要度見直し・治療と仕事両立支援・看護補助者確保などで多様な意見―中医協総会(1)【公聴会】

2022.1.21.(金)

2020年度の次期診療報酬改定に向けて、「医療従事者の働き方改革」や「医療機能の分化・強化、連携の推進」の診療報酬でのサポート、さらに「オンライン診療の推進」「緊急時の複数名訪問看護」などを検討すべき―。

1月21日に開催された中央社会保険医療協議会の公聴会で、現場関係者からこういった要望が出されました。

コロナなど有事に対応するには「平時からのゆとりを持った人員配置と診療報酬」が必要

公聴会は、中医協委員と厚生労働省担当者が地方に赴き、診療報酬改定に関する一般市民の意見を聞き改定内容に反映させることを狙って開催されます。ただし2022年度の次期診療報酬改定に向けた公聴会は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点からオンライン形式で開催されました。

意見発表を行ったのは12名で、▼健康保険組合▼病院▼患者支援団体▼診療所(医科・歯科)▼自治体▼医学会▼一般企業▼労働組合▼調剤薬局▼不妊治療等支援団体▼大学病院看護部―の代表というバラエティに富んだ構成となっています。

意見は多岐にわたりますが、例えば(1)新興感染症に対応できる強固な医療提供体制の構築(2)重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)の見直し(3)かかりつけ医機能の推進(4)オンライン診療や仕事と治療の両立支援(5)看護補助者の育成と確保(6)ピアサポート(7)不妊治療支援―などの事項に関する意見が目を引きました。

まず(1)は、2022年度診療報酬改定の基本方針において「重点事項」の1つ目にも掲げられたものです。例えば、健保組合を代表して意見を述べた秋山実氏(日本航空健康保険組合理事長)は「新型コロナウイルス感染症の影響で健保財政が極めて厳しい(給与減・賞与減などで保険料収入が減少する一方で、高齢化の進展により高齢者医療を支える拠出金等の支出が大きく伸びている)中では、限られた医療資源の重点化・効率化が不可欠であり、入院・外来ともに機能分化と連携の強化を推進する必要がある。入院では、とりわけ『急性期機能の集約化』が必要不可欠である」と訴えました。

今般のコロナ感染症対応を通じて「我が国では医療機関が多すぎ、限られた医療資源(例えば医師・看護師などの医療人材)が散在してしまっている。このために重症患者等に適切に対応することが困難な状況に陥っている」という課題が露見しました。「急性期・高度急性期医療提供体制の集約化」が、診療報酬改定はもちろん、今後の医療提供体制改革において重要な論点の1つになります。

もっとも医療提供サイドからは「コロナ感染症が猛威を振るう中では、急性期病床の確保が極めて重要な課題になっている。そうした中(コロナ感染症が急拡大する中)で急性期病床の減少を検討することは愚の骨頂である」との厳しい指摘もあります。

今後の「2022年度改定に向けた詰めの論議」における重要な争点の1つとなります。

病院代表者「心電図モニター削除は医療現場からは到底理解できない」

入院医療の機能分化・連携の強化で重要になってくるのが、(2)の看護必要度です。中医協では、例えば「A項目の心電図モニターを削除する。B項目の衣服着脱を削除する。C項目の骨の手術の該当日数を短縮する」などの論点が浮上していますが、病院代表として意見を述べた松井道宣氏(京都九条病院理事長)は「医療現場の感覚では、心電図モニター管理の削除などは到底理解できない」と中医協論議(とりわけ支払側委員の主張)を批判。あわせて松井氏は「コロナ対応する中で、平時から一定の『ゆとり』をもたせた医療人材配置とその評価がなされていなければ有事には到底対応できないことが明確になった」旨も強調し、「手厚い看護配置等に対する診療報酬上の手当て」を求めています。

関連して医学会代表として意見を述べた小林弘祐氏(内科系学会社会保険連合理事長)は、「現在の看護必要度には、内科系医師の負荷が全く考慮されていない。▼検査(出来高換算)▼画像診断(出来高換算)▼使用した注射薬剤種類数▼薬効分類331(血液代用剤)処方の有無▼特定器材算定の有無▼当該日の処方開始注射薬の有無―という6つのD項目を内保連では提唱しており、今後、看護必要度へ導入を検討すべきである」と提言しました(内保連のサイトはこちら)。

看護必要度については、例えば「心電図モニター管理」を削除した場合、200床未満病院の急性期一般1では「30%近くがクリア不能になる」といった試算結果も出ており、今後の「詰めの論議」の中で、厳しい見直し論議が集中的に行われます。

かかりつけ医の制度化、報酬の過度な包括化で国民・医師の自由を奪ってはいけない

(3)のかかりつけ医機能については、中医協でも支払側委員を中心に「制度化」を求める声があります。これに対しクリニック代表として意見を述べた黒瀬巌氏(ケイアイクリニック理事長)は「かかりつけ医の制度化を行えば、患者・国民のフリーアクセスを阻害してしまう。また、かかりつけ医機能評価(点数)の過度な包括化を行えば、医師の柔軟な裁量を阻害してしまう。こうした点を踏まえた議論を行うべき」と要望しています。

かかりつけ医機能を巡っては、「そもそも『かかりつけ医機能』とは何か」「かかりつけ医とは何をしてくれるのか」などについて見解が大きくバラついており、制度化論議などは極めて慎重に行う必要があるでしょう。

仕事と治療の両立支援、疾患でなく「症状・病状」を算定要件の軸に据えてはどうか

また(4)オンライン診療については、患者代表として意見を述べた宿野部武志氏(ピーペック代表理事)から「コロナ禍はもちろん、コロナ感染症が収まった後にも通院困難な患者のために推進・拡大を行うべき」との積極推進意見が出された一方、クリニック代表の松井氏からは「利便性・営利性を追求する形でのオンライン診療は好ましくない。医療の質を担保したうえで、安全性・信頼性を確保できるような基準を設定して進めるべきである。地域医療提供体制をこわしてはいけない」との慎重意見も出ています。

なお、宿野部氏は「高齢者や難病患者など、通院困難者では、待ち時間も併せて外来の通院だけで丸1日かかってしまうこともある。とりわけ通院が困難な場合には、『今日は直接受診でなく、オンライン診療で良い』などの柔軟な診療体制が構築されると良い」と希望しています。



関連して「仕事と治療の両立」を推進する必要があるとし、宿野部氏は「【療養・就労両立支援指導料】の要件を見直すべき。例えば、現在は疾患を算定要件としているが、『病状・症状』を算定要件の中心に据えてはどうか」と提案しました。自身も透析患者であり、また患者支援も行う宿野部氏ですが「自分の周辺、患者支援を行う仲間の周辺にも【療養・就労両立支援指導料】算定患者は見当たらない。算定要件の見直しを急ぐべき」と強く求めています。

【療養・就労両立支援指導料】の対象疾患は、「がん」→「脳梗塞、脳出血、くも膜下出血その他の急性発症した脳血管疾患、肝疾患(経過が慢性なものに限る)指定難病(医療費助成の対象となる重症患者に限る)、その他これに準ずる疾患」と拡大され、さらに2022年度改定では「心疾患、糖尿病、若年性認知症」への拡大も検討されています。今後の議論の中で、宿野部氏の意見がどのように勘案されるのか注目が集まります。

看護補助者の教育を充実させ、それを要件の処遇改善を行うことで看護補助者確保を

(5)看護補助者の育成と確保は「医療従事者の働き方改革」支援において極めて重要なテーマとなります。

2024年度から勤務医に新たな時間外労働上限(原則960時間以内、救急など地域医療確保に欠かせない病院や、研修医などでは例外的に1860時間以内)が課され、「医師から他職種(例えば看護職員など)へのタスクシフトが急務となっています。しかし看護職員も極めて多忙であり、医師からの業務移管が行われた場合には、自身の業務の一部(看護師資格を保有していなくても実施可能な業務)を他職種(例えば看護補助者や薬剤師など)に移管することが必要となります。

この点、看護職員代表として意見を述べた山田佐登美氏(川崎医科大学総合医療センター看護部長付参与)は「看護補助者および看護職員への教育充実と処遇改善」が必要であると強く訴えました。

日本全国の病院で「看護補助者の確保」が困難であることはここで述べるまでもありませんが、山田氏は「業務内容に比べて給与水準が低すぎる」(患者の健康・生命に関連する業務を行っているにもかかわらず給与が低い)、「モチベーションの維持が困難である」(「言われたことだけやればよい」との扱いをいまだにしている医療現場もある)という課題があり、これを改善するためには、「看護補助者の教育を通じて知識・スキルを向上させる」→「知識・スキルに見合った処遇(給与引き上げなど)を行う」ことが重要であると指摘、このためには、例えば看護補助者配置を評価する点数において「教育の充実を要件化する」「点数の引き上げを行う」ことなどが重要な視点になってくるでしょう。

ピアサポートの推進、診療報酬でも何らかのアプローチができないか

また(6)ピアサポートは、例えば「患者による患者の心理的支援」などのイメージです。「がん患者の心労・不安・恐怖などは、『がんを経験した人』でなければわからない」と指摘されます。患者代表の宿野部氏は、「院内・院外でのぴあサポートの推進」を強く医療関係者等に要望しました。

この点、一気に診療報酬で評価することは難しいかもしれませんが、例えば「がん診療連携拠点病院の指定要件」見直し論議の中で「ピアサポート支援を拠点病院の要件に盛り込んではどうか」といった議論も始まっており、将来的な重要論点の1つになりそうです。

安全・適切な不妊治療を行う施設が選択できるよう、情報開示を推進してほしい

さらに(7)不妊治療支援は、2022年度診療報酬改定の重要ポイントの1つです。従前は補助事業で行われていたところ、「有効性・安全性のエビデンスが確認された不妊治療技術から、順次、保険適用を行っていく」方針が明確にされています。

この点、兒玉和歌子氏(不妊・不育治療の環境改善を目指す当事者の会)は「具体的にどの技術が保険適用されるのか、補助事業で既に実施された助成回数は保険診療に引き継がれるのか(その場合、保険診療で受けられる不妊治療回数は少なくなる)など、制度の詳細が見えず、治療計画が立てられないケースがある」とし、早期の情報提供を求めました。

併せて、「施設ごとの治療内容や治療実績について、可能な限り詳細に情報開示してほしい」とも強く要望しています。兒玉氏は「現在、不妊治療施設の情報は十分に開示されておらず、医学的知識の乏しい患者サイドにとって、施設選択はギャンブルに近いものとなっている」と現状を説明し、安全かつ適切な施設選択が可能な環境が保険適用で進むことに期待を寄せました。



ほかにも細かな要望が示されており、また2022年度の次期改定に向けた国民の意見聴取は「パブリックコメント募集」という形でも行われています。中医協の小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)は、公聴会とパブリックコメントの双方の意見も踏まえて、これから「詰めの協議」を行っていく考えを述べています。



なおGem Medでは改定セミナー動画も準備しております。是非、あわせてご活用ください。



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