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湿布薬の処方上限引き下げ、経口のHIF-PH阻害剤を人工腎臓点数に包括、巨大チェーン薬局にメス―中医協総会(3)

2022.1.31.(月)

Gem Medでは、中央社会保険医療協議会・総会における個別改定項目(いわゆる短冊)論議を順次、報じています(1月26日に行われた看護必要度見直しの記事はこちら、急性期入院医療・高度急性期入院医療に関する記事はこちら、回復期・慢性期入院医療に関する記事はこちら、外来医療等に関する記事はこちら、在宅医療や訪問看護に関する記事はこちら、オンライン診療等に関する記事はこちら、1月28日に行われた働き方改革に関する記事はこちら、疾患対策や救急医療管理加算等に課する記事はこちら)。

本稿では「効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」に焦点を合わせます。

●短冊はこちら

後発品の使用促進に向け加等を厳格化、後発品割合80%を最低基準とせよとの声も

医療技術の進展や高齢化に伴って、我が国の医療費は膨張を続けています。

医療技術に関しては、例えば脊髄性筋萎縮症の治療薬「ゾルゲンスマ点滴静注」(当初薬価は1億6707万円)白血病等治療薬「キムリア」(同3350万円)などの超高額薬剤の保険適用が相次ぎ、その類似薬(基本的に同じ高額の償還価格設定が行われる)も登場しています。

また高齢化に関しては、来年度(2022年度)から、人口の大きなボリュームゾーンを占めるいわゆる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になりはじめ、2025年度には全員が後期高齢者になります。後期高齢者では、医療機関の受診頻度が高く(傷病にかかりやすい)、また治療期間が長いことが統計的に明らかになっています。

一方、医療費の支え手である現役世代は、2025年度から2040年度にかけて急速に減少していくことが人口動態統計から明らかになっています(少子化の急速な進展)。

少なくなる支え手で増加する医療費を負担しなければならず、事態を放置すれば、近い将来、医療保険制度は破綻してしまいます。このため「医療費の伸びを、我々国民が負担できる水準に抑える」(医療費適正化)ための取り組みが欠かせません。制度上の対策はもちろん、診療報酬での対応も極めて重要で、2022年度改定では例えば次のような見直しが行われます。

(1)後発医薬品・バイオ後続品の使用促進

(2)実勢価格を踏まえた検査料等の適正化、医療技術の評価・再評価の在り方見直し

(3)人工腎臓の評価見直し

(4)2次骨折予防の評価、高度難聴指導管理料の見直しなど「重症化予防」等の推進

(5)医薬品給付の適正化

(6)調剤基本料等の見直し



まず(1)では、▼薬局における【後発医薬品調剤体制加算】の点数や基準値(後発品割合)の見直し▼薬局における後発品割合が低い場合の【調剤基本料】減算の厳格化▼医療機関における【後発医薬院使用体制加算】の点数や基準値の見直し▼クリニックにおける【外来後発医薬品使用体制加算】の点数や基準値の見直し―が行われます(関連記事は◆後発医薬品使用促進・薬剤使用適正化、不妊治療技術に関する記事はこちらこちら)。

いずれも「後発品使用」をさらに推進するために基準値の厳格化が行われると考えられますが、支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は「政府目標は『すべての都道府県で後発品割合を2023年度末までに80%以上にする』ものであり、加算基準値の最低ラインは80%以上に据えるべき」と要望。あわせての「加算点数にもメリハリをつける」(より後発品割合が高い医療機関等を高く評価し、後発品割合がそこそこの医療機関等はそこそこの評価とする)ことも求めています。

この点について診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は「現在、後発品を中心とした『医薬品の供給不安』が生じている。加算の厳格化は納得するが、現下の後発品供給不安の中では後発品割合引き上げに向けた医療機関等サイドの努力ではどうにもならない部分が出てくる。経過措置や品目調整などの対応も併せて検討してほしい」と要望しています(関連記事はこちら)。



また(3)の人工腎臓に関しては、次のような見直しが行われます(関連記事はこちらこちら)。

▽経口の腎性貧血治療薬であるHIF-PH阻害剤について、使用実態(調剤薬局で処方される事例が極めて少ない)を踏まえて「包括評価」とする

▽薬剤の実勢価格を踏まえた評価の適正化等を行う

2020年度の前回改定で「HIF-PH阻害剤を調剤薬局で処方して使用する場合」の点数区分が設けられました(人工腎臓の点数が18区分となった)が、2022年度改定で簡素化されることになります(2020年度改定前の9区分に戻る)。



他方、(5)は端的に「外来患者への湿布薬処方上限を引き下げる」ものです。2016年度の診療報酬改定から「1回の処方枚数は70枚を上限とする」こととされ(70枚を超える場合には、やむを得ない理由がある場合を除き、超過分の薬剤料を算定できない)、2022年度の次期改定でさらに「上限枚数を少なくする」ことになります。具体的に何枚が上限になるのかは、2月上旬の「答申」を待つ必要がありますが、支払側の松本委員は「35枚とせよ」と進言しています。



また(6)では、次のような見直しが行われます。グループ薬局の店舗数が多い、いわゆる「巨大チェーン薬局」においては、効率的な調剤が行え、経営効率が良いことを踏まえた「適正化」が行われるものです(関連記事はこちらこちらこちら)。

▽「グループ薬局として処方箋受け付け回数が多い場合の低い調剤基本料」の対象に、▼店舗数一定以上▼特定の医療機関からの処方箋受け付け割合一定以上―薬局を追加する

▽「グループ薬局における処方箋受け付け回数が一定以上」または「店舗数一定以上」の薬局について、「特定の医療機関からの処方箋受付割合が一定以下」の場合の評価を新設する



このほか▼入院医療の機能分化(例えば一般病棟用の重症度、医療・看護必要度を見直し、高点数の【急性期一般1】取得病院を限定するなど)▼外来医療の機能分化(紹介状のない外来受診患者への定額負担徴収義務見直しなど)▼リフィル処方箋▼薬価・材料価格の見直し(市場実勢価格を踏まえた償還価格引き下げなど)▼費用対効果評価制度の活用―なども、「医療費適正化に向けた重要項目」という側面を持ちます。



なおGem Medでは改定セミナー動画も準備しております。是非、あわせてご活用ください。



【これまでの2022年度改定関連記事】
◆議論の整理(改定項目一覧)に関する記事はこちら
◆入院医療の全体に関する記事はこちら(入院医療分科会の最終とりまとめ)こちら(入院医療分科会の中間とりまとめを受けた中医協論議)こちら(入院医療分科会の中間とりまとめ)こちら(入院総論)
◆急性期入院医療に関する記事はこちら(新指標5ほか)こちら(看護必要度8)こちら(看護必要度7)こちら(看護必要度6)こちら(新指標4)こちら(新指標3、重症患者対応)こちら(看護必要度5)こちら(看護必要度4)こちら(看護必要度3)こちら(新入院指標2)こちら(看護必要度2)こちら(看護必要度1)こちら(新入院指標1)
◆DPCに関する記事はこちらこちらこちら
◆ICU等に関する記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちら
◆地域包括ケア病棟に関する記事はこちらこちらこちらこちらこちら
◆回復期リハビリテーション病棟に関する記事はこちらこちらこちらこちらこちら
◆慢性期入院医療に関する記事はこちらこちらこちらこちらこちら
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◆救急医療管理加算に関する記事はこちらこちらこちらこちら
◆短期滞在手術等基本料に関する記事はこちらこちら
◆外来医療に関する記事はこちらこちらこちらこちらこちら
◆在宅医療・訪問看護に関する記事はこちらこちら(訪問看護)こちら(小児在宅等)こちら(訪問看護)こちらこちら
◆オンライン診療に関する記事はこちらこちら
◆新型コロナウイルス感染症を含めた感染症対策に関する記事はこちらこちら
◆医療従事者の働き方改革サポートに関する記事はこちらこちらこちら
◆がん対策サポートに関する記事はこちらこちらこちら
◆難病・アレルギー疾患対策サポートに関する記事はこちらこちら
◆認知症を含めた精神医療に関する記事はこちらこちら
◆リハビリに関する記事はこちら
◆小児医療・周産期医療に関する記事はこちらこちら
◆医療安全対策に関する記事はこちら
◆透析医療に関する記事はこちらこちら
◆個別疾患管理等に関する記事はこちらこちらこちら
◆新規医療技術に関する記事はこちら
◆データ提出等に関する記事はこちらこちら
◆調剤に関する記事はこちらこちらこちら
◆後発医薬品使用促進・薬剤使用適正化、不妊治療技術に関する記事はこちらこちらこちらこちら
◆医療経済実態調査(第23回調査)結果に関する記事はこちら
◆消費税対応の是非に関する記事はこちら
◆薬価・材料価格調査に関する記事はこちら
◆改定率に関する記事はこちら
◆基本方針策定論議に関する記事はこちら(医療部会5)こちら(医療保険部会5)こちら(医療保険部会4)こちら(医療部会4)こちら(医療部会3)こちら(医療保険部会3)こちら(医療部会2)こちら(医療保険部会2)こちら(医療部会1)こちら(医療保険部会1)
●薬価制度改革に関する記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちら
●保険医療材料制度改革に関する記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちら
●費用対効果評価制度改革に関する記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちら
●公聴会に関する記事はこちら



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