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後発医薬品の使用体制加算・調剤体制加算等、後発品割合の計算から「出荷停止品目」の除外を認める―厚労省

2021.9.24.(金)

後発医薬品の使用促進を狙う加算等(後発医薬品使用体制加算、外来後発医薬品使用体制加算、後発医薬品調剤体制加算、後発医薬品減算)について、出荷停止品目等を「後発品割合」の計算対象から除外することを、来年(2022年)3月31日まで認める(カットオフ値計算には用いない)―。

厚生労働省は9月21日に事務連絡「後発医薬品の出荷停止等を踏まえた診療報酬上の臨時的な取扱いについて」を示し、こうした臨時特例を行うことを明らかにしました。

臨時特例を活用する場合には、状況を記録し、厚生(支)局に報告が必要

医療技術の高度化(例えば脊髄性筋萎縮症の治療薬「ゾルゲンスマ点滴静注」(1億6707万円)白血病等治療薬「キムリア」(3350万円)などの超高額薬剤の保険適用が相次ぎ、さらにキムリアに類似した、やはり超高額な血液がん治療薬も次々に登場)、少子高齢化の進展(来年度(2022年度)から、いわゆる団塊世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめ、2025年度には全員が後期高齢者となる。2025年度から2040年度にかけては、高齢者の増加ペース自体は鈍化するものの、現役世代人口が急速に減少する)により、我が国の医療保険財政は厳しさを増していきます。このため「医療費の伸びを、我々国民が負担できる水準に抑える」(医療費適正化)ことが欠かせません。

政府は、▼平均在院日数の短縮による入院医療費の適正化(入院基本料や特定入院料、DPCの包括点数は「1日当たり」の支払い方式であり、在院日数の短縮が入院医療費の縮減に効果的である)▼後発医薬品(ジェネリック医薬品、後発品)の使用促進による薬剤費の圧縮▼病院の機能分化推進と連携の強化▼地域差(ベッド数、外来受療率、平均在院日数など)の是正▼保健事業の充実による健康寿命の延伸―など、さまざまな角度から医療費適正化に向けて取り組んでいます。

後発医薬品の使用促進に向けては、政府が目標(現在は、すべての都道府県で後発品使用割合を2023年度までに80%以上とする)を定めるとともに、後発品の使用促進に向けた診療報酬上の加算(▼病院における入院医療での使用促進を狙う【後発医薬品使用体制加算】▼診療所での使用促進を狙う【外来後発医薬品使用体制加算】▼調剤薬局での使用促進を狙う【後発医薬品調剤体制加算】―など)が設けられています。

これらの加算は「処方・調剤における後発品の数量割合」が施設基準に設けられています。例えば、後発品使用体制加算1(入院初日に47点)・外来後発医薬品使用体制加算1(1処方につき5点)・後発医薬品調剤体制加算3(処方箋受け付け1回につき28点)を取得するためには「後発品割合が85%以上」であることが求められます。

ところで、後発医薬品をめぐっては「一部メーカーによる不祥事」(関連記事はこちらこちら)などに端を発し、供給停止・出荷調整が頻発し、医療機関・薬局の責に帰せない事情により「後発品割合を維持・向上することが困難」な状況が生じています。こうした状況を受け厚労省では、次のように「一部の後発品を、後発品使用割合の計算対象とから除外してよい」とする臨時特例措置を設けました。

(1)一部の後発品(小林化工社・日医工社への行政処分を契機に2021年7月1日時点で供給停止されている医薬品のうち、下表の供給停止品目と同一成分・同一投与形態のもの)を、▼後発医薬品使用体制加算▼外来後発医薬品使用体制加算▼後発医薬品調剤体制加算▼後発品医薬品減算(調剤基本料の注7に規定する減算(後発品割合が40%以下の場合2点を減算)―の後発品割合の計算対象から除外してよい(来年(2022年)3月31日までの時限措置)



(2)(1)の臨時特例を活用する場合、「対象品目すべて」を計算対象から除外することとし、「一部のみ」の除外は認められない

▽(1)の臨時特例は「1か月ごとに適用できる」ことと、「直近3か月の後発品割合の平均」を用いる場合(後発医薬品調剤体制加算など)には、当該3か月の中に(1)を行う月と行わない月とが混在してよい

▽カットオフ値(後発品+後発品のある先発品/全医薬品)の算出については、今回の臨時的特例の対象とせず、後発品割合について(1)を活用した場合でも、カットオフ値は従前通り算出し、加算等の施設基準の実績要件を満たすかどうか確認する



(3)後発品割合を計算する際に(1)を行い加算等の実績要件を満たすこととする場合、医療機関・薬局では「各月の後発品割合」を記録し、各地方厚生(支)局へ報告する

▽前月と加算等の区分が変わらない場合でも、(1)を行って実績を満たすこととする場合は、報告対象となる

▽加算等の区分に変更が生じる場合、基準を満たさなくなる場合には、従前通り変更等の届け出を行う必要がある。その際、後発医薬品の使用割合等について、(1)を行って計算した割合を記載してもよい
▽報告時期は、▼今年(2021年)9-10月の実績:今年(2021年)11月30日まで▼今年(2021年)11月-来年(2022年)1月の実績:来年(2022年)2月28日まで―とする

例えば、(1)の特例によって2021年8月診療分の後発品割合を計算して、後発医薬品使用体制加算の区分を判定し(85%以上は加算1として47点、80%以上は加算2として42点、70%以上は加算3として37点)、2021年10月までに必要な届け出を行った場合には、同月(2021年10月)診療分から、当該区分の(外来)後発医薬品使用体制加算の算定が可能となります(加算区分に変更がない場合、変更の届け出は不要だが、(2)の報告が必要となる)。

なお、外来後発医薬品使用体制加算(85%以上は加算1として5点、80%以上は加算2として4点、70%以上は加算3として2点)では、「直近3か月分の後発品割合平均」で区分を判断するため、上記ケースでは「今年(2021年)6月・7月・8月」において(1)の臨時特例を活用することが可能です。

また、調剤薬局において、上記と同様に(1)を活用する場合には、後発医薬品調剤体制加算は「直近3か月分の後発品割合平均」で区分を判断するため、上記ケースでは「今年(2021年)6月・7月・8月」において(1)の臨時特例を活用することが可能です。



なお【一般名処方加算】(処方箋に薬剤の一般名を記載した場合の医療機関への加算)について、取り扱いの変更はありません。

後発品割合からの除外可能品目リスト1

後発品割合からの除外可能品目リスト2

後発品割合からの除外可能品目リスト3

後発品割合からの除外可能品目リスト4

後発品割合からの除外可能品目リスト5

後発品割合からの除外可能品目リスト6

後発品割合からの除外可能品目リスト7

後発品割合からの除外可能品目リスト8

後発品割合からの除外可能品目リスト9

後発品割合からの除外可能品目リスト10

後発品割合からの除外可能品目リスト11

後発品割合からの除外可能品目リスト12

後発品割合からの除外可能品目リスト13

後発品割合からの除外可能品目リスト14

後発品割合からの除外可能品目リスト15

後発品割合からの除外可能品目リスト16

後発品割合からの除外可能品目リスト17

後発品割合からの除外可能品目リスト18

後発品割合からの除外可能品目リスト19

後発品割合からの除外可能品目リスト20



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