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【2022年度診療報酬改定答申10】在宅医療の「裾野」を拡大して量を充実、「頂」を高くして質の向上を目指す

2022.2.15.(火)

Gem Medでは、2月9日の中央社会保険医療協議会・総会でなされた2022年度次期診療報酬改定に関する答申内容を順次お伝えしています(急性期入院医療に関する記事はこちら、高度急性期入院医療に関する記事はこちら、地域包括ケア病棟に関する記事はこちら、回復期リハビリ病棟に関する記事はこちら、医療従事者の働き方改革に関する記事はこちら、受診時定額負担等に関する記事はこちら、かかりつけ医機能に関する記事はこちら、感染症対策に関する記事はこちら、慢性期入院医療に関する記事はこちら)。

●2022年度診療報酬関係の資料(告示内容等)はこちら(中医協資料)

本稿では「在宅医療」に焦点を合わせてみます。

高齢化の進展による「中長期的」な在宅医療ニーズの増大、また現下の新型コロナウイルス感染症の自宅・宿泊施設療養者等に対応するため「短期的」な在宅医療ニーズの増大に伴い、在宅医療の「量」と「質」双方の充実が強く求められています。

「質」の充実に向けては、例えば在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院といった「在宅医療に多くのエネルギーを注ぐ医療機関」について、さらなる機能強化を求めるための施設基準見直しなどが行われます。

他方、「量」の充実に向けては、より多くの医療機関が「在宅医療に少しずつ関与する」ことを促す見直しが行われます。

2022年度から、いわゆる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になりはじめ、2025年度には全員が後期高齢者となることから、今後、在宅医療も含めた医療ニーズが急速に増加していきます。2022年度改定による手当が、在宅医療提供体制がどう充実していくのか注目する必要があるでしょう。

在支診・在支病の施設基準等を強化し、「より充実した在宅医療提供」を期待

在宅医療に関しては、次のような見直し項目があがっています。

(1)すべての在宅療養支援診療所(在支診)・在宅療養支援病院(在支病)について、厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえた適切な意思決定支援に係る指針(ACP、人生の最終段階にどのような医療・ケアを受けたいか、受けたくないかなどを家族や専門家などと繰り返し話し合い、可能であれば文書にしておく取り組み)を作成していることを要件(義務化)とする

(2)機能強化型の在支診・在支病について、「市町村が実施する在宅医療・介護連携推進事業等において在支診以外の診療所等と連携することが望ましい」「地域において24時間体制での在宅医療提供に係る積極的役割を担うことが望ましい」などを施設基準に設ける(医療・介護を含めた在宅サービスの提供拠点としての役割に期待が寄せられている)

(3)機能強化型の在支病における「緊急の往診の実績年間10件以上」要件について、「後方ベッドを常に確保し、緊急の入院患者の受け入れ実績が過去1年間で31件以上」「地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料1・3の届け出」に替えることを認める(地域包括ケア1・3では在宅医療提供実績が要件として求められている、関連記事はこちら

(4)「在支診以外の診療所」(在宅医療にとりわけ力を入れているわけではない)が、自院のかかりつけ患者が在宅医療が必要となった場合に、他の医療機関との連携等により24時間の往診・連絡体制を構築することを評価する【継続診療加算】について、名称を【在宅療養移行加算】に変更し、「地域の医師会などと連携して在宅医療体制を確保する」場合の評価を新設する

(5)「外来→在宅」と移行する患者に円滑な医療提供が行われるよう、外来担当医と在宅担当医が共同して指導等を実施した場合の評価【外来在宅共同指導料】を新設する(外来・在宅双方の担当医が算定可能)(関連記事はこちら

(6)【在宅がん医療総合診療料】について、小児に対する総合的な医療提供を評価する【小児加算】(週1回にかぎり1000点)を新たに設ける

(7)【緊急往診加算】について、小児では「けいれん・呼吸不全等が予想される場合の往診」でも算定可能とする



このうち(1)から(3)は「在宅医療の質を向上」を目指すものです。我が国において在宅医療提供の要とも言える在支診・在支病に「さらなる機能強化を図ってほしい」とのメッセージが出されています。今回の見直しにより、在支診・在支病の施設基準等は下表のように整理することができます。

在支診・在支病の施設基準外観

在宅医療の裾野を広げるため、継続診療加算を2種類の「在宅療養移行加算」に改組

また(4)の「在宅医療の量の充実」を目指すものです。現行からの見直しは、次のように整理できます。

(現行)
【継続診療加算】216点
●施設基準
▽24時間往診体制および24時間連絡体制を有する
▽訪問看護が必要な患者に、訪問看護sテーションが訪問看護を提供する体制を確保する
▽自院または連携医療機関の連絡担当者氏名、診療時間内・時間外の連絡先電話番号等、緊急時の注意事項ならびに往診担当医氏名などについて、患者・家族に文書で提供施設名する

(見直し後)
【在宅療養移行加算】
▼加算1:216点

●施設基準
▽24時間往診体制および24時間連絡体制を有する
▽訪問看護が必要な患者に、訪問看護sテーションが訪問看護を提供する体制を確保する
▽自院または連携医療機関の連絡担当者氏名、診療時間内・時間外の連絡先電話番号等、緊急時の注意事項ならびに往診担当医氏名などについて、患者・家族に文書で提供施設名する

▼加算2:116点
●施設基準

▽24時間連絡体制を有する
▽訪問看護が必要な患者に、訪問看護sテーションが訪問看護を提供する体制を確保する
▽自院または連携医療機関の連絡担当者氏名、診療時間内・時間外の連絡先電話番号等、緊急時の注意事項ならびに往診担当医氏名などについて、患者・家族に文書で提供施設名する

「より取得しやすい」下位区分を創設したイメージです。在支診・在支病・在宅療養移行加算の24時間要件は次のように整理できそうです。

在支診・在支病・在宅療養移行加算の24時間要件外観



また(5)は、「入院→在宅」の円滑移行と同様に、「外来→在宅」の円滑移行を目指すものです。詳しくは、外来に関するこちらの記事をご参照ください。

小児在宅医療の充実目指し、新加算の創設、加算対象の拡大など行う

他方(6)(7)は小児への在宅医療充実を目指すものです。まず(6)は小児がん患者が在宅療養するケースが増加しており、そうしたケースでは「麻薬使用料が多い」「診療期間が長い」などの特性があることを踏まえて、新たに【在宅がん医療総合診療料】に【小児加算】(週に1回に限り1000点)の上乗せを新たに認めるものです。15歳未満の小児(小児慢性特定疾病の場合には20歳未満)に対して、総合的な医療提供を行うことが算定要件となり、3月上旬の告示・通知で詳細が明らかにされます。

また(7)は、診療時間内の往診(通常診療を止めなければならない)を経済的に支援する【緊急往診加算】(325-850点)について、小児患者の特性を踏まえた「対象予想疾患の追加」を行うものです。

(通常)
急性心筋梗塞、脳血管障害、急性腹症等が予想される場合

(15歳未満の小児、20歳未満の小児特定疾病児)
急性心筋梗塞、脳血管障害、急性腹症等が予想される場合に加え、「低体温」「けいれん」「意識障害」「急性呼吸不全」などが予想される場合も含む



なおGem Medではオンラインによる改定セミナーも開催しております。是非、あわせてご活用ください。



【これまでの2022年度改定関連記事】
◆議論の整理(改定項目一覧)に関する記事はこちら
◆入院医療の全体に関する記事はこちら(入院医療分科会の最終とりまとめ)こちら(入院医療分科会の中間とりまとめを受けた中医協論議)こちら(入院医療分科会の中間とりまとめ)こちら(入院総論)
◆急性期入院医療に関する記事はこちら(答申)こちら(新指標5ほか)こちら(看護必要度8)こちら(看護必要度7)こちら(看護必要度6)こちら(新指標4)こちら(新指標3、重症患者対応)こちら(看護必要度5)こちら(看護必要度4)こちら(看護必要度3)こちら(新入院指標2)こちら(看護必要度2)こちら(看護必要度1)こちら(新入院指標1)
◆DPCに関する記事はこちらこちらこちら
◆ICU等に関する記事はこちら<(答申)/a>とこちらこちらこちらこちらこちらこちら
◆地域包括ケア病棟に関する記事はこちらこちらこちらこちらこちら
◆回復期リハビリテーション病棟に関する記事はこちら(答申)こちらこちらこちらこちらこちら
◆慢性期入院医療に関する記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちら
◆入退院支援の促進などに関する記事はこちらこちら
◆救急医療管理加算に関する記事はこちらこちらこちらこちら
◆短期滞在手術等基本料に関する記事はこちらこちら
◆外来医療に関する記事はこちら(かかりつけ医機能に関する答申)こちら(受診時定額負担等に関する答申)こちらこちらこちらこちらこちら
◆在宅医療・訪問看護に関する記事はこちらこちら(訪問看護)こちら(小児在宅等)こちら(訪問看護)こちらこちら
◆オンライン診療に関する記事はこちらこちら
◆新型コロナウイルス感染症を含めた感染症対策に関する記事はこちら(答申)こちらこちらこちら
◆医療従事者の働き方改革サポートに関する記事はこちら(答申)こちらこちらこちら
◆がん対策サポートに関する記事はこちらこちらこちら
◆難病・アレルギー疾患対策サポートに関する記事はこちらこちら
◆認知症を含めた精神医療に関する記事はこちらこちら
◆リハビリに関する記事はこちら
◆小児医療・周産期医療に関する記事はこちらこちら
◆医療安全対策に関する記事はこちら
◆透析医療に関する記事はこちらこちらこちら
◆個別疾患管理等に関する記事はこちらこちらこちら
◆新規医療技術に関する記事はこちら
◆データ提出等に関する記事はこちらこちら
◆調剤に関する記事はこちらこちらこちらこちら
◆後発医薬品使用促進・薬剤使用適正化、不妊治療技術に関する記事はこちらこちらこちらこちらこちら
◆医療経済実態調査(第23回調査)結果に関する記事はこちら
◆消費税対応の是非に関する記事はこちら
◆薬価・材料価格調査に関する記事はこちら
◆改定率に関する記事はこちら
◆答申附帯意見に関する記事はこちら
◆基本方針策定論議に関する記事はこちら(医療部会5)こちら(医療保険部会5)こちら(医療保険部会4)こちら(医療部会4)こちら(医療部会3)こちら(医療保険部会3)こちら(医療部会2)こちら(医療保険部会2)こちら(医療部会1)こちら(医療保険部会1)
●薬価制度改革に関する記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちら
●保険医療材料制度改革に関する記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちら
●費用対効果評価制度改革に関する記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちら
●公聴会に関する記事はこちら



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心電図モニター等を除外して試算し、中医協で「看護必要度から除外すべきか否か」決すべき―入院医療分科会(2)
2022年度改定で、どのように「ICU等設置、手術件数等に着目した急性期入院医療の新たな評価」をなすべきか―入院医療分科会(1)
2022年度の入院医療改革、例えば救急医療管理加算の基準定量化に踏み込むべきか、データ集積にとどめるべきか―中医協
看護必要度等の経過措置、今後のコロナ拡大状況を踏まえて、必要があれば拡大等の検討も―中医協総会(2)
看護必要度やリハビリ実績指数などの経過措置、コロナ対応病院で来年(2022年)3末まで延長―中医協・総会(1)
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一部のDPC病棟は「回復期病棟へ入棟する前の待機場所」等として活用、除外を検討すべきか―入院医療分科会(3)
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1泊2日手術等の「短手2」、4泊5日手術等の「短手3」、診療実態にマッチした報酬へ―入院医療分科会(3)
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医療従事者の働き方改革、地域医療体制確保加算の効果など検証しながら、診療報酬でのサポートを推進―中医協総会(1)
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回リハ病棟でのADL評価が不適切に行われていないか、心臓リハの実施推進策を検討してはどうか―入院医療分科会(2)
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大病院の地ケアでpost acute受入特化は是正されているか、回リハ病棟で効果的リハ提供進む―入院医療分科会(3)
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看護必要度II病院で重症患者割合が増、コロナ対応病院よりも「未対応」病院で重症患者割合増が顕著―入院医療分科会(1)
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2022年度改定基本方針を了承、医療提供体制改革・医師働き方改革が重点課題—社保審・医療保険部会
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