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GemMed塾 2024年度版ぽんすけリリース

電子カルテ情報の全国医療機関での共有、標準規格準拠電子カルテ普及等をあわせて推進―健康・医療・介護情報利活用検討会(2)

2022.5.19.(木)

全国の医療機関において、患者同意の下で「電子カルテ情報を共有する」仕組みの検討が進んでおり、そこでは「オンライン資格確認等システムのインフラを活用する」こととする―。

この仕組みと合わせて、▼標準規格準拠の電子カルテの普及▼患者が自身の保健医療情報を閲覧できる仕組みの整備—を進めていく(2025年度以降に運用開始)。準規格準拠の電子カルテの普及のため、導入費を「医療情報化基金」を活用して助成する—。

5月17日に開催された「健康・医療・介護情報利活用検討会」(以下、検討会)では、こういった方針の確認・了承も行われました。

電子カルテ情報の共有、オンライン資格確認等システムのインフラ活用を正式決定

Gem Medで報じたとおり、「患者同意を前提として、電子カルテ情報を全国の医療機関で共有する」仕組みにおいても、オンライン資格確認等システムのインフラを活用する方向が5月16日の「医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループ」で議論されました(関連記事はこちら)。この方針が親組織である検討会でも、5月17日に了承されています。

全国の医療機関での電子カルテ情報共有するにあたり「オンライン資格確認等システムのインフラ」を活用する方針を決定(医療情報ネットワーク基盤WG1 220516)



繰り返しになりますが、医療機関等において「患者の情報を共有・閲覧する仕組み」には次の2つの仕組みがあり、いずれも「オンライン資格確認等システム」のインフラを活用して情報共有を行うこととなりました(関連記事はこちらこちらこちら)。

(A)「レセプト」情報を共有・閲覧可能とする仕組み
(B)各医療機関の電子カルテ情報を共有・閲覧可能とする仕組み

医療情報の共有・閲覧に向けて2つの仕組みが動いている(医療部会(2)2 211209)



このうち(A)のレセプト情報共有の仕組みに関しては、「審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険中央会)が運用し、費用は保険者と審査支払機関が負担する」こととなっています。

ここから「(B)の電子カルテ情報共有でも同様に運用されるのか」とも思われますが、「情報共有により誰がメリットを享受するのか」などを十分に踏まえて「運営主体」「費用負担者」を検討していくことが必要となります。そこで「医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループ」のメンバーを拡充し、「電子カルテ情報共有のメリット」や「誰が費用を負担すべきか」などを検討していくことも5月17日の検討会で了承されています。



ここで、(B)の電子カルテ情報を共有する仕組みの大枠を確認しておきましょう。

現在は「ベンダーの異なる電子カルテ間では情報の交換・共有が非常に難しい」状況です。この状況を改善するために、次のような枠組みで電子カルテ情報の交換・共有を可能にすることを目指しています(関連記事はこちら)。

▽医療機関同士などでデータ交換を行うための規格(アプリケーション連携が非常に容易な「HL7 FHIR」という規格を用いる)を定める

▽交換する標準的なデータの項目、具体的な電子的仕様を定める(まず3文書(▼診療情報提供書▼退院時サマリー▼健診結果報告書—)の6情報(▼傷病名▼アレルギー▼感染症▽薬剤禁忌▼検査(救急、生活習慣病)▼処方—からまず進める)

▽厚労省標準規格として採用可能なものか民間団体による審議の上、標準規格化を行う

▽各ベンダーで「標準化された電子カルテ情報・交換方式を備えた製品」を開発する

▽医療情報化支援基金等により「標準化された電子カルテ情報・交換方式」等の普及を目指す

厚生労働省医政局研究開発振興課医療情報技術推進室の田中彰子室長は、こうした枠組みの詳細について、次のように検討会の下部ワーキンググループで詳細を詰めていく考えを示し、この点も了承されました。検討状況は、親組織である検討会や社会保障審議会の医療部会や医療保険部会に都度報告され、進捗状況や方向にぶれがないかなどが確認されます。

【医療等情報利活用WG】
▼厚労省標準規格の情報拡充の計画策定など

【医療情報ネットワークの基盤に関するWG】
▼情報基盤の具体的な仕組み▼ガバメントクラウドの活用▼規格化・コードの維持管理等の体制整備▼情報化支援基金の要綱—など



あわせて、田中医療情報技術推進室長は、「全国の医療機関で電子カルテ情報を交換・共有する」仕組みと同時並行的に、▼標準規格準拠の電子カルテの普及▼患者が自身の保健医療情報を閲覧できる仕組みの整備—を進めていく(2025年度以降に運用開始)考えも強調しています。

「標準規格準拠の電子カルテ」とは、▼格納されている診療データを上述の「HL7 FHIR」という規格でアウトプットできる▼他医療機関から「HL7 FHIR」規格でアウトプットされた診療データを、自電子カルテにインプットできる―機能を備えた電子カルテというイメージです。こうした機能を備えることで「医療機関間の電子カルテ情報の共有」が可能となり、診療の質向上基盤が整ってきます。上述の「医療情報化基金」で、医療機関が、こうした「標準規格準拠の電子カルテ」を導入する場合の費用を助成することとなっており、▼助成対象医療機関の範囲をどう考えるか(現時点では中小病院やクリニックを対象)▼助成要件をどう考えるか▼助成割合をどう設定するか―なども検討していくことになります(関連記事はこちら)。



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