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電子カルテの標準化、まず「電子カルテの将来像」固め、それを医療情報化支援基金の補助要件に落とし込む―医療情報連携基盤検討会

2019.10.10.(木)

「電子カルテをはじめとする保健医療情報システムのあるべき姿」について省庁横断的な議論を内閣官房の検討会(標準的医療情報システムに関する検討会)で早々に固める。その方向に進むために、「現在、どのような取り組みをすべきか」を厚生労働省の「医療等分野情報連携基盤検討会」で検討し、2019年度予算をもとに創設される「医療情報化支援基金」からの補助要件などに落とし込んでいく―

こうした検討が進められていることが、10月10日に開催された「医療等分野情報連携基盤検討会」に報告されました。

「医療等分野情報連携基盤検討会」の議論は、年内(2019年内)から年明け早々(2020年早々)にもまとめられる見込みで、それを受けて医療機関への補助などが動き出します。

10月10日に開催された、「第3回 医療等分野情報連携基盤検討会」

2019年度予算で、電子カルテの標準化を目指した【医療情報化支援基金】を創設

電子カルテをはじめとする保健医療情報システムは、相当数の医療機関に導入され、例えば「医師が診療する過程で、検査などのオーダーを出す」「過去の診療・検査データを閲覧・分析して最適な治療方針を決定する」「医事会計システムと連動し、迅速な会計処理を可能とする」など、非常に重要な役割を果たしています。

ただし保健医療情報システムは、ベンダー(いわば電子カルテの開発メーカー)がそれぞれ独自に開発し、独自の進化を遂げてしまったため、異なるベンダーのシステム間ではデータのやり取りが非常に困難な状況です。このため、「個々の施設内で利活用する際には、極めて有用である」ものの、「施設間連携、地域連携をする際、異なるベンダーのシステムが混在すると、データ連携が極めて難しい」という問題が生じています。

また、ある病院でA社の電子カルテを導入したとして、数年経過後に「使い勝手が良くない。良い評判を聞くB社の電子カルテに買い替えよう」と考えても、現在から過去のA社の電子カルテデータをB社の電子カルテと連結することができず、これが「買い替えを阻害している」「ベンダーによる顧客(医療機関)の囲い込みにつながっている」との指摘もあります。

このため、例えば社会保障審議会・医療部会では多くの委員から「電子カルテの標準化」を求める声が多数出され、永井良三部会長(自治医科大学学長)が厚労省に対し、「電子カルテのコア部分を規定し、その標準化を行う、いわば次世代電子カルテシステムの標準仕様構築は、非常に重要なテーマである。国(省庁)を挙げて、一大プロジェクトとして取り組む必要がある」と強く要請しました。

この要請なども受け、厚労省は2019年度予算に【医療情報化支援基金】(予算案段階では医療ICT化促進基金との仮称)として300億円を計上。この予算をもとに社会保険診療報酬支払基金に「基金」を設け、▼オンライン資格確認の導入▼電子カルテの標準化―に取り組む医療機関等の補助を行うことを決定しました。

医療情報化支援基金の概要(医療情報連携基盤検討会2191010)

10月10日の「医療等分野情報連携基盤検討会」では、後者の「電子カルテの標準化」に関して、次のような状況が厚労省から報告されました。

(1)「電子カルテをはじめとする保健医療情報システムのあるべき姿」(将来像、理想像)について省庁横断的な議論を内閣官房の検討会(標準的医療情報システムに関する検討会)で固める(10月8日に検討を開始し、早々にまとめる予定)

(2)内閣官房検討会のとりまとめの後、将来像・理想像の示す方向に進むために「現在、どのような取り組みをすべきか」を医療等分野情報連携基盤検討会で検討し、【医療情報化支援基金】の補助要件などに落とし込む

保健医療情報システムの標準化に向けた検討(医療情報連携基盤検討会2191010)

この点、電子カルテの標準化と聞くと、「数多ある電子カルテの仕様を一本化するのか」とも思われます。10月10日の会合でも病院代表として参画する大道道大構成員(日本病院会副会長)がこの点に期待を寄せました。しかし、厚労省医政局研究開発振興課の伯野春彦課長は「一本化へのハードルは相当高い。どういう方向が、医療現場をはじめとする関係者にとって好ましいのか検討していってもらう」との考えを示すにとどめました。

前述したように、各ベンダーが医療現場のニーズを汲み、「使い勝っての良い電子カルテ」へと進化させており、その良さは活かすべきでしょう。

また、内閣官房の検討会の議論を待つ必要がありますが、そこでは、例えば「PHR(personal Health Record)の機能も付与すべき」「もちろん個人情報保護に配慮した上で、全国の保険医療機関でデータのやり取りを可能とすべき」(これが実現すれば重複検査などをほぼゼロにできる)といった方向が示されるかもしれません。逆に、「データ連結などで足りるのではないか」という結論になるかもしれません。

その方向こそ見えませんが、いずれにしろ「現在の電子カルテをはじめとする保健医療情報システム」と、「保険医療情報システムの将来像・理想像」との間には、相当の乖離があります。将来的には、各ベンダーが将来像・理想像を踏まえた「新たな保健医療情報システム」を開発し、現在のシステムから置き換え(買い換え)ていくことになると思われますが、それまでには相当の時間がかかります。

このため短期的には、まず「現在のシステム」をどう利活用して施設間連携・地域連携につなげていくか、という課題の解消が重視されることになりそうです。そこでは、例えば「異なるベンダーの保健医療情報システムのデータを連結する仕組み」(コンバータシステムなど)の導入費用について医療機関に補助を行う、という結論が(2)の医療等分野情報連携基盤検討会で示される可能性もあります。

もっとも、「新たな保健医療情報システム」への置き換えはもちろん、コンバータシステムの導入費用についても、300億円の【医療情報化支援基金】でどこまで賄えるのか(現在はオンライン資格確認と電子カルテとの配分も未定)は明らかとなっていません。また、現在のベンダーの経営戦略にも関係する問題であり、調整には一定の労力も必要となるでしょう。今後の両検討会の出す結論に大きな関心が集まります。

なお、(1)の内閣官房の検討会では「早々に結論を出す」としており、これを受け(2)の「医療等分野情報連携基盤検討会」でも年内(2019年内)から年明け早々(2020年早々)に結論(補助対象や補助要件の考え方など)を出すことになるでしょう。その後、社会保険診療報酬支払基金で具体的な「補助金の交付要綱」を示した後、▼医療機関からの申請→▼支払基金での審査→▼交付決定→▼実際の交付―という諸手続きがあるため、実際の医療機関への補助は、早くとも2019年度末ギリギリになりそうです。

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