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オンライン資格確認等システム、まず「カードリーダー申し込み施設の準備完了」を最優先支援―社保審・医療保険部会

2022.1.28.(金)

オンライン資格確認等システムが昨年10月(2021年10月20日)から本格稼働しているが、まだまだ運用医療機関等が少ない。(1)カードリーダー申し込む医療機関等において「準備を完了」してもらう(2)準備完了医療機関等で「運用を開始」してもらう(3)未申し込み医療機関にカードリーダー申し込みを行ってもらう―という具合に優先順位をつけて、国や自治体、関係団体などが重層的に支援していく必要がある―。

1月27日に開催された社会保障審議会・医療保険部会で、こういった議論が行われました。

1月27日に開催された「第第150回 社会保障審議会 医療保険部会」

個別施設の「導入に向けた課題」を抽出し、それに見合った解決法など情報提供

Gem Medで報じているとおり、昨年(2021年)10月から、次のような「オンライン資格確認等システム」が本格稼働しています。
▼患者が、健康保険被保険者証機能を持つ「マイナンバーカード」を医療機関等窓口のカードリーダーにかざす

▼医療機関等のパソコン端末から、オンラインで社会保険診療報酬支払基金(支払基金)・国民健康保険中央会(国保中央会)のデータに「当該患者がどの医療保険(健康保険組合や国民健康保険など)に加入しているのか」を照会し、回答を得る

オンライン資格確認における本人確認の仕組み(医療保険部会4 191225)

オンライン資格確認システムの概要(健康・医療・介護情報利活用検討会1 200518)



患者の資格確認(患者がどの医療保険に加入しているか)を迅速かつ正確に行うことを目指すものですが、このシステムを活用して医療機関(患者の同意が条件)および患者自身が「過去の薬剤投与状況、特定健診結果」を確認・活用することが可能となっています。医療機関等では、患者の「過去の薬剤投与状況、特定健診結果」診療に活かす(例えば禁忌薬剤の投与を控えるなど)ことが可能となる、非常に優れた仕組みです。

しかし、オンライン資格確認等システムの導入は、必ずしも十分には進んでないのが実際です。

本格運用開始から3か月が経過した今年(2022年)1月23日時点で、▼顔認証付きカードリーダーを申し込んでいるのは医療機関等全体の56.7%(3か月前から0.4ポイント増)▼オンライン資格確認等システムの準備が完了しているのは同じく15.7%(同6.8ポイント増)▼オンライン資格確認等システムの運用を開始しているのは10.9%(同5.8ポイント増)―にとどまっていることが分かりました。

オンライン資格確認等システムの導入状況(医療保険部会1 220127)



厚労省保険局医療介護連携政策課の水谷忠由課長は「さらなる導入促進が必要である」とし、次のように優先順位を付け、また医療現場の声(7万2910施設から課題等の声を調査)を踏まえた促進策を講じる考えを明らかにしました。
(1)カードリーダー申し込む医療機関等において「準備を完了」してもらう
(2)準備完了医療機関等で「運用を開始」してもらう
(3)未申し込み医療機関にカードリーダー申し込みを行ってもらう

優先度をつけてオンライン資格確認等システムの導入を進めていく(医療保険部会2 220127)



このうち最も優先度の高い(1)の「準備完了」に向けては、(a)システム事業者に関する課題(見積額が高額であるなど)(b)医療機関側の課題(「利用患者が少ない」などの理由でシステム事業者に発注していないなど)―という大きく2つの課題があることを踏まえ、例えば次のような支援等を行います。

オンライン資格確認等システム導入の個別課題(医療保険部会5 220127)



【(a)課題の解消に向けて】
▽病院の多くでは「見積もりの段階」で導入に向けた動きが止まっているところが一定数あり、「見積もりに関する相談窓口を関係団体と協力して設ける」「導入によるメリット(導入コストがメリットに見合っていることなど)を併せて周知する」などの取り組みを行う

▽「カードリーダーを申し込んだが準部が完了していない」医療機関等に対し、個別にメール等で連絡をとり、「課題にマッチした対応策」などの情報を提供する

▽システム事業者に対し「体制増強」を依頼していることを医療機関等に伝え、「改めてシステム事業者と調整する」ことを勧奨する

▽大手システム事業者を中心とした「システム事業者導入促進協議会」を設置し、情報共有等を進めてもらう

【(b)課題の解消に向けて】
▽マイナンバーカードの普及率が4割を超えていること、マイナポイントの付与により利用者が増える見込みであること、さらにマイナンバーカードの保険証利用が増えることなどを説明し「利用者が少ない」と言う誤解を解く

マイナンバーカードの保険証利用は増加を続けている(医療保険部会6 220127)



▽保険証(被保険者証)によるオンライン資格確認でも十分メリットがある旨を説明する(過誤請求等が著しく減少する)

▽具体的な導入のメリットや導入施設の声などを説明するとともに、周囲の導入状況を説明する

また、▼日本医師会・日本歯科医師会・日本薬剤師会を中心に国や審査支払機関、保健医療福祉情報システム工業会などが参画する「オンライン資格確認推進協議会」を設置し、好事例の共有や説明会開催等に努める▼2020年度診療報酬改定での対応(初診料・再診料・外来診療料に【電子的保健医療情報活用加算】を設ける)を行う―などの支援も行われます。



こうした内容に異論・反論は出ていませんが、▼オンライン資格確認等システムを利活用しない(患者視点ではマイナンバーカードを用いた医療機関受診をしない)場合のデメリット(例えば後述する薬剤情報確認などが行えず、医療が非効率になるなど)を強調してはどうか(藤井隆太委員:日本商工会議所社会保障専門委員会委員)▼目標達成(2023年3月末までに概ねすべての医療機関等でオンライン資格確認等システムを導入する)に向けてマイルストーンを置き、細かく進捗確認をし、都度必要な対応を行うべき(佐野雅宏委員:健康保険組合連合会副会長)―などの提案が出ています。

また池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長、福井県医師会長)は「ベンダー(システム事業者)の中には法外な見積もりを提示し、交渉にも応じないところがあるようだ。国などの支援に期待したい」と要望。関連して横尾俊彦委員(全国後期高齢者医療広域連合協議会会長/佐賀県多久市長)は「コストダウンを図るために『共同発注』等を検討してはどうか」とアドヴァイスしています。医療機関等ごとにシステムの仕様が異なる(レセプトコンピュータなどの院内システムは医療機関ごとにカスタマイズされるケースが多い)ため、単純に「地域単位で共同発注する」ことは難しいかもしれませんが、検討する価値が大きそうです。

オンライン資格確認等システム導入を、診療報酬の新たな加算でもサポートする方針

なお、オンライン資格確認等システムの運用状況を見ると次のようになっており、「利活用が進んでいる」ことを確認できます。

▽レセプト請求枚数(月平均1億7000万枚)のうち、12月には1974万件強のオンライン資格確認等システム利用が行われている(11.6%で活用されていると言える)

オンライン資格確認等システムの利用状況(医療保険部会3 220127)



▽本格運用開始(2021年10月20)から昨年末(2021年末)までに、特定健診情報の利用は1万159件、薬剤情報の利用は2万3672件(月を追うごとに増加している)

オンライン資格確認等システムを活用した診療情報利活用状況(医療保険部会4 220127)



後者の特定健診情報・薬剤情報の利活用は、オンライン資格確認等システムを活用して、患者の同意を医療機関で「患者の特定健診情報、過去の薬剤情報」を確認し、それを診療に反映させるものです。例えば救急搬送された意識不明の患者や、認知機能の低下した高齢患者などでは「薬剤情報」などを聞き出すことはほぼ不可能です。また一般患者でも「正確な薬剤情報」を医師に伝達できる人は少ないと考えられます。この点、オンライン資格確認等システムを活用して「併用禁忌薬剤の投与を受けていないか」「他医療機関で重複投薬はないか」などを確認できれば、「安全な医療」「効率的な医療」提供が可能になります。将来的に情報の蓄積が進んでいくことから「時間を経る中で、より有用なデータベースになっていく」と考えられます。

2020年度診療報酬改定について議論する中央社会保険医療協議会・総会では、オンライン資格確認等システムにより「過去の薬剤投与状況、特定健診結果」を確認・活用することを【電子的保健医療情報活用加算】(初診料、再診料、外来診療料の加算)として新たに評価することを検討しており、利活用が後押しされていくことでしょう。

ただし、安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)らは「中医協でも述べたが、患者にメリットがないケースでも加算が算定される仕組みとなりそうで疑問を感じる」と問題点を指摘。一方、松原謙二委員(日本医師会副会長)は「新設される加算には『オンライン資格確認等システムを運用する医療機関のランニングコスト補填』という意味もあるのではないか。その観点からすれば、一定の経過措置が置かれている(経過措置終了後は加算算定が不可能になるケースが増える)ことには不安を感じる。永続的な加算創設が必要である」との考えを述べています。

こうした意見も踏まえて「詳細な制度設計」を厚労省で練っていくことになるでしょう(例えば点数・施設基準は動かさないが、通知や疑義解釈などで運用を一部修正することなども考えられる)。



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