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新型コロナ対策 症例Scope

紹介状なし外来受診患者の特別負担、対象病院の拡大・金額引き上げ等を了承―社保審・医療保険部会

2020.12.4.(金)

紹介状なしに外来を受診する患者への特別負担徴収義務について、一般病床200床以上の「紹介型病院」に拡大していく―。

その際、「ダイレクトに紹介型病院を敢えて受診する」患者については、一定額を保険給付から控除して、その分を特別負担に上乗せするが、紹介状を持参すれば通常通りの保険給付を受けることができるので、これはあくまで「例外的・限定的な取り扱い」であることを確認する―。

12月2日に開催された社会保障審議会・医療保険部会で、こうした方針が了承されました。別に議論されている「後期高齢者の医療機関等窓口負担2割化」などと合わせて、政府の全世代型社会保障検討会議での最終判断を待つことになります。

12月2日に開催された「第136回 社会保障審議会 医療保険部会」

紹介状なし患者では「保険給付を一部控除」し、その分を特別負担に上乗せ

Gem Medでお伝えしているとおり「外来機能報告制度」と、これを踏まえた「紹介状なし患者への特別負担徴収義務拡大」に向けた議論が進められており、その大枠がほぼ固まりました。

政府の全世代型社会保障検討会による「紹介状なし患者への特別負担徴収義務について、対象医療機関・金額ともに拡大する」との方針を受け、社会保障審議会・医療部会や医療計画の見直し等に関する検討会で「対象医療機関拡大」のベースとなる「外来医療の機能分化」に関する考え方を整理(下の「整理」の(A)と(B)、関連記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちら)。

これを踏まえて、医療保険部会で「特別負担」の▼対象病院拡大▼特別負担額の増額▼増額分が「公的医療保険の負担を軽減する」ような仕組み—などを議論してきました(下の「整理」の(C))。

制度の大枠は次のように整理できます。

(A)「一般病床・療養病床を持つ医療機関」(病院・有床診療所)に外来診療に係るデータを都道府県に報告することを義務付ける【外来機能報告制度】

(B)提出された外来診療データをもとに、各地域で「医療資源を重点的に活用する外来を基幹的に担う病院」を明確化する

(C)「医療資源を重点的に活用する外来を基幹的に担う病院」へは、かかりつけ医等からの紹介受診を原則とし、紹介状を持たない患者からは特別負担を徴収する(除外要件に該当する場合以外は義務)



まず対象病院については、一般病床200床以上の「医療資源を重点的に活用する外来を基幹的に担う病院」に拡大されます。どういった病院がここに含まれるのか、などの詳細は今後、専門家を交えた検討の場で議論し、設定されます。(A)(B)について議論してきた医療計画の見直し等に関する検討会では「名称」が重要なポイントになるとの指摘が相次いでいます(関連記事はこちら)。

特別負担徴収義務を拡大していく方向そのものに異論は出ていない(医療保険部会(1)1 201126)



この「医療資源を重点的に活用する外来を基幹的に担う病院」には、かかりつけ医等からの紹介を受けて受診することが原則となります。当該病院の負担を軽減し、効率的・効果的な外来医療提供体制を各地域で構築していくことが最大の狙いです。

この原則を確かなものとするために、紹介状なしに「医療資源を重点的に活用する外来を基幹的に担う病院」をダイレクトに受診する患者に、特別負担を課します。特別負担の枠組みは、すでに2016年度から「大学病院・一定規模以上の地域医療支援病院」に導入されており、これを拡大していくことで「さらなる外来医療の機能分化」を狙います。

特別負担については、現在は「初診時5000円以上、再診時2500円以上」に設定されていますが、それでも紹介状なしにこうした病院をダイレクトに受診する患者は後を絶ちません。

紹介状なしに大病院外来を受診する患者は依然として多い(その2)(中医協総会(1)3 191211)



そこで医療保険部会では、▼紹介状なし患者については「保険給付の一定部分を控除」する▼控除分以上を特別負担(5000円、2000円)に上乗せする(増額する)―方針を固めました。特別負担の金額が上がるほど、ダイレクトに受診する患者が減っていくこと、「身近なクリニック等を受診する」という選択肢があるにもかかわらず、あえて大病院をダイレクトに受診する患者には一定の措置を講じる必要があること、を踏まえた見直し方針です。

詳細は、今後、中央社会保険医療協議会などで詰めていくことになりますが、これまでに、例えば「初診患者であれば、初診料相当の2000円を保険給付から控除し、それ以上の額を特別負担(5000円以上)に上乗せして7000円以上とする」などの考え方が厚労省から示されています。

特別負担額を引き上げ、初・再診料相当額を保険から控除する方向が示されている(医療保険部会(1)2 201126)



この考え方には医療提供サイドの委員から異論が出ていますが、12月2日の会合では松原謙二委員(日本医師会副会長)が「紹介状を持参すれば大病院等での重複検査を防止でき、その分、保険給付が減る(保険給付の効率化)。紹介状を持たない患者については、そうした『保険給付の効率化』が行えないため、その分を患者本人の負担とするという考え方はありうる」と一定の理解を示しました。

また池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長、福井県医師会長)は「『保険給付からの控除』が独り歩きすることを恐れている。保険財政を軽減するために導入するもではないこと、病診連携を進め、すべての患者が紹介状を持参すれば、この給付除外はなくなるものであることを条件に、この考え方を認める」旨のコメントをしています。

厚労省保険局保険課の姫野泰啓課長も、こうした意見を受けて「病診連携、外来機能の明解化が求められており、それを推進するための仕組みである。特別負担の金額を引き上げることで、紹介状なし患者が減少することを目指しており、特別負担徴収・保険給付控除はあくまで例外的・限定的な取り扱いである」ことを確認しています。

姫野保険課長の試算によれば、現在、5000-7000円の特別負担を支払う患者は、外来患者全体の10.9%を占めますが、特別負担が7000-1万円になると、その割合は5.3%にとどまります。また、こうした患者も、一度身近なクリニック等を受診し、そこからの紹介を受ければ特別負担はゼロとなります。「かかりつけ医等からの紹介」が一般的となれば、「7000円以上の特別負担を支払い、その際、保険給付からの除外が行われる」患者は例外的・限定的なものになっていくでしょう。

もっとも、「特別負担を支払ってでも大病院で外来医療を受けたい」という患者は一定程度おり、「まず、身近なクリニック等を受診する」という行動への変容をどのように促していくかを、今般の制度見直しの効果も踏まえながら、継続して検討していくことが重要でしょう。



なお、ここで重要となるが「再診患者」です。逆紹介してもなお特定機能病院等を受診してしまう患者は、再診患者全体の30.7%にのぼります。このうち特別負担徴収の実施は0.2%にすぎず、「逆紹介をどう推進していく」かが外来機能分化の最大のポイントになるでしょう。

逆紹介にもかかわらず、大病院再診を受診する患者が極めて多い(下段の票)(医療保険部会(1)2 201119)



再診における特別負担徴収額は現在2500円以上で、これまでの厚労省の考え方に沿えば、外来診療料相当額(550円程度)を保険給付から除外し、その分を特別負担に上乗せするので、患者負担は「3000円」程度以上になると予想されます。この増額がどの程度の意味・効果を持つのか、また「増額徴収をどの程度、実行させるのか」(上述のように現在では徴収はあまり実行されていない)をさらに詰めていくことになります。

具体的な検討は中医協で行われますが、松原委員は「逆紹介推進方策」を優先的に議論してもらうべきと提案しています。

この点、菅原琢磨委員(法政大学経済学部教授負担増)は、「逆紹介の際に、『何かあればもう一度、この病院を紹介してもらえる』という連携を患者が感じ取れることが重要である」旨を強調しました。すでに病院によっては、「自院と連携するクリニック」に関する資料等を用意し、逆紹介患者に「このクリニックと当院は強く連携しており、何かあればすぐにまたこちらに紹介してもらえるので、安心してクリニック受診に切り替えてください」と丁寧な説明が行われています。多くの病院でこういった取り組みが進むこと、また国がそれを支援していくことが期待されます。

ぽんすけ2020MW_GHC_logo

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