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75歳以上の医療費は2割負担、紹介状なし外来患者の特別負担を200床以上一般病院に拡大―全世代型社会保障検討会議

2019.12.20.(金)

大病院における「紹介状なし外来受診患者」に対する特別負担の金額について、現在の初診時5000円・再診時2500円を増額するとともに、徴収義務対象を「200床以上の一般病院」に拡大し、外来医療の機能分化を促す必要がある。増額分は「医療保険の負担軽減」に充てる―。

75歳以上の高齢者における医療費の窓口負担について、一定所得以上は2割とすべきである―。

安倍晋三内閣総理大臣が議長を務める「全世代型社会保障検討会議」(以下、検討会議)が12月19日に、こうした内容を盛り込んだ中間報告をまとめました(首相官邸のサイトはこちら)。

「支える側」と「支えられる側」とのバランス確保を

未曽有の少子高齢化が進む我が国では、社会保障制度の在り方を見直す必要があります。2022年度には、いわゆる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめ、2025年度には団塊の世代全員が後期高齢者になります。このため、今後、医療・介護ニーズが飛躍的に増加していきます。その後、2040年にかけて高齢者の増加度合いそのものは鈍化しますが、高齢者を支える現役世代の数が急速に減少していきます。

このように、「減少していく現役世代」で、「増加する高齢者」を支えなければならないため、医療・介護・年金をはじめとする社会保障制度の基盤が極めて脆くなる、つまり、「社会保障制度維持が非常に難しくなっていく」のです。

そうした状況を踏まえて検討会議では、「少しでも多くの方に『支えられる側』ではなく『支える側』として活躍してもらうことで、『支える側』と『支えられる側』のバランスを見直していく必要がある」ことを強調します。

その一環として、生涯現役社会を構築するために「70歳までの就業機会を確保する」、具体的には事業主に▼定年廃止▼70歳までの定年延長―などの措置を制度化する努力規定を設けることを打ち出しました。「働く意欲のある高齢者」には働く機会を確保することは、高齢者自身にとって、生活の安定はもとより、活力の維持、心身の健康確保にとって極めて重要です。併せて、公的年金について「60歳から70歳まで自分で選択可能となっている給開始年齢の上限を75歳に引き上げる」考えも示しています。

遅くとも2022年度までに「75歳以上の医療機関窓口負担」を2割へ

このように生涯現役社会を構築し、高齢者にも「支える側」に立っていただく環境を整えるたうえで、医療については「負担の見直し」なども検討する方針が示されました。負担増による受診抑制効果(いわゆる長瀬効果)もありますが、これは一時的です。真の狙いは「負担感の公平性」確保にあると考えられます。

検討会では75歳以上の後期高齢者の窓口負担について、現在の「1割」から、「一定所得以上は2割」に引き上げる方針を明確にしました(現役並み所得者については現状どおり3割を維持)。検討会議では、厚生労働省の社会保障審議会(主に医療保険部会になると思われる)において、▼施行時期(遅くとも、団塊の世代が後期高齢者となり始める2022年度には実施する)▼2割負担となる高齢者の所得基準▼長期にわたり頻繁な受診が必要な患者の生活等に与える影響を踏まえた配慮―を検討するよう指示しています。

紹介状なし大病院受診患者の特別負担を増額し、医療保険負担軽減に回せ

また、高齢者の増加は「患者数の増加」にもつながります。増加する高齢者が大病院に殺到すれば、「重症の高度医療が必要な患者への医療提供が阻害される」「外来患者対応に医療従事者が忙殺され、過重な負担から解放されない(医療従事者の働き方改革に反する)」などの弊害がより強くなります。そこで、検討会議では「大病院は紹介・専門外来に特化し、一般外来は診療所や中小病院が担う」という「外来医療の機能分化」をさらに推進させる必要性を強調。

具体的には、現在、「特定機能病院」および「許可病床400床以上の地域医療支援病院」に義務付けられている、紹介状を持たずに外来を受診する患者からの特別負担(▼初診:5000円(歯科は3000円)以上▼再診:2500円(歯科は1500円)以上―)徴収義務について、次のような見直しを行う考えを明確にしました。ただし検討会議では「まずは」この仕組みの拡充から始めるとも述べており、今後、例えば「一般外来における定額・低額の特別負担」創設なども検討される見込みです。

▽特別負担の金額を引き上げる

▽徴収義務対象病院を「200床以上の一般病院」に拡大する

▽増額分について「公的医療保険の負担を軽減する」よう改める

▽定額負担を徴収しない場合(緊急その他のやむをえない事情がある場合、地域に他に当該診療科を標榜する保険医療機関がない場合など)の要件見直し

制度設計(金額や除外要件など)については、社会保障審議会(やはり医療保険部会と思われる)と中央社会保険医療協議会で検討するよう指示し、「遅くとも2022年度初までに改革を実施する」ことを宣言しています。

注目すべきは「増額分について『公的医療保険の負担を軽減する』よう改める」という点で、「大病院について、初診料や外来診療料(言わば200床以上病院の再診料)を引き下げ、その分を特別負担で埋める」ことを意味するものと考えられます。

中医協では、この仕組みについて、2020年度の次期診療報酬改定で「徴収義務対象病院の範囲を『特定機能病院』(現状どおり)と『一般病床200床以上の地域医療支援病院』(現在は許可病床数400床以上)に拡大する」方向で議論を進めていますが、今後の動向を注視する必要があるでしょう。



このほか検討会議では、▼地域医療構想の推進▼医師偏在の解消▼医師をはじめとする医療従事者の働き方改革の推進―の、いわゆる三位一体改革を進めるなど、「質が高く、効率的な医療提供体制を構築する」考えも強調しており、さらになる検討を進め来夏(2020年夏)に最終報告を取りまとめます。

 

 

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中医協・基本小委、支払側が「看護必要度や地域包括ケア病棟などの厳格化」を強く要望
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総合入院体制加算、地域医療構想の実現や病床機能分化を阻害していないか?―入院医療分科会(3)
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【短期滞在手術等基本料3】、下肢静脈瘤手術などは外来実施が相当数を占める―入院医療分科会(4)
診療データ提出を小規模病院にも義務化し、急性期病棟にも要介護情報等提出を求めてはどうか―入院医療分科会(3)
資源投入量が少なく・在院日数も短いDPC病院、DPC制度を歪めている可能性―入院医療分科会(2)
看護必要度の「A1・B3のみ」等、急性期入院医療の評価指標として妥当か―入院医療分科会(1)
回復期リハ病棟でのFIM評価、療養病棟での中心静脈栄養実施、適切に行われているか検証を―入院医療分科会(2)
入院で実施されていない「免疫抑制剤の内服」「膀胱脱手術」など、看護必要度の評価対象から除くべきか―入院医療分科会(1)
回復期リハビリ病棟から退棟後の医療提供、どのように評価し推進すべきか―入院医療分科会(3)
地域包括ケア病棟の実績評価要件、在宅医療提供の内容に大きな偏り―入院医療分科会(2)
点数が「DPC<地域包括ケア」時点にDPC病棟からの転棟が集中、健全なのか―入院医療分科会(1)
療養病棟に入院する医療区分3の患者、退院患者の8割弱が「死亡」退院―入院医療分科会(2)
入退院支援加算1の「病棟への入退院支援スタッフ配置」要件、緩和すべきか―入院医療分科会(1)
介護医療院の整備など進め、患者・家族の「退院後の介護不安」解消を図るべき―入院医療分科会(2)
急性期一般1では小規模病院ほど認知症入院患者が多いが、看護必要度への影響は―入院医療分科会(1)
看護必要度IとIIとで重症患者割合に大きな乖離、要因を詳しく分析せよ―中医協・基本小委
自院の急性期患者の転棟先として、地域包括ケア病棟を選択することは「問題」なのか―入院医療分科会(2)
7対1から急性期2・3への移行は3%強にとどまる、看護必要度IIの採用は2割弱―入院医療分科会(1)
2020年度改定、入院医療では「救急」や「認知症対策」なども重要論点に—入院医療分科会(2)
DPC対象病院の要件を見直すべきか、入院日数やDPC病床割合などに着目して検討―入院医療分科会(1)
2018年度改定で新設された【急性期一般入院料1】を選択する理由はどこにあるのか―入院医療分科会
2020年度の次期診療報酬改定に向け、急性期一般入院料や看護必要度などを調査―入院医療分科会



妊産婦の診療に積極的な医師、適切な要件下で診療報酬での評価に期待―妊産婦保健医療検討会



2020年度診療報酬改定、「ネットで2%台半ば以上のマイナス、本体もマイナス」改定とせよ―財政審



医師働き方改革、「新たな医療提供体制に向かうチャンス」の可能性も―社保審・医療部会
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2020年度診療報酬改定、「医師働き方改革」だけでなく「効率化」や「機能分化」なども重点課題ではないか―社保審・医療保険部会
2020年度診療報酬改定、「効率化・合理化の視点」「働き方改革の推進」「費用対効果評価」なども重要視点―社保審・医療保険部会



2020年度に「稼働病床数を1割以上削減」した病院、国費で将来の期待利益を補助―厚労省