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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

中医協・基本小委、支払側が「看護必要度や地域包括ケア病棟などの厳格化」を強く要望

2019.11.8.(金)

2020年度の次期診療報酬改定に向けて、入院基本料や特定入院料の施設基準厳格化などを推し進めていく必要がある―。

11月6日に開催された中央社会保険医療協議会の診療報酬基本問題小委員会(以下、中医協・基本小委)では、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)からこういった意見が出されました。

診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、「入院医療についてはこれから中医協・総会で議論していく」と述べるにとどめ、あえて反論は行っていません。

11月6日に開催された、「第198回 中央社会保険医療協議会 診療報酬基本問題小委員会」

入院医療分科会で「入院医療」の課題を整理・報告、中医協でこれから本格議論

GemMedでお伝えしているとおり、2020年度の次期診療報酬改定に向けて、中医協の下部組織である診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」(入院医療分科会)が、2020年度の次期診療報酬改定に向けた課題分析を終え、「報告」を取りまとめました(10月30日)。

そこでは、例えば次のような大きな論点が浮上したことが、尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)から報告されました。

▽「看護必要度の評価項目」について、2018年度改定で重症患者にカウントすることとなった「A項目1点・B項目3点で『診療・療養上の指示が通じる』『危険行動』のいずれかに該当する患者」(以下、A1・B3)について、「急性期入院医療が必要な患者」の指標として妥当か否か

▽院内のDPC病棟(一般病棟)から地域包括ケア病棟へ転棟した患者について、DPC点数を継続算定すべきか、地域包括ケア病棟入院料を新たに算定すべきか

▽回復期リハビリテーション病棟において「入棟時のFIM(患者のADLを評価する)点数が低下傾向にある」が、これをどう考えるか

▽療養病棟において「医療区分3の対象となる『中心静脈栄養』実施を長期間施されている患者が一定程度いる」が、これをどう考えるか

こうした報告を受け、支払側の幸野委員は「今後の中医協・総会での議論につなげる」ためとして、次のような意見を述べました。

まず、急性期入院医療について、旧7対1一般病棟から、新設された【急性期一般入院料2・3】などへの転換が進んでいない点を重視し、▼重症患者(重症度、医療・看護必要度基準を満たす患者)割合の基準値(【急性期一般1】では看護必要度Iで30%以上)について、精査を行う▼2018年度診療報酬改定で新たに重症患者にカウントすることとなった「A1点・B3点で『危険行動』等に該当する患者」について、急性期入院医療の評価にふさわしい指標なのか、再度検討する▼看護必要度の測定方法について、体制が構築されている大病院では、DPCデータのEF統合ファイルを用いた「看護必要度II」を必須とする―ことなどを求めています。

A1・B3患者を急性期病棟と療養病棟で見てみると、療養病棟のほうが該当患者割合が高いことが分かる(入院医療分科会(1)1 191016)



幸野委員は、とりわけ【急性期一般1】の重症患者割合について「2018年度改定で設定された30%以上」という基準値が「低すぎる」と指摘しており、「厳格化」を強く求めていく構えです。もっとも、評価項目の見直しが行われれば重症患者割合も動く(項目を絞れば現行「30%以上」でも厳格化となり、項目を広げれば「35%以上」などの引き上げたとしても緩和になる可能性もある)ため、総合的な検討が必要です。幸野委員は「項目見直しによって、各急性期一般1病院の重症患者割合がどう動くのかを試算し、重症患者割合の基準値を探っていくべき」とも提案しています。



また地域包括ケア病棟については、「自院の急性期病棟からの受け入れ患者がほとんどである病棟では、▼急性後患者の受け入れ(post acute)▼自宅等患者の急変時の受け入れ(sub acute)▼在宅復帰―の3機能を果たしているとは言えない」と強調し、例えば次のような点を検討すべきと訴えています。

▽DPC病棟から地域包括ケア病棟への転棟が、「DPC点数<地域包括ケア病棟入院料の点数」となった時点に集中しており、これが「post acute機能への偏り」を助長していると考えられ、何らかの対応を行う



▽地域包括ケア病棟入院料2・3においても、一定の「実績要件」(自宅等患者の受け入れや在宅医療提供など)を設定する(つまりすべての地域包括ケア病棟で自宅患者等の受け入れ等を行うことを必須とする)

▽入院料にはリハビリ点数が包括されているが、リハビリを実施していない病棟があることを踏まえた検討を行う



一方、回復期リハビリテーション病棟については、「アウトカム評価を一層推進してく必要がある」とし、例えば▼リハビリテーション実績指数(ADLの改善度合いを見る指標)の水準を引き上げる(現在は、ほぼすべての病棟でクリアしており、ハードルになっていない)▼入院料2・4・6(現在、リハビリテーション実績指数の要件なし)についてもリハビリテーション実績を要件化する―ことなどを提案しました。

さらに慢性期医療を提供する療養病棟については、「従前の療養病棟2(25対1看護)や経過措置病棟が、介護医療院へ転換せず、療養病棟1へ転換したり、経過措置の継続を考えていたりする」点が問題であるとし、▼現行の【療養病棟入院基本料2】(医療区分2・3患者割合が50%以上)の必要性を検討する▼重症患者(医療区分2・3患者)の受け入れ割合の基準値(療養病棟1では80%以上)を見直す▼経過措置をすみやかに廃止する▼長期間の中心静脈栄養実施(医療区分3に該当する)の対応方法を検討する―ことなどを求めていく考えです。



いずれも「入院基本料、特定入院料の施設基準等の厳格化」を求めるものと言えます。診療側の松本委員は「議論は今後行う、現時点ではあえて反論しない」とコメントしましたが、今後、中医協総会において熱い火花が飛び散ることは確実です。

 
 
 
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