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高額なアレルギー治療薬「ゾレア皮下注」、花粉症への適応拡大踏まえ最適使用推進ガイドライン―中医協総会(3)

2019.11.15.(金)

気管支喘息等の治療薬「ゾレア皮下注」について、近く「季節性アレルギー性鼻炎」、いわゆる花粉症にも効能効果が拡大される。高額な薬価が設定されており、濫用されれば薬剤費が大きく膨らむため、使用可能医療機関や対象患者を限定する(重症のスギ花粉症で、既存治療で効果が不十分な患者に限定)ための「最適使用推進ガイドライン」を作成し、医療現場での遵守を求める―。

11月13日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、こういった点が了承されました(11月13日の中医協に関連する記事はこちら こちら)。

11月13日に開催された、「第432回 中央社会保険医療協議会 総会」

最大で150万円程度の薬剤費となる患者も

既存治療が十分に効かない気管支喘息・特発性慢性蕁麻疹の治療に用いる「オマリズマブ(遺伝子組換え)」(販売名:ゾレア皮下注用75mg、同150mg、ゾレア皮下注75mgシリンジ、同150mgシリンジ)について、近く「既存治療で効果不十分な重症・最重症の季節性アレルギー性鼻炎」への効能効果追加が正式承認される見込みです。

本剤については、薬価が高額に設定されています。例えばゾレア皮下注用150mgでは1瓶当たり4万6422円であり、1回当たり600㎎を2週間ごと投与するとなると、1か月で37万円余り、花粉の多く飛ぶ2-5月にこの量で使用したとすれば150万円弱となります。

今や「国民病」とも指摘される季節性アレルギー性鼻炎に本剤が広く使用されれば、薬剤費が大きく膨らんでしまうため、今般、「本剤を適正使用する」ための最適使用推進ガイドラインが作成されるものです。見ていくように、「スギ花粉による重症の季節性アレルギー性鼻炎(いわゆる花粉症)」のうち、既存治療で効果が不十分な患者に対象が限定されますが、具体的に「年間の患者数がどの程度になるのか」は明らかにされていません。

まず施設要件を見てみると、次の要件をすべて満たす医療機関のみで使用が認められます。

▽次の要件を満たす「季節性アレルギー性鼻炎の病態、経過と予後、診断、治療(参考:鼻アレルギー診療ガイドライン)を熟知し、本剤についての十分な知識を有し、季節性アレルギー性鼻炎の診断・治療に精通する医師」が、本剤に関する治療の責任者として配置されていること

【成人季節性アレルギー性鼻炎患者に投与する場合】(いずれかを満たす)
▼初期臨床研修修了後に、4年以上の耳鼻咽喉科診療の臨床研修を行っている
▼初期臨床研修修了後に、4年以上の臨床経験を有し、うち3年以上「季節性アレルギー性鼻炎を含むアレルギー診療の臨床研修」を行っている

【小児季節性アレルギー性鼻炎患者に投与する場合】(いずれかを満たす)
▼初期臨床研修修了後に、4年以上の耳鼻咽喉科診療の臨床研修を行っている
▼初期臨床研修修了後に、「3年以上の小児科診療の臨床研修、かつ3年以上の季節性アレルギー性鼻炎を含むアレルギー診療の臨床研修」を含む4年以上の臨床経験を有している

▽「製造販売後の安全性・有効性を評価するための製造販売後調査」を適切に実施できること

▽製薬企業等からの有効性・安全性等の薬学的情報の管理や、有害事象が発生した場合の適切な対応・報告業務等を速やかに行うなどの医薬品情報管理、活用の体制が整っていること

▽喘息等を合併する患者に本剤を投与する場合に、アレルギー性疾患担当医と連携し、その疾患管理の指導・支援を受ける体制が整っていること

▽アナフィラキシー等の副作用に対し、自施設または近隣医療機関の専門医と連携し、副作用の診断・対応に関する指導・支援を受け、直ちに適切な処置ができる体制が整っていること



また対象患者については、次のような「限定」がかけられました。

▽「鼻アレルギー診療ガイドライン」を参考にスギ花粉による季節性アレルギー性鼻炎の確定診断がなされている

▽初回投与前のスギ花粉抗原に対する血清特異的IgE抗体がクラス3以上(FEIA法で3.5UA/mL以上、CLEIA法で13.5ルミカウント以上)である

▽過去にスギ花粉抗原の除去と回避を行った上で、医療機関で「鼻アレルギー診療ガイドライン」に基づき、鼻噴霧用ステロイド薬・ケミカルメディエーター受容体拮抗薬による治療を受けたものの、コントロール不十分な鼻症状が1週間以上持続したことが診療録、問診等で確認できる

▽12歳以上で、体重・初回投与前血清中総IgE濃度が投与量換算表で定義される基準を満たす

▽投与開始時点で、季節性アレルギー性鼻炎とそれ以外の疾患が鑑別され、本剤の投与が適切な季節性アレルギー性鼻炎であると診断されている



さらに「投与期間」について、▼スギ花粉の飛散時期(概ね2-5月)を考慮する▼既に発現しているアレルギー症状を速やかに軽減する薬剤ではなく、季節性アレルギー性鼻炎の「症状発現初期」の投与開始が望ましい▼臨床試験で「12週以降」の使用経験は無いため、12週以降の継続投与は必要性を慎重に判断する―ことが示されました。



また、保険診療において本剤を使用する場合には、最適使用推進ガイドラインを遵守するとともに、レセプトの摘要欄に次のような事項を記載することが求められます(保険診療上の留意事項)。

▽治療責任者の医師が、上記要件のいずれに該当するか
▽投与量の設定に用いた血清中総IgE濃度、当該検査の実施年月日
▽患者がスギ花粉による季節性アレルギー性鼻炎であると判断した理由
▽既存治療で効果不十分と判断した理由
▽本剤と併用しているヒスタミンH1受容体拮抗薬の成分名・1日投与量
▽12週を超えて本製剤を投与する場合は、「継続して投与することが必要かつ適切」と判断した理由



正式な効能効果追加は11月下旬になると見込まれており、それを待って「最適使用推進ガイドライン」および「保険診療上の留意事項通知」が発出されます。

なお、本剤が非常に多くの花粉症患者に使用される可能性も否定できませんが、市場規模が1000億円を超える場合には「費用対効果評価」が行われます(価格引き下げの可能性あり)。

新たな腎性貧血治療薬「エベレンゾ」、人工腎臓に包括評価し、院内処方を

また11月13日の中医協総会では、14成分・33品目の新薬について保険適用(薬価基準への収載、11月19日予定)が承認されました。

その中には、新たな「人口透析における合併症(腎性貧⾎)治療薬」である「ロキサデュスタット」(販売名:エベレンゾ錠20㎎(1錠387.40円)、同50㎎(同819.20円)、同100㎎(同1443.50円))があります。

本剤については、暫定的に(2020年3月31日まで)、「J038【人工腎臓】の技術料に包括評価されていると扱い、出来高算定は行えないこととする」「本剤は透析医療機関において院内処方する」こととなりました。

J038【人工腎臓】の点数には、従前からの合併症治療薬「エリスロポエチン製剤」等の費用が包括評価されていることから、「新たな内服薬であるエベレンゾ錠」を出来高算定できるとなると、「エリスロポエチン製剤等を用いていないにもかかわらず費用算定を認める」こととなってしまうためです。なお、2020年度の次期診療報酬改定に向けて、「新薬登場を踏まえて人工腎臓の報酬体系をどう見直すか」が1つ論点となっています。

画期的抗がん剤「キイトルーダ」の薬価引き下げ、2020年2月から適用

また、画期的な抗がん剤「ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)」(販売名:キイトルーダ点滴静注20㎎、同100㎎)について、市場規模が想定を大きく上回っていることが判明し、次のように17.5%薬価を引き下げることも了承されています(四半期再算定)。

▽キイトルーダ点滴静注20㎎(1瓶)
現在の薬価:7万6491円→改定後薬価:6万3077円

▽キイトルーダ点滴静注100㎎
現在の薬価:37万1352円→改定後薬価:30万6231円

ただし、すでに医療機関に納入されている在庫にも配慮し(高価格で購入し、償還価格が引き下げられたのでは、医療機関に持ち出しが生じてしまう)、来年(2020年)2月1日から新薬価が適用されます。



なお、以下の新薬については高額ゆえに「DPCの包括対象」とせず、出来高算定となります(該当コードに基づく治療はすべて出来高算定となる)。

▽再発または難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)治療に用いる「ベネトクラクス」(販売名:ベネクレクスタ錠10㎎、同50㎎、同100㎎)
→【130030 非ホジキンリンパ腫】について出来高とする

▽FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症の治療に用いる「ブロスマブ(遺伝子組換え)」(販売名:クリースビータ皮下注10㎎、20㎎、30㎎)
→【071030 その他の筋骨格系・結合組織の疾患】について出来高とする

▽切除不能な進行・再発の扁平上皮非小細胞肺がんの治療に用いる「ネシツムマブ(遺伝子組換え)」(販売名:ポートラーザ点滴静注液800㎎)
→【040040 肺の悪性腫瘍】について出来高とする

▽鼓膜穿孔の治療に用いる「トラフェルミン(遺伝子組換え)」(販売名:リティンパ耳科用250μgセット)
→【030440 慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫】【030460 中耳・乳様突起の障害】【160440 外耳・中耳損傷(異物を含む。)】について出来高とする

 
 

 

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