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新型コロナ対策 症例Scope

外来機能報告制度を了承、外来診療データもとに地域で「紹介型病院」を明確化―医療計画見直し検討会(1)

2020.12.4.(金)

各地域で紹介型の「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関」を明確化し、そこには、かかりつけ医からの紹介受診を原則とする仕組みを設ける―。

「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関」は、個々の医療機関の「手上げ」をもとに、地域関係者の協議で明確化することとし、国が協議等のための参考値を示す―。

12月3日に開催された「医療計画の見直し等に関する検討会」(以下、検討会)で、こういった内容が概ね固められました。近く、社会保障審議会・医療部会に報告され、そこでの了承を経た後に、医療法等の改正作業につなげられます。

12月3日に開催された「第24回 医療計画の見直し等に関する検討会」

医療機関に外来診療のデータの報告を義務付ける「外来機能報告制度」を創設

検討会では、(1)外来機能報告制度(2)新興感染症の医療計画への位置づけ―の2点について議論が行われています。本稿では(1)の外来機能報告制度に焦点を合わせ、(2)の医療計画については別稿で報じます。

外来機能報告制度は、病院・有床診療所から外来医療データの報告を受け、これをもとに地域で「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関」(以下、本稿では「重点外来基幹病院」と呼ぶ)を明確化し、そこへはかかりつけ医等からの紹介受診を原則とする、という患者の流れ構築を目指すものです。

政府の全世代型社会保障検討会による「紹介状なし患者への特別負担徴収義務について、対象医療機関・金額ともに拡大する」との方針を受け、検討会で「対象医療機関拡大」のベースとなる「外来医療の機能分化」に関する考え方を議論。次のような外来機能報告制度の大枠が固められてきたものです(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちら)。

(A)「一般病床・療養病床を持つ医療機関」(病院・有床診療所)に外来診療に係るデータを都道府県に報告することを義務付ける【外来機能報告制度】

(B)提出された外来診療データをもとに、各地域で「重点外来基幹病院」を明確化する

(C)重点外来基幹病院へは、かかりつけ医等からの紹介受診を原則とする(紹介状を持たずに受診した場合には特別負担徴収を義務化することを社会保障審議会・医療保険部会で議論中、関連記事はこちらこちら



まず(A)の外来機能報告制度で報告するデータの内容は、今後詰めていくことになりますが、これまでに「医療資源を重点的に活用する外来」(▼医療資源を重点的に活用する入院前後の外来▼高額等の医療機器・設備を必要とする外来▼特定領域に特化した機能を有する外来(紹介患者に対する外来等)―)が浮上しています。例えば「手術(診療報酬上のKコードを算定)前後30日間の外来診療」「診療情報提供料Iの算定から30日以内に別医療機関を受診した場合の、当該別医療機関での外来診療」データなどが考えられています。

医療資源を重点的に活用する外来医療のイメージ(案)(医療計画見直し検討会1 201030)



こうしたデータは、「厚労省がNDB(National Data Base、レセプトデータ・特定健康診査データが格納されている)から抽出して医療機関に提示する」→「医療機関でデータを確認し、都道府県に報告する」という流れで報告・提出することになります。病床機能報告制度とセットでの報告が考えられています。また無床診療所も任意でデータを提出することが可能です。

このうち「高額等の医療機器・設備を必要とする外来」について、厚労省が試算したデータの中に「550点以上の画像診断」(E200【コンピューター断層撮影(CT撮影)】、E202【磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI撮影)】など)が含まれていることから、一部委員は「CT・MRIのデータを収集し、地域で台数制限などを行うのではないか」と警戒しています。この点、厚労省医政局総務課の熊木正人課長は「CT撮影やMRI撮影を『医療資源を重点的に活用する外来』に含めるか否かはこれから検討していく」「外来機能報告制度は『紹介型医療機関(ここでは重点外来基幹病院)の明確化』であり、台数制限などは今のところ考えていない」とコメントしています。本筋でない部分の指摘は、外来機能報告制度の議論を歪めてしまう可能性もあり注意が必要でしょう。

「医療資源を重点的に活用する外来」を基幹的に提供する病院を、各地域で明確化

こうした外来データを踏まえて、(B)のように各地域で議論し、「主に『医療資源を重点的に活用する外来』を提供している医療機関(重点外来基幹病院)」はどこなのか、を明らかにしていくことになります。

その際、何らの基準もなく議論することはできないため、例えば「『医療資源を重点的に活用する外来』が外来全体の中で●%を占めている」場合には、当該医療機関は重点外来基幹病院と言えるのではないか、などの基準を国が示すことになります。この基準も、今後議論していくことになります。

病院別にみた重点外来が外来全体に占める割合(医療計画見直し検討会(1) 20111)



ただし、数字だけを見て機械的・自動的に重点外来基幹病院を指定するものではありません。次の点が何度も確認されています。

国の示す基準は「参考値」「目安」であり、地域で、その実情に応じて活用する
▼重点外来基幹病院へは、医療機関側の「手上げ」をもとに、地域の協議で明確化する(報告書では「重点外来基幹病院を明確化する仕組みを設け、その方法として、外来機能報告(仮称)の中で報告する」とされており、この文言が「手上げ」を意味し、同じく「報告に当たっては国の示す基準を参考にして、地域の協議の場で確認する」とされており、この文言が「協議」を意味する)



この重点外来基幹病院については、多くの委員から「ネーミングが重要である」という指摘が改めてなされました。

例えば、「高度外来」「高機能外来」などの名称とした場合には、一般国民が「5000円、7000円などの負担をしても高度・高機能の医療を受けたい」と紹介状なしに殺到する可能性もあります。これでは外来医療機能分化に逆行してしまいます。

「紹介状の必要な外来」「紹介を基本とする外来」という制度の趣旨が理解されるような名称を今後検討していくことになります。

なお、この重点外来基幹病院の名称を「法律上の用語」とするのか、いつ決定するのか、などもこれから詰められますが、厚労省では「特定機能病院や地域医療支援病院などとは性質が異なるのではないか」との考えを示しています。

外来診療において、「患者の受療行動の変容」はどうすれば進むのか

さらに(C)のように、重点外来基幹病院は、かかりつけ医等からの紹介が原則となり、紹介状なしに外来受診をした場合には特別負担が徴収されます。この特別負担徴収の仕組みは、社会保障審議会・医療保険部会で議論されています(12月2日の会合で仕組みの概要が固められており、別稿で報じます)。

特別負担徴収義務を拡大していく方向そのものに異論は出ていない(医療保険部会(1)1 201126)



また、紹介する側の「かかりつけ医」機能の明確化も重要です。かかりつけ医とは何か、かかりつけ医にはどのような機能が求められているのか、という点について日本医師会と四病院団体協議会(日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会)とが合同提言を行っていますが、その内容は曖昧であり、また「共通認識」となっているわけでもありません。検討会では、「かかりつけ医」機能の明確化・強化に向けた検討をさらに進めていくことも確認しています。



さらに、何よりも重要なのは、上述のような「重点外来基幹病院には、かかりつけ医等からの紹介受診が原則である」ということを、国民が十分に理解し、受診行動を変容させていくことです。

受診行動の変容に向けては、上述のように「特別負担の拡大」が行われます。例えば、初診時の特別負担は現行の「5000円以上」から「7000円以上」に引き上げる検討などが進んでいます(関連記事はこちらこちら)。

しかし、「この程度の負担増では、国民は多くは受診行動を変えないであろう」と見る識者も少なくありません。今回の仕組みの効果なども見据えながら、「まず、かかりつけ医を受診し、そこから専門的な外来を行う医療機関を紹介してもらう」という患者の流れをどのようにすれば構築できるのか、継続して検討いていくことが重要でしょう。

ぽんすけ2020MW_GHC_logo

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