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病院従事者の2025年度賃上げ率は平均「2.50%」で一般産業の半分程度、2026年度診療報酬での「十分な賃上げ」対応が必要—四病協

2025.6.27.(金)

病院従事者の2025年度賃上げ率を四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)の幹部病院を対象に緊急調査し、その最終結果をとりまとめたところ、平均「2.50%」で、一般産業の半分程度にとどまっている(速報値よりは若干上振れしているが、状況の厳しさは変わっていない)—。

6月25日に開催された四病院団体協議会の総合部会で、こうした結果とりまとめが行われたことが日本医療法人協会の伊藤伸一会長と太田圭洋副会長から報告されました。伊藤・医法協会長、太田・同副会長は「病院経営が厳しい中で最大限、ぎりぎりの賃上げを行っているが、他産業への医療従事者流出が危惧される厳しい状況だ。今後、2026年度の次期診療報酬改定の財源確保に向けた議論が今秋から冬(2025年秋・冬)に行われるが、そこに向けて国民・政治家に理解してもらう努力をしていく」と強調しています(医法協サイトはこちら)。

病院スタッフの賃上げを十分に行えるような環境整備・支援が早急に必要

2024年度の診療報酬改定では「医療従事者の給与改善」が重要論点の1つとなり、【ベースアップ評価料】の創設が行われました。評価料を財源に、▼2024年度に2.5%▼2025年度に2.0%—の賃上げを目指すものです。

しかし日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会で構成される四病院団体協議会の幹部病院に対する調査速報では、「一般産業の半分程度の賃上げしか行えていない」状況が報告されました。

四病協ではさらに調査分析を行い、今般、調査の最終報告を次のように取りまとめ、公表しました。速報値では「163病院」のデータでしたが、最終報告では「189病院」に回答数が増加しています(+25病院)。

●最終報告に関する医法協のサイトはこちら

【賃上げ実施状況】
▽実施する(予定含む):55%(速報値に比べて2ポイント低下)
▽定期昇給のみを実施する(予定含む):41%(同2ポイント上昇)
▽ベースアップのみ実施する(予定含む):3%(同1ポイント上昇)
▽実施しない:1%(同1ポイント低下)

賃上げ実施の状況給率の変化状況(四病協緊急調査・最終結果1 250625)



【賃上げ率(平均)】
▽全体:2.50%(速報値に比べて0.09ポイント上昇)

(開設主体別内訳)
▽国立病院機構:2.50%(3施設、速報値に比べて0.41ポイント上昇)
▽自治体病院:2.20%(7施設、同0.08ポイント上昇)
▽その他公的:2.63%(10施設、同0.56ポイント上昇)
▽医療法人:2.54%(158施設、同0.13ポイント上昇)
▽その他私的:2.12%(11施設、同0.32ポイント低下)

平均賃上げ率(四病協緊急調査・最終結果2 250625)



【賃上げ促進税制の利用状況】
▽利用あり:19.0%(36病院、速報値と割合は変わらず)
→自治体病院Ⅰ病院(自治体病院の14.3%)、医療法人32病院(医療法人の20.3%)、その他私的3病院(私的の27.3%)、

▽利用なし:81.0%(153病院、速報値と割合は変わらず)
→国立病院機構3病院(すべて)、自治体6(自治体病院の85.7%)、その他公的10(すべて)、医療法人126病院(医療法人の79.7%)、その他私的(私的の72.7%)

▽利用できない理由としては、「病院形態として賃上げ促進税制を利用」35%、「赤字のため利用できない」35%などが多い

賃上げ促進税制の活用状況(四病協緊急調査・最終結果3 250625)



【賞与支給率の変化】
▽上がった:18%(速報値から1ポイント上昇)
▽不変:67%(同変わらず)
▽下がった:15パーセント(同1ポイント低下)

▽下がったのは医療法人(23施設)、その他私的(3施設)、その他公的(1施設)、自治体(1施設)

賞与支給率の変化状況(四病協緊急調査・最終結果4 250625)



速報値に比べて若干の数値の上振れがありますが、「2025年の賃上げ率は、一般産業が4-5%と高水準であるが、病院では平均2.50%と半分程度に抑えられており、厳しい状況」は全く変わっていません。

伊藤・医法協会長、太田・同副会長は「病院の経営状況は2023年度→24年度→今年度(25年度)と時間の経過とともに悪化している。他産業への医療従事者の流出を食い止めるために十分な賃上げを行いたいが、病院経営が厳しい中で、現状が最大限・精いっぱいである。一般的には『毎年、定期昇給で1%台後半の賃上げ』を行うため、ベースアップ評価料の効果は『1%程度』と見込まれる(想定では2024年度に+2.5%、25年度に+2.0%)。今後、2026年度の次期診療報酬改定の財源確保に向けた議論が今秋から冬(2025年秋・冬)に行われるが、そこに向けて国民・政治家に病院経営の厳しさをさらに理解してもらう努力をしていく」と強調しています。



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