骨太方針2025の「経済・物価動向に相当する増加分加算」方針を歓迎、2026年度診療報酬改定に反映されるよう活動を続ける—四病協
2025.6.19.(木)
石破茂内閣が決定した「骨太方針2025」では「経済・物価動向に相当する増加分の加算」方針が明示されており、これを歓迎し、医療関係者等に感謝する—。
この方針が2026年度診療報酬改定に確実に反映されるよう活動を継続していく—。
日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会の4団体で構成される四病院団体協議会(四病協)が6月17日にこうした声明を発表しました(医法協サイトはこちら)。
医療界が一丸となって粘り強く医療機関の窮状を訴えた成果である
Gem Medで報じているとおり、6月13日に石破茂内閣が決定した骨太方針2025では、医療・介護をはじめとする社会保障予算について、これまでの「高齢化の伸び」に加えて、「人件費・物価高騰」や「病院経営安定」などを勘案した増額を行う方針が明示されています。保険医療機関等の収益の大部分は「公定価格である診療報酬」であるため、一般企業のように「物価や人件費が高騰し経営が厳しくなっているので、サービス価格(診療報酬)を引き上げて、コスト増を吸収しよう」と個々の医療機関等が行動することはできず、「診療報酬等の引き上げによって物価、人件費等の高騰分を補填することが必要不可欠である」ことを石破茂内閣でも認識していることが伺えます。
この点について四病協は、「経済・物価動向に相当する増加分の加算が明記された」ことで「地域医療の維持に希望が見えてきた」と歓迎の意を表明。
あわせて、この方針は、「医療界が一丸となって粘り強く医療機関の窮状を訴え、多くの関係者に理解いただいた成果である」と関係者に謝意を表明しました。
上記方針に照らせば、2026年度の次期診療報酬改定では一定のプラス改定になることが予想されます。
しかし、診療報酬プラス改定をする場合でも、その財源も無尽蔵ではなく、またプラス改定は「国民負担の増加」(税金、保険料、患者負担のすべてが上がる)にもつながります。したがって「これで入院基本料の大幅引き上げが見えてきた」と喜ぶことはあまりにも時期尚早で、本年(2025年)末の来年度(2026年度)予算案編成の過程で「何%の改定率」が設定され、中央社会保険医療協議会で「どれほどの点数増が設定されるのか」のかを注視する必要があります。
このため四病協でも、「今回の閣議決定が次回の診療報酬改定に確実に反映されるよう、これからも着実に活動を継続していく」考えも強調しています。
今後の2026年度診療報酬改定論議にさらに注目が集まります。


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