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外来化学療法など「医療資源を重点活用」する外来医療、集約化の枠組み構築―医療計画見直し検討会

2020.2.28.(金)

外来医療の機能分化・連携を推進するために、例えば外来化学療法や日帰り手術など「医療資源が重点的に活用される外来医療」について、地域の実情を踏まえたうえで「集約化」を推進する枠組みを検討する必要があるのではないか―。

2月28日に開催された「医療計画の見直し等に関する検討会」(以下、検討会)で、このような外来医療の機能分化・連携の推進に関する議論が始まりました。今後、収集的に議論を重ね、4月中に中間取りまとめを行う構えです。

2月28日に開催された、「第18回 医療計画の見直し等に関する検討会」

「大病院での紹介状なし患者の定額負担」検討の前提として、外来機能の在り方を議論

安倍晋三内閣総理大臣が議長を務める「全世代型社会保障検討会議」が昨年(2019年)末に、大病院における「紹介状なし外来受診患者」に対する特別負担の金額について、▼初診時5000円・再診時2500円を増額する▼徴収義務対象を『200床以上の一般病院』に拡大し、外来医療の機能分化を促す―などの方向性を示しました。

これに対し、社会保障審議会・医療部会では、「外来医療の機能分化やかかりつけ医機能についての議論は十分に行われておらず、共通認識もできていない。そうした中で、外来医療の機能分化の方向性が示されることは極めて遺憾である。また同規模の病院でも地域によって機能は異なる。規模でなく、機能に着目した議論を行うべきである」との意見が多数示されました。こうした意見を放置して制度設計論議を進めることは許されないため、厚生労働省医政局の吉田学局長は、▼医療部会等で、ベースとなる「外来医療の機能分化」「かかりつけ医機能の推進」に関する方向性を固める▼医療保険部会や中央社会保険医療協議会で「対象病院」や「金額」「医療保険の負担を軽減する仕組み」などを議論する―という2つのレールで議論を進める考えを提示。さらに、前者の「外来医療の機能分化」「かかりつけ医機能の推進」に関する方向性について「検討会で具体的な議論を進め、適宜、医療部会に経過を報告するとともに、医療部会の意見を検討会にフィードバックしていく」との進め方も提示されました(関連記事はこちらこちら)。

紹介状なし外来患者の特別負担徴収義務拡大に係る議論の場の区分け(医療計画見直し検討会1 200228)



こうした議論を踏まえて開催された2月28日の検討会では、厚労省医政局総務課の高宮裕介企画官から、▼(1)外来機能の明確化(2)かかりつけ医機能の強化(3)外来医療のかかり方に関する国民の理解促進―の3点を検討テーマとする▼3テーマについて集中的に議論を重ね、4月に中間取りまとめを行う―考えが示されました。

なお、最大の争点となる「大病院における『紹介状なし外来受診患者』の特別負担に関する、対象病院、金額など」の制度設計論議は検討会では行わず(医療保険部会や中医協で議論)、検討会・医療部会では制度設計のベースとなる「外来医療の機能分化・連携の推進」を議論していくことも確認されています。

外来化学療法など「医療資源が重点的に活用される外来医療」、地域での「集約化」を推進

2月28日の検討会では、3テーマ((1)外来機能の明確化(2)かかりつけ医機能の強化(3)外来医療のかかり方に関する国民の理解促進―)について総論的な議論が行われました。

まず(1)の外来機能の明確化に関しては、2013年夏に社会保障制度改革国民会議が取りまとめた社会保障・税一体改革の中で「一般外来は診療所や中小病院が担い、地域の拠点病院は専門外来・紹介外来に特化していく」という方向をより具体化していくことが基本となります。

外来医療と一口に言っても、例えば▼比較的状態の安定した慢性疾患患者への内服治療▼手術後のがん患者に対するがん化学療法▼外来での日帰り手術(デイ・サージャリー)とそのフォローアップ―など、さまざまな形態があります。

外来医療と一口に言っても多様である(医療計画見直し検討会3 200228)



この点について高宮企画官は、例えば外来化学療法や日帰り手術などの「医療資源が重点的に活用される外来医療」について、「地域の実情に応じた集約化が必要になってくるのではないか」との考えを示しています。「医療資源が重点的に活用される外来医療」を提供するためには、相応の機器・設備や人材確保が必要となります。翻って、医療現場の実態を見ると、こうした医療については、多様な医療機関(大規模な病院からクリニックまで幅広く)で実施されていることが分かります。

「医療資源が重点的に活用される外来医療」についても多様な医療機関で実施されている(医療計画見直し検討会5 200228)

化学療法や日帰り手術など「医療資源が重点的に活用される外来医療」について集約の方向が検討される(医療計画見直し検討会4 200228)



医療へのアクセスという面では、多様な医療機関での実施が好ましいとも思われますが、多くの医療機関に医療資源(機器・設備や人材)が分散(当然、症例も分散する)すれば、「医療の非効率」、さらに「医療の質の低下」を招く可能性が高いためです。Gem Medを運営するグローバルヘルスコンサルティング・ジャパンと米国メイヨークリニックとの共同研究では、「症例数と医療の質は相関する」ことが明らかとなっています。

人工膝関節置換術における症例数と術後合併症の関係



さらに、医学・医療の発展や科学技術の進展等により、「従前は入院医療でしか実施できなかった医療技術が、外来で実施可能となる」ケース(例えば、がん化学療法の入院から外来へのシフト)や、「従前は一部の高度医療機関外来でしか実施できなかった医療技術が、一般医療機関でも実施可能となる」ケースも少なくないことから、「医療資源が重点的に活用される外来医療」は今後も増加を続けると考えられ、「地域の実情に応じた集約化」の必要性は高まっていくと考えられます。

このため高宮企画官は、▼「医療資源を重点的に活用する外来について、医療機関ごとにその機能を明確化し、地域で機能分化・連携を進めていく枠組み」を検討する▼検討に当たっては、病床機能報告や地域医療構想などの既存制度との整合性、エビデンスを踏まえる―考えを提示しました。

この考え方そのものに明確な異論は出ていませんが、さまざまな論点があり、今後、集中的な議論が行われます。

例えば、「『医療資源が重点的に活用される外来医療』をどう定義・限定するのか」という疑問がわきます。検討される仕組みでは、「●●医療技術は、この地域では◇病院と◆クリニックに集約していこう」という考えを地域で共有し、実践していくことになります。その●●医療技術を「がん化学療法や日帰り手術のように、1つ1つポジティブリストとして明示していくのか?」、それとも「地域医療構想のように『診療報酬点数』(医療資源投入量)で区分けしていくのか?」など、定義・限定の仕方が注目されます。

医療技術の多様性を考慮すれば、「●点以上の外来医療」といったような大きな括りではなく、領域や技術等によって細かく定義するべきと考えられます。ただし、余りに細かく定義すれば、かえって地域住民や患者に分かりにくくなるというジレンマもあります(頭部の●●技術は◆病院、胸部の●●技術は◇病院、腹部の●●技術は〇病院・・・など)。

この点、城守国斗構成員(日本医師会常任理事)は「広範に規定すれば機能分化が進まない。厳格に限定すべき」と提案しており、今後、厚労省がどのようなイメージを検討会に示すのか(さらに、検討会でどう議論されるのか)、大きな注目を集めそうです。



また、機能分化を進める枠組み、つまり制度をどう考えるのかも大きな注目ポイントとなります。

入院医療の機能分化に関しては、▼各都道府県で『地域医療構想』(機能別の2025年度の必要病床数)を固める▼各医療機関の考え(各病棟にどの機能を持たせるのか)を病床機能報告で確認する▼両者をすり合わせていく―という基本的な流れが構築されています。外来医療の機能分化についても、入院医療に倣うとすれば、例えば▼「医療資源が重点的に活用される外来医療」の将来必要量を地域ごとに定める(地域医療構想に該当)▼各医療機関の実際の医療提供内容や意向を確認する(病床機能報告に相当)▼機能集約を図っていく―という流れが考えられそうですが、「入院医療の機能分化に倣うのか」も含めて、今後の議論を待つ必要があります。

地域医療構想の概要(医療計画見直し検討会2 200228)



さらに、どこまで具体的な制度設計を行うのかも注目されます。4月の中間とりまとめという期限を考慮すれば、例えば、「中間取りまとめでは共通認識を構築するにとどめ(まず全世代型社会保障検討会議からの宿題に答える必要があるため)、その後、具体的な制度設計論議を行う」という結論もあり得るでしょう。今後、検討会で議論を重ねながら着地点を探っていくことになります。



関連して岡留健一郎構成員(日本病院会副会長)は「現在の外来医療機能について、地域で大きな問題が生じているのだろうか。患者が『医療機関選択に悩みを抱えている』という問題があるが、それは情報提供の拡充などで対応可能である」との疑問を提示しました。「まず、地域にどのような医療機関があり、どのような外来医療を提供しているのかの情報を整理し、それを患者・国民に分かりやすく提供することが最優先である」との考えに基づくもので、(3)の国民の理解の推進にも関係する重要テーマと言えます。

なお、(1)「外来機能の明確化」は「規模でなく、機能に着目した議論」という医療部会委員の見解にも沿いますが、城守構成員は「高度な外来機能を果たすためには、相応の設備や人材が必要であり、『病床規模』の要素も一定程度勘案することになろう」と見通しています。



一方、田中滋構成員(埼玉県立大学理事長)や山口育子構成員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、「地域では開業医の高齢化が進み、後継者の確保もままならないという。外来医療については、地域によっては『確保』そのものが大きな課題となっており、その点も検討していくべき」と注文しています。

かかりつけ医機能、質・量の向上や役割の明確化などを検討

また(2)の「かかりつけ医機能の強化」に関しては、▼かかりつけ医機能の質・量の向上方策▼かかりつけ医機能の在り方(予防、生活の視点も含めて地域でどのような役割を担うのか)―が具体的な論点として提示されました。

この点、後者の「かかりつけ医の定義」の明確化がどこまでなされるのかが注目されます。2013年夏に日本医師会と四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会―の4団体で構成)が定義・機能について合同提言を行っていますが、患者・国民の意向とは若干の乖離もあるようです。この点、本多伸行構成員(健康保険組合連合会理事)は「患者の視点で『望ましいかかりつけ医機能』を考えることが重要ではないか」と指摘しています。

日医・四病協による、かかりつけ医の機能と定義(医療計画見直し検討会6 200228)

医療機関と患者とで、かかりつけ医機能について若干の認識の差がある(医療計画見直し検討会7 200228)



一方、(3)の「外来医療のかかり方に関する国民の理解推進」に関しては、2018年暮れにまとめられた「上手な医療のかかり方」の国民や企業等への普及・啓発が重要となります。この点、「ターゲットを絞ったPRが必要である。『国民』というターゲットはおらず、まず年齢区分別に絞ったPR法を考えるべき」(田中構成員)、「医療情報が氾濫し、玉石混交の状態にあることが問題である」(城守構成員)などの指摘が出ています。より効果的なPR方法等を検討会でも探っていくことになるでしょう。


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