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紹介状なし外来患者からの特別徴収義務、200床以上一般病院への拡大には強く反対―日病協

2019.12.20.(金)

全世代型社会保障検討会議が打ち出した「紹介状なし外来受診患者に対する特別負担の徴収義務対象を200床以上の一般病院へ拡大する」考え方は、地域医療の崩壊を招くもので強く反対する―。

12月20日に開催された日本病院団体協議会(日病協)の代表者会議では、こうした点で全会一致しました。

年明けにも何らかのアクションがおこされる見込みです。

12月20日の日本病院団体協議会・代表者会議後に記者会見に臨んだ、長瀬輝諠議長(日本精神科病院協会副会長、向かって右)と相澤孝夫副議長(日本病院会会長、向かって左)

200床、300床規模の病院は「大病院」なのか?と相澤副議長

安倍晋三内閣総理大臣が議長を務める「全世代型社会保障検討会議」(以下、検討会議)が12月19日に中間報告をまとめました。そこでは、「大病院の外来を紹介状なしに受診する患者」に対する特別負担(現在は初診時5000円・再診時2500円)について、次のような見直しを行う方針を打ち出しています。

▽特別負担の金額を引き上げる

▽徴収義務対象病院を「200床以上の一般病院」に拡大する

▽増額分について「公的医療保険の負担を軽減する」よう改める

▽定額負担を徴収しない場合(緊急その他のやむをえない事情がある場合、地域に他に当該診療科を標榜する保険医療機関がない場合など)の要件見直し



この方針について、12月20日に開催された日本精神科病院協会や日本病院会など15の病院団体で構成される「日本病院団体協議会」の代表者会議では、「地域医療を崩壊させる。強く反対する」との考えで全会一致したことが、会議終了後の記者会見で長瀬輝諠議長(日本精神科病院協会副会長)と相澤孝夫副議長(日本病院会会長)から報告されました。

「紹介状なしに大病院外来を受診する患者への特別負担」は、「大病院は専門外来・紹介外来に特化し、一般外来は中小病院や診療所が担うべき」とする「外来医療の機能分化」推進方策の一環として2016年度から導入されました。外来医療の機能分化は、2013年8月の「社会保障制度改革国民会議」でも打ち出されたものです。

この点について相澤副議長は、「200床、300床規模の病院が大病院であろうか。紹介率・逆紹介率要件等が設定されている地域医療支援病院は別にして、我々の感覚では200床以上400床未満は『中小病院』であり、急性期医療も行いながら、同時に地域密着型医療を提供している。そうした病院に特別負担徴収義務を課すのは、『中小病院は一般外来を行うな。外来患者は診療所にまわせ』と言っているに等しい。これでは確実に地域医療が崩壊してしまう」と声を荒げています。

さらに相澤会長は、「日本の医療制度をより良くするためには、どのような取り組みが必要なのかをまず議論し、そのためにはどれだけのお金が必要になるという順序で議論をしなければならない。病院団体としてこの方針を放置することはできない。年明けにも何らかのアクションを起こすことを検討したい」との考えを示しています。



検討会議では、特別負担徴収義務対象病院の拡大を「遅くとも2022年度初までに実施する」ことを宣言しており、制度の詳細を、年明けから来夏(2020年夏)に向けて社会保障審議会(おそらく医療保険部会が担当)と中央社会保険医療協議会で検討することになりますが、日病協がどのように動くのか注視していく必要があります。

 
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