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新型コロナ対策 症例Scope

全国の病院で患者情報確認できる仕組み、電子カルテ標準化など「データヘルス改革」を強力に推進―健康・医療・介護情報利活用検討会

2021.8.12.(木)

2025年度に向けて、(1)自身の保健医療情報を閲覧できる仕組み(PHR)の整備(2)医療・介護分野での情報利活用の推進(EHRも含めて)(3)ゲノム医療の推進(4)基盤整備―を計画的かつ総合的に進めていく―。

「健康・医療・介護情報利活用検討会」(以下、検討会)と「医療等情報利活用ワーキンググループ」「健診等情報利活用ワーキンググループ」(以下、ワーキング)との合同会合が7月29日に開催され、こういった報告が行われています。

また合同会議では「医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループ」を設置し、全国各地で稼働している医療情報ネットワーク基盤の実態を調査分析し、「全国的な医療情報ネットワークの基盤整備」につなげていく方針も了承しています。

患者が、自分で「健診・検診情報」や「過去の診療情報」を確認できる仕組みを構築

データヘルス改革に関しては、加藤勝信前厚生労働大臣指示の下で、まず(1)EHR(全国の医療機関で、患者個々人の▼薬剤▼手術・移植▼透析―などの情報を確認できる仕組み)を構築し、2022年夏から運用する(2)電子処方箋を2022年夏から運用する(ただし今夏の入札に参加がなく、2023年1月スタートに延期)(3)PHR(国民1人1人が、自分自身の薬剤・健診情報を確認できる仕組み)について2021年に法整備を行い、2022年度早期から運用を開始する―方針が固められ、実施に向けた準備が進められています【集中改革プラン】

もっとも、これら以外にも「ゲノム解析に基づく優れた医療提供の実現」や「審査支払機関改革による効率的かつ公平・公正な審査・支払いの実施」などの重要分野もあること、さらに「より長期な視点で取り組むべき必要性もある」(上記集中改革プランは2022年夏をターゲットに据えているが、その先の2025年を見据える)ことを踏まえて、厚生労働省で対象分野・対象期間を拡大した改革工程表が作成されました。

まず対象分野は、大きく(1)自身の保健医療情報を閲覧できる仕組み(PHR)の整備(2)医療・介護分野での情報利活用の推進(EHRも含めて)(3)ゲノム医療の推進(4)基盤整備―の4分野となりました。

データヘルス改革工程表(その1)(健康・医療・介護情報利活用検討会1 210729)

データヘルス改革工程表(その2)(健康・医療・介護情報利活用検討会2 210729)

データヘルス改革工程表(その3)(健康・医療・介護情報利活用検討会3 210729)

データヘルス改革工程表(その4)(健康・医療・介護情報利活用検討会4 210729)



(1)では、乳幼児健診・妊婦健診に始まり、事業主健診、特定健診など「生涯にわたる各種の健診・検診情報」を自身で確認できる仕組みの整備が始まっています。健診・検診項目によって確認可能となる時期は異なります。例えば、乳幼児健診・妊婦健診についてはすでに2020年6月から閲覧可能となっており、特定健診(40歳-74歳を対象とした、いわゆるメタボ健診)については、この10月(2021年10月)から、さらに40歳未満の労働者に関する事業主健診は2023年度から閲覧可能となります。

こうした健診・検診情報については、民間事業者が「集積し、閲覧可能としている」サービスが既に多数開始されています(いわゆる民間PHR)。近く、上記の「国のデータベース」との連携も予定されていることから、情報管理(個人情報の保護、漏洩防止など)の徹底が強く求められます。そこで厚労省では、ガイドライン(民間PHR事業者による健診等情報の取扱いに関する基本的指針)を定めるとともに、今後、業界団体等とも連携して「第三者認証」の仕組み(業界団体等による、言わば「安心・安全保証」)を2023年度から導入する考えを明確にしています。

民間PHRガイドラインの概要(健康・医療・介護情報利活用検討会5 210729)



またPHRでは、自分自身の「過去のレセプト・処方箋情報」を閲覧することも可能となります。過去の薬剤情報については、この10月(2021年10月)から閲覧可能となり、過去の「受診医療機関」「手術・透析」「医学管理」などの情報も、来夏(2022年夏)から患者自身が閲覧可能となる予定です。

併せて、「診療情報」や「介護サービス」に関する情報も患者・利用者が自身で閲覧可能となる仕組みの構築が進んでいます。例えば▼検査結果▼アレルギー情報▼病名▼画像▼介護サービス―などについて、「どの項目を優先的に閲覧可能とするべきか」を詰めたうえで、システム改修を行い、「2024年度から」順次、閲覧可能となる見込みです。「どの項目を優先的に閲覧可能とするべきか」の大枠は、すでに昨年(2020年)12月の会合で固められています。

全国の医療機関で患者情報を確認できる仕組み、電子カルテの標準化などを推進

また(2)には、▼全国の医療機関等で、患者同意の下に患者の診療情報等を閲覧可能とする仕組み(いわゆるEHR)▼電子カルテ情報等の標準化▼介護事業所間での介護情報の共有、医療・介護情報の共有を可能とするための情報標準化▼科学的介護の推進▼公衆衛生と地域医療の有機的連携体制の構築―などの項目が含まれます。

いわゆるEHRについては、冒頭に述べたとおり「集中改革プラン」の1項目にもなっており、例えば特定健診・薬剤情報(処方薬剤)について、この10月(2021年10月)から、全国の医療機関等で閲覧可能となります。

もちろん、情報閲覧には「患者の同意」が必要となりますが、とりわけ情報閲覧・共有が重要となる救急搬送患者などについては別の工夫(閲覧可能者を限定し、事後に患者が「誰がどの情報にアクセスしたか」を確認可能とする)がなされます(関連記事はこちらこちらこちら)。



また電子カルテの標準化については、昨年(2020年)12月の会合で、例えば「医療機関同士などでデータ交換を行うために、アプリケーション連携が非常に容易な『HL7 FHIR』という規格を用いる」ことや、優先的に標準化する項目として、文書については▼診療情報提供書▼キー画像等を含む退院時サマリ▼電子処方箋▼健診結果報告書―、文書以外では▼傷病名(ICD-10コードと病名管理番号を用いる)▼アレルギー情報(テキストデータで取り扱う)▼感染症情報(JLACコードを用いる)▼薬剤禁忌情報(テキストデータで取り扱う)▼救急時に有用な検査情報(JLACコードを用いる)▼生活習慣病関連の検査情報(JLACコードを用いる)―とするなどの方針が固められています。

今後、技術的な課題などをさらに詰め、2022年度以降「対応可能な部分から順次、情報共有を開始する」などのスケジュール感が明確にされています。

コロナ感染症の経験など踏まえ「公衆衛生と地域医療との連携」を強化

介護情報については、2021年度の介護報酬改定に合わせて、従前の▼CHASE(利用者の状態、ケアの内容に関するデータベース)▼VISIT(リハビリに関するデータベース)―が、新たに「LIFE」として一体的に運用されています。データ収集の対象事業所・施設が大幅に拡大され、またデータ提出を行う事業所・施設へのインセンティブ(加算)が大幅に引き上げられており、今後、多くの介護情報が集積されると予想されます(関連記事はこちらこちら)。各事業所・施設では、その分析結果をもとに「この利用者の状態は●●であり、最も効果的なサービスは◆◆である」というエビデンスに基づく介護提供が行われることが期待されます。



また、公衆衛生と地域医療との連携がいかに重要であるかは、今般の「新型コロナウイルス感染症対応」の中で嫌というほど痛感されています。今般のコロナ感染症で得られている知見、他の知見などを総合的に勘案し、2024年度から「すべての感染症について、有事を想定した保健所と医療機関の有機的連携体制の運用を可能とする」考えを厚労省は打ち出しています。





一方、(3)のゲノム医療に関しては「全ゲノム解析を進め、2022年度から『個別患者にゲノム解析結果を活用した医療』を提供できる病院を増加させる」方針が、(4)の審査支払機関改革では「国保総合システムを更改し、社会保険診療報酬支払基金(健康保険組合や協会けんぽなど被用者保険のレセプトを審査)と全国の国民健康保険団体連合会(国保など地域保険のレセプトを審査)の審査ルールを全国統一し、効率的かつ公正・公平な審査を行う」こととなっており、2024年度から更改後の国保総合システムを稼働させる考えを明確化しています。



こうした方針に異論は出ていませんが、「コロナ感染症で現場は混乱している。相対店にも配慮して取り組んでほしい」(長嶋公之構成員:日本医師会常任理事)、「介護情報の共有については、認知症高齢者や知的障害者など『本人の同意』を得られないケースが少なくない。こうした利用者の情報共有をどう進めていくのか、今後詰めていってほしい」(牧野和子構成員:日本介護支援専門員協会副会長)などの注文がついています。

診療録や画像、検査などの診療情報を「全国の医療機関ネットワーク」で共有できないか

こうしたデータヘルス改革を推進するうえでは、「患者の診療情報等(診療録や画像、検査結果などの情報)を標準化し、全国の医療機関等で共有できる」環境の整備が重要です。後述するように「データに基づく医療の標準化→医療の質向上」が飛躍的に進むと期待されるためです。

この点、古くから「地域の医療機関間において、診療情報を共有する」医療情報ネットワークが構築され、活発に稼働しています(厚労省も補助金などでこの動きを推進)。

この地域のネットワークが拡大され、それぞれが連携・情報共有可能となれば、「全国の医療機関等で様々な情報を共有できる」環境が整うと期待されますが、残念ながら、そうした動きは活発ではありません(もちろん個人情報保護などの重要性に鑑み、安易にネットワークを広げることは危険でもある)。

そこで、今般の合同会合では、全国の医療情報ネットワーク基盤について調査(主体、費用、オンライン資格確認等システムや政府共通基盤との関係など)を行い、その結果を踏まえて「全国的な医療情報ネットワーク基盤」の構築に向けた技術的な検討を行うワーキンググループを設置することを決めました。

関連して長島構成員らは「ネットワークに参加する医療機関等の種類や規模はさまざまとなる。そこで一律の情報管理ルールを適用することは困難であろう(とりわけ小規模のクリニックや薬局)。医療機関等の種類や規模などに応じた、それぞれのガイドラインを設ける必要がある」と指摘しています。



上述した「電子カルテの標準化」が進められ、全国的なネットワークが構築され、「診療情報の共有化」が図られることで、「医療の標準化」が飛躍的に進み、より効果的・効率的な医療提供が実現すると期待されます(医療の質の向上)。

医療の質が向上することで、患者にとっても、医療機関にとっても大きなメリットがあると同時に、「医療の無駄」(効果のない医療提供)を省くことができ、国や保険者にとっても大きなメリットが生まれることでしょう。



ぽんすけ2020MW_GHC_logo

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