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2021年からのオンライン資格確認、カードリーダー等端末は支払基金が一括購入し医療機関へ配付―社保審・医療保険部会

2019.12.26.(木)

医療保険加入資格のオンライン確認を円滑に進めるために、医療機関の窓口に「資格確認端末」や「顔認証付きカードリーダー」を設置する必要があるが、「医療機関が個別にカードリーダー等を購入して、その費用を補助する」のではなく、「社会保険診療報酬支払基金がカードリーダー等を一括購入して、医療機関に配付する」こととしてはどうか―。

12月25日に開催された社会保障審議会・医療保険部会で、こういった議論が行われました(オンライン資格確認に関する関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

12月25日に開催された、「第123回 社会保障審議会 医療保険部会」

オンライン資格確認、2023年3月末にほぼすべての医療機関等で実施可能な体制を整備

医療保険制度は、病気やケガといった保険事故に備えて加入者(被保険者)が保険料を納め、事故に遭遇した際に、保険から給付(年齢や所得に応じて医療費の7-9割を給付、さらに高額療養費制度などによる手厚い給付も行われる)が行われる仕組みです。

医療機関側では、治療を行った患者本人に医療費の1-3割の支払いを求め(窓口負担)、残りの7-9割を患者が加入している医療保険に請求することになります(ただし事務の効率化や審査の整合性を確保するために、社会保険診療報酬支払基金・国民健康保険団体連合会に請求する)。このため、医療機関では窓口において、「患者がどの医療保険に加入しているのか」を被保険者証(保険証)で確認することが必要となります(資格確認)。

ところで、例えば「企業で働いていたサラリーマンが、退職後にも在職中の被保険者証(保険証)を返還せずに使用して診療を受ける」という事例が少なからずあります(1か月当たり30万―40万件)。この場合、医療機関は当該被保険者証を発行した保険者(健康保険組合や協会けんぽ、国民健康保険など)に請求を行いますが、その人は既に当該医療保険から脱退しているため、「医療機関への支払いが行われない」あるいは「保険者が退職者分(その人は保険料を支払っていない)の医療費を負担する」という不合理が生じてしまいます。

こうした不合理を解消するため、厚生労働省はマイナンバー制度のインフラを活用した「オンライン資格確認」を導入します。社会保険診療報酬支払基金・国民健康保険中央会(国民健康保険団体連合会の中央組織)で全国民の資格履歴を一元的に管理し、医療機関が、患者の提示したマイナンバーカードや被保険者証をもとに、窓口で即時に「患者がどの医療保険に加入しているか」などを即時に確認できる仕組みを構築するものです。患者が「提示された被保険者証を発行する保険者に加入していない」ことが分かった場合には、医療機関は患者に医療費全額を請求する(患者側からすれば10割負担となる)ことになります。

この「オンライン資格確認」には、次の2パターンがあります。

(1)マイナンバーカードを用いて行う場合
→「顔認証付きカードリーダーを用いて」あるいは「医療機関の窓口スタッフによる目視」によって、提示者(患者)が当該保険に加入しているかどうかを確認する

(2)被保険者証を用いて行う場合
→医療機関の窓口スタッフが、端末を用いて被保険者番号を入力し、提示者(患者)が当該医療保険に加入しているかどうかを確認する

オンライン資格確認における本人確認の仕組み(医療保険部会4 191225)



政府は、再来年(2021年)3月からこのオンライン資格確認の運用を開始し、▼2021年3月末には6割の医療機関等で▼2022年3月末には9割の医療機関で▼2023年3月末にはほぼすべての医療機関で―オンライン資格確認が実施可能な体制を整備する予定を組んでいます。

オンライン資格確認等の導入スケジュール(医療保険部会3 191225)



このためには、各医療機関に「顔認証付きカードリーダー」と「資格確認端末」が設置されている必要があります。厚労省は今年度(2019年度)予算で公費300億円規模の「医療情報化基金」を設置し、こうした機器設置費用を補助する仕組みを整備(2020年度予算では国費768億円を積み増し)しています。

オンライン資格確認の初期費用を補助するための医療情報化基金が2020年度予算で積み増される(医療保険部会1 191225)

オンライン資格確認に用いるカードリーダー等のイメージ(医療保険部会2 191225)



ただし、日本医師会や日本病院会、健康保険組合連合会、全国健康保険協会、国民健康保険中央会などの実務者を交えた協議では、「個別医療機関がそれぞれ機器を購入し、それを補助する」よりも、「社会保険診療報酬支払基金が一括して機器を購入し、それを個別医療機関に配付する」形のほうが効率的(購入費が抑えられる)かつ確実な体制整備が図られることを確認。12月25日の医療保険でも、この一括購入を可能とする仕組みを設ける方針が概ね了承されました。社会保険診療報酬支払基金が「機器を一括購入し、医療機関に配付する」業務を可能とするような法律(地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律)改正が行われます。

ただし、佐野雅宏委員(健康保険組合連合会副会長)ら医療保険者からは▼機器設置の初期費用だけでなく、運用費、メンテナンス費なども必要となるが、保険者負担とならないようにすべき▼コストパフォーマンスを十分に考慮すべき▼政府は「マイナンバーカードの利用」を推進しているが、紛失した場合のリスクなども国民に周知すべき―などの注文を付けています。

また、当面は(1)の「マイナンバーカードを用いるオンライン資格確認」と(2)の「被保険者証を用いるオンライン資格確認」とが併存し、マイナバーカードの普及状況をみると、しばらくは後者の比率が多そうです。この点、松原謙二委員(日本医師会副会長)は「例えば被保険者証に2次元バーコードを付し、医療機関窓口での被保険者番号入力の手間を省ける(入力ミスも防ぐ)ような工夫も行ってほしい」と要望しています。

さらに池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長、福井県医師会長)は「マイナンバーカードは紛失しないよう、持ち歩かない人が多いのではないか」と述べ、(1)の「マイナンバーカードを用いるオンライン資格確認」の普及に疑問を提示。この点、厚生労働省保険局医療介護連携政策課の山下護課長は「オンライン資格確認のシステムが画餅に帰さないよう、政府としてマイナンバーの普及啓発等も進めていく」考えを強調しています。

オンライン資格確認の仕組みを活用し、患者自身や薬剤情報等を把握できる環境を整備

厚労省は、オンライン資格確認を導入した成果を「国民にも還元する必要がある」と考え、2020年度後半から、自分自身の▼特定健診データ▼医療費情報▼薬剤情報—を閲覧可能とするサービスも開始します(総務省のマイナポータルを活用)。こうしたデータを活用して、自身の健康管理や生活習慣の見直しに結びつけることで、「健康の確保・疾病予防」→「QOLの向上」、さらには「医療費適正化」にもつながると期待されます。

こうした情報は「個人情報」であり、安易に第三者が取得・閲覧することは許されず、個人情報保護法では「患者本人の同意がある場合」や「法令の規定がある場合」などを除き、取得・閲覧を厳格に禁じています。

もっとも、例えば災害時には「マイナンバーカードなどを持たずに避難する」ケースなどもあり、その際には「迅速に、患者が従前から服用等していた薬剤の情報を把握し、処方・調剤する」ための仕組みを設けておくことが必要となります。

オンライン資格確認システムを活用した薬剤情報提供サービス(医療保険部会5 191225)



また、患者が転職などして別の医療保険に移ることがあります(A医療保険→B医療保険)。その際、B医療保険が「従前のA医療保険加入時に実施された特定健康診査のデータ」を活用した保健指導を円滑に行えるような仕組みも設けておくことが重要です。

オンライン資格確認システムを活用した特定健診データの保険者間引き継ぎ(医療保険部会6 191225)



山下医療介護連携政策課長は、実務者との協議も踏まえて次のような仕組みを設けてはどうか、との考えを提示しています。

▽災害時に閲覧の必要性・緊急性が高い場合には、特別措置として「災害の規模等に応じて、医療機関・薬局の範囲および期間を限定して、マイナンバーカードを紛失等した場合であっても別途患者の同意を取得した上で、医療機関等が薬剤情報の閲覧を可能とする」仕組みを設ける(支払基金で予めシステム対応を講ずることが必要)

▽マイナポータル等を通じて閲覧することができる薬剤情報(医科レセプト・歯科レセプト・調剤レセプト)は、医療機関が患者に情報を提供することとされている範囲(明細書の範囲と同様)とし、その仕組みを新たに省令に位置付け、情報提供する(医療機関、保険者の事務負担を軽減する)

▽被保険者の特定健診データ等が他の関係ない者に漏れないような措置を講じたうえで、オンライン資格確認を活用して特定健診データ等を保険者間で引き継ぐ場合には、一定の範囲で本人の個別同意は不要とする

この点、石上千博委員(日本労働組合総連合会副事務局長)からは「高齢者医療確保法では、特定健診データ等の引き継ぎに本人同意は不要としているが、下位法規では『念のための同意が必要』としている。個人情報保護の重要性や個人情報保護法の改正動向などに鑑みた慎重な検討が必要」との考えを示しています。

マイナンバーカードを用いたオンライン資格確認、別途の手数料負担をどう考える

こうしたオンライン資格確認を稼働させるためには、松原委員の指摘どおり初期費用・運用費用・メンテナンス費用など、さまざまなコストが発生します。山下医療介護連携政策課長は、2022年度において約39億円のコストがかかることを紹介しています。

さらに、マイナンバーカードを活用したオンライン資格確認においては、別途「地方公共団体情報システム機構(J-LIS)による電子証明書の有効性確認のための手数料」が発生します。現在、この手数料縮減に向けた検討が進められていますが、佐野委員や安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)、原勝則委員(国民健康保険中央会理事長)は「手数料を医療保険者の負担としてはならない」と強く厚労省に要請しています。マイナンバーカードを用いた場合に手数料負担が生じれば、保険者は「マイナンバーカードは利用せず、被保険者証を用いてオンライン資格確認を行ってほしい」と考え、マイナンバーカードの普及を大きく阻害すると考えられるためです。

オンライン資格確認に必要なコスト試算(医療保険部会7 191225)



このようにオンライン資格確認に反対する声はありませんが、個人情報の保護などに関してさまざまな意見が出ています。遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)は、厚労省に対し「意見を踏まえた制度構築を進める」よう要請しています。

 

 

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