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GemMed塾 ミニウェビナー DPC委員会のありかたとは?

オンライン資格確認等システム、「3月下旬の本格稼働」スケジュールに変更なし―社保審・医療保険部会(2)

2021.3.8.(月)

オンライン資格確認等システムについて、「3月下旬の本格稼働」スケジュールに変更はない。医療機関等側の準備やマイナンバーカードの被保険者利用推進などをさらに進めていく―。

3月4日に開催された社会保障審議会・医療保険部会で、厚生労働省保険局医療介護連携政策課の山下護課長は、こういった点を強調しています。

3月4日に開催された「第141回 社会保障審議会・医療保険部会」

世界的な半導体不足で、PC調達に遅れが出ているが・・・

繰り返しGem Medでお伝えしているとおり、今年(2021年)3月下旬から「オンライン資格確認等システム」が稼働します。

公的医療保険制度(健康保険制度)は、加入者(被保険者)が保険料を納め、病気やケガなどの保険事故に遭遇した際に、保険から給付(年齢や所得に応じて医療費の7-9割を給付、さらに高額療養費制度などによる手厚い給付も行われる)が行われる仕組みです。

医療保険に加入していない人にはこうした給付が行われません(全額自己負担となる)から、医療機関等の窓口で「患者がどの医療保険に加入しているのか」を被保険者証(保険証)で確認します(資格確認)。しかし、例えば「A社で働いていたサラリーマンが、退職後にも在職中の被保険者証(保険証)を返還せずに使用して診療を受ける」という事例が少なからず生じています(1か月当たり30万―40万件)。これは「自分が加入していない医療保険等に費用を負担させる」こととなり許されません(退職後は、別の医療保険(新たな勤め先の健康保険や、自営業や無職の場合には国民健康保険)に加入し、その医療保険を利用しなければならない)。

そこで、医療機関等を受診した際に、窓口で迅速かつ簡易に「当該患者が医療保険に適切に加入しているか」を確認できるオンライン資格確認等システムが導入されるのです。資格確認は例えば次のような流れで行われます。

▼患者が、健康保険被保険者証機能を持つ「マイナンバーカード」を医療機関等窓口のカードリーダーにかざす

▼医療機関等のパソコン端末から、オンラインで社会保険診療報酬支払基金(支払基金)・国民健康保険中央会(国保中央会)のデータに「当該患者がどの医療保険(健康保険組合や国民健康保険など)に加入しているのか」を照会し、回答を得る

オンライン資格確認における本人確認の仕組み(医療保険部会4 191225)

2021年3月からオンライン資格確認等システムが導入される(健康・医療・介護情報利活用検討会1 200615)



オンライン資格確認等システムが完全に稼働するためには、(1)すべての医療機関等においてカードリーダーシステムなどの環境整備を行う(2)すべての国民が健康保険被保険者証機能を持つマイナンバーカードを保有する―ことなどが必要ですが、(1)のカードリーダー申し込み状況を見ると「医療機関等全体の32.8%」にとどまり、(2)のマイナンバーカードの健康保険被保険者証利用申し込みは「マイナンバーカード保有者の8.2%」にとどまっています(今年(2021年)2月21日現在)。

(1)の体制整備が進まない背景には、▼システムベンダーの中には「不明瞭かつ高額な見積もり」を提示するケースがあり、医療機関が導入に二の足を踏んでいる▼世界的な半導体不足で資格確認用のパソコン調達に支障が出ている▼医療機関が「様子見」をしている―ことなどがあげられています。

オンライン資格確認等システムを導入する病院には、システム改修等の標準的費用の全額が、190-210万円程度を上限に補助される



オンライン資格確認の概要は上述のとおりで、「被保険者証利用を可能としたマイナンバーカード」を、いわば鍵として、医療機関のレセプトコンピュータシステムの中で「当該患者の医療保険加入履歴とカルテ番号とを突合する」イメージです。このため、最低限▼オンライン資格確認用のパソコン調達▼レセコンのシステム改修―が必要となりますが、システムベンダーの中には「不明瞭であり、高額(厚労省が補助する標準額を大きく上回る)な見積もり」を提示するケースが散見されています。このため、山下医療介護連携政策課長は「不明瞭かつ高額な見積もり」を提示するベンダーの情報を医療機関等か受け付け、厚労省が直接コンタクトをとり、「是正」や「適切な説明」を求めています(関連記事はこちらこちら)。

また、「初めての仕組み」であり、医療機関等の現場では「どういった仕組みで、どういった運用を行うのか。メリットはどこにあるのか」などの疑問が少なからずあります。そこで厚労省は、実際にオンライン資格確認等システムを導入し試行に参加している医療機関等の「導入事例」を動画で紹介するなどのPRにも取り組んでいます。山形県で地域医療連携に積極的に取り組み「日本海総合病院」(山形県酒田市)などの事例が紹介されています(関連記事はこちら)。

オンライン資格確認用のPC調達に支障が出ている状況などを踏まえ、また試行における課題抽出・対応策構築などをすべき点を踏まえ、「スケジュールを遅らせてはどうか」との意見も出ていますが、山下医療介護連携施策課長は「個別医療機関において導入予定が後ろ倒しになるケースはあるが、全体として『3月下旬に稼働する』スケジュールに変更はない。試行における課題抽出・対応策も進めており、スケジュールを見直さずに稼働できる状況にある」旨を確認しています。

関連して佐野雅宏委員(健康保険組合連合会副会長)は「3月下旬に稼働後、4月からも導入促進に向けた次の手を迅速に打ってほしい」と要望しています。



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