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新型コロナ対策 医療崩壊の真実

後期高齢者の窓口負担2割化、現役世代の「負担増抑制効果」の視点で見ると、最大でもわずか2%強にとどまる―社保審・医療保険部会(2)

2020.11.30.(月)

後期高齢者の窓口負担2割化を「所得上位44%」に導入した場合には、現役世代の保険料負担は2025年度に7万790円となり、導入しない場合(7万9700円)に比べて、保険料増を「1800円」抑制する効果がある—。

一方、窓口負担2割化を「所得上位20%」に導入した場合には、保険料増を抑制する効果は「600円」にとどまる―。

11月26日に開催された社会保障審議会・医療保険部会に、こういった試算結果が提示されました。

11月26日に開催された「第135回 社会保障審議会 医療保険部会」

窓口負担2割化をどの範囲で導入するべきかについて、医療保険部会の意見は割れている

Gem Medでお伝えしているとおり、「75歳以上の後期高齢者のうち、所得が一定以上の人については、医療機関等での窓口負担を現在の1割から2割に引き上げる」という議論が進んでいます。

75歳以上の後期高齢者の医療費は、制度上、▼公費:50%▼現役世代からの支援金:40%▼高齢者の保険料:10%―となっています。少子高齢化の進展により後期高齢者の医療費が増加する中で、現役世代に「支援金」負担が重くのしかかっているのです。

2022年度には、人口の大きなボリュームを占める団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になりはじめ、2025年度には全員が後期高齢者となることから、「後期高齢者の急増」→「後期高齢者医療費の急増」→「支援金負担の急騰」が生じます。厚生労働省の試算では、支援金の負担額は現役世代1人当たりでみると、2020年度には6万3100円ですが、2022年度には6万8100円(20年度に比べて5000円・7.9%増加)、2025年度には7万9700円(同1万6600円・26.3%増)に膨れ上がります(2割負担を導入しない場合)。

こうした現役世代の負担増を和らげるために、「後期高齢者の中でも、負担能力の高い、一定所得以上の人には2割の窓口負担をお願いし、世代間の負担の公平を図っていく」ことが重要となるのです。

この点、厚労省は11月19日の前回会合で、(1)後期高齢者の所得上位20%(約200万人)(2)上位25%(約285万人)(3)上位30%(約370万人)(4)上位38%(約520万人)(5)上位44%(約605万人)―について、窓口負担を2割とした場合に「実際に、どの程度の負担増となるのか」という試算結果を提示しました。高齢者の生活にどのような影響が出るのかをきちんと把握しておく必要があるためです。

後期高齢者の収益をいくつかに区切り、自己負担2割導入の対象範囲を探る際の基礎資料とする(医療保険部会(2)1 201119)



さらに今般、こうした2割負担を実施した場合に、「現役世代側の負担減はどの程度になるのか」という試算結果が厚労省保険局高齢者医療課の本後健課長から示されました。「窓口負担2割」を導入すべき最大の目的は「現役世代の負担増を緩和する」ところにあるため、負担減の状況(効果)も詳しく把握していく必要があるのです。

上述の(1)から(5)は、「後期高齢者への影響(負担増)」という面で見ると、(1)<(2)<(3)<(4)<(5)という順に「負担増の影響」が大きくなります。「現役世代への効果(負担減)」という面で見ても同様で、(1)<(2)<(3)<(4)<(5)という順に「負担減の効果」が大きくなります。

「現役世代の負担増をどの程度に抑えられるか」という【効果】と、「高齢者の負担がどう変化するか」という【影響】の双方を見て、バランスの取れた着地点を探る狙いがあると言えるでしょう。



後期高齢者支援金は「現役世代の保険料」に含まれており、負担減の効果は「保険料の上昇がどの程度、抑制されるか」で見ることができます。上述のとおり、窓口負担2割を導入しない場合には2022年度に「6万8100円の保険料」となるところ、(5)の「最も効果が大きな場合」には「1300円低い、6万6800円の保険料」に、(1)の「最も効果が小さな場合」には「400円低い、6万7,700円の保険料」になり、2025年度には(5)では「1800円低い、7万7900円の保険料」に、(1)では「600円低い、7万9100円の保険料」になる計算です。

後期高齢者の窓口負担2割化による「現役世代の負担増を抑制する効果」の試算結果(医療保険部会(2)1 201126)



(1)では、2022年度には保険料上昇が「2負担を導入しない場合に比べて0.6%」、2025年度には同じく「1.0%」抑えられることに、(5)では2022度に「2.1%」、2025年度に「2.9%」抑えられる格好です。

医療保険部会では「高齢者の厳しい生活を考慮し、可能な限り、窓口負担2割化は狭い範囲(例えば(1)の選択肢)とすべき」といった意見が出る一方、「現役世代にこれ以上に負担増を求めるべきではなく、より広い範囲での窓口負担2割化を実現すべき」との意見が出ており、議論は平行線をたどっています。

そうした中で菅原琢磨委員(法政大学経済学部教授負担増)は、「ここで改革を躊躇すれば、孫や子の世代に過重な負担を願いすることになる。『後期高齢者』『現役世代』の2軸で議論されがちだが、現在の『現役世代』もいずれ『後期高齢者』となり、将来、2割の窓口負担をすることになる。低所得者への配慮は必要だが、できるだけ広範囲に窓口負担2割を導入し、これまでの大盤振る舞いを現状に見合った仕組みへと修正していく第一歩とすべき」旨を強く訴えました。

最も効果の大きな(5)の選択肢であっても、2025年度に「7万9700円」に増加する保険料を、「7万7900円」に抑えることしかできず、その抑止効果は「2%強」と微々たるものです。また(1)の選択肢であれば、わずか「0.1%」程度の抑止効果にとどまります。さらに、サラリーマンであれば「会社負担」が加わっており、これを除外すると、その効果はさらに小さくなってしまいます。これでは「現役世代の負担増を抑制する」という趣旨にマッチした改革となるのか、という疑問すらわいてきます。

医療保険部会では、さらに詰めの議論を行いますが、意見の隔たりは大きく「集約」は難しいかもしれません。政府の全世代型社会保障検討会議で政治的に「着地点を探る」ことになりそうです(関連記事はこちら)。



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