オンライン資格確認等システムの本格稼働に向け、急ぎ「カードリーダーの機種選定」を―厚労省
2021.7.6.(火)
オンライン資格確認等システムについて、遅くとも10月には本格稼働することとなっており、7月からは集中導入が始まっている。この点、カードリーダーを2―3月に「機種未定」で申し込んだ医療機関・薬局の中に「6月中の機種選定(確定)」を行っていないところもあることから、機種選定(確定)の期間を「8月1日まで」に延長する―。
厚生労働省は6月30日に事務連絡「『オンライン資格確認』集中導入開始宣言に関する説明会開催及び顔認証付きカードリーダー『機種未定』申込の『機種選定』期間延期に関する 周知について(協力依頼)」を示し、こうした点への協力を求めています。
今年(2021年)4月以降の申し込みでも、システム経費等の「2分の1」を補助
Gem Medでお伝えしているとおり、遅くとも今年(2021年)10月までに「オンライン資格確認等システム」の本格運用が始まります。
例えば「企業に勤務していたサラリーマンが、退職後にも在職中の被保険者証(保険証)を返還せずに使用して診療を受ける」などの、不適切な保険医療機関受診事例が少なからず生じています(毎月、30-40万件程度)。
医療機関の窓口では「患者の持参する被保険者証(保険証)を確認する」ことが相当徹底されていますが、正確な資格確認(持参した保険証が有効なものかなどの確認)は「医療機関がレセプト請求を行い、審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金・国民健康保険団体連合会)で審査をする時点」でなされるため、受診時の資格確認徹底は困難なのです。上記の事例では、「元の企業が加入していた医療保険(健康保険組合など)に負担をお願いする」こととなり、「保険料を支払っていない人の医療費を、保険料を支払っている人で分担する」という由々しき事態となってしまうのです。
そこで、医療機関等を受診した時点で、窓口で迅速・簡易かつ正確に「当該患者が医療保険に適切に加入しているか」を確認できる【オンライン資格確認等システム】が導入されます。資格確認は例えば次のような流れで行われます。
▼患者が、健康保険被保険者証機能を持つ「マイナンバーカード」を医療機関等窓口のカードリーダーにかざす
↓
▼医療機関等のパソコン端末から、オンラインで社会保険診療報酬支払基金(支払基金)・国民健康保険中央会(国保中央会)のデータに「当該患者がどの医療保険(健康保険組合や国民健康保険など)に加入しているのか」を照会し、回答を得る
この点、当初は「今年(2021年)3月下旬からのオンライン資格確認等システムを本格導入する」予定でしたが、準備不足があったため、「今年(2021年)10月までの本格運用する」と一部スケジュール変更が行われました。
今般の事務連絡では、オンラインで詳細を説明する発表会を開催することとともに、「顔認証付きカードリーダーを「機種未定」で申し込んだ場合の「機種選定」期間について延長することが明らかにされました。
オンライン資格確認等システムでは、上記のとおり「顔認証付きカードリーダーシステム」を用いて本人確認を行います。この点、今年(2021年)2月から3月の間に「機種未定申し込み」を行った医療機関・薬局については、▼6月末までの機種を確定してもらう▼6月末までに機種確定がなされない場合には申し込みをキャンセル扱いとする―予定でした。しかし、一部の医療機関・薬局において、7月に入ってもなお「機種選定が行われている」ケースがあることが判明し、厚労省はやむを得ず「機種確定の期間をこの8月1日(2021年8月1日まで延長する)考えを示しました。機種確定が済んでいない医療機関・薬局は「7月にも機種確定を行う」ことが必要です。
●顔認証付きカードリーダーの申込手順書 〈申込内容を変更する〉
なお、4月1日以降に顔認証付きカードリーダーシステムを申し込む場合にも、従前の2分の1になりますが、下図のとおりの費用助成が行われています(3月までに申し込んだ場合には全額補助であったが、4月以降は2分の1補助となる)。
【関連記事】
7月からオンライン資格確認等の集中支援、関連して「資格過誤レセの自動修正」を10月から実施―社保審・医療保険部会(1)
オンライン資格確認等システムの本格運用延期、10月までプレ運用続けデータ精度向上等に努める―社保審・医療保険部会(1)
オンライン資格確認等システム、「3月下旬の本格稼働」スケジュールに変更なし―社保審・医療保険部会(2)
オンライン資格確認等システム、まず「国の補助の範囲内」で導入を進めてはどうか―日病・相澤会長
オンライン資格確認等、ベンダーからの「補助額を超える高額見積もり」がハードルに―四病協
オンライン資格確認等システムの円滑導入に向け、システムベンダー等は「納得感のある適切な見積もり」提示を―社保審・医療保険部会
患者データの全国医療機関・薬局での共有、機微性の高さ踏まえた慎重な制度設計・運用を—社保審・医療保険部会
全体で見れば、5月→6月→7月→8月と患者数・医療費は順調に回復―社保審・医療保険部会
紹介状なし患者の特別負担拡大、一定所得以上の後期高齢者の2割負担論議を確認―社保審・医療保険部会
紹介状なし外来受診患者の特別負担、対象病院の拡大・金額引き上げ等を了承―社保審・医療保険部会
後期高齢者の窓口負担2割化、現役世代の「負担増抑制効果」の視点で見ると、最大でもわずか2%強にとどまる―社保審・医療保険部会(2)
紹介状なし患者の特別負担拡大、「初・再診料相当額の保険給付からの控除」には医療提供サイドが反対―社保審・医療保険部会(1)
後期高齢者の窓口負担2割導入、「現在の自己負担が4500円-1万3500円の人」では緩和措置も―社保審・医療保険部会(2)
紹介状なし患者の初診料等相当を保険給付から控除、初診時の特別負担は7000円程度に増額へ―社保審・医療保険部会(1)
紹介状なし大病院受診患者への「定額負担」、後期高齢者の窓口負担などの議論続く―社保審・医療保険部会(2)
休日補正を行うと、コロナ禍でも5月→6月→7月と患者数・医療費は増加―社保審・医療保険部会(1)
広範囲の健診データを医療保険者に集約し、効果的な予防・健康づくりを可能とする法的枠組みを整備—社保審・医療保険部会
マイナンバーカードの保険証利用で、患者サイドにもメリット—社保審・医療保険部会(3)
不妊治療、安全性・有効性を確認し「できるだけ早期」に保険適用—社保審・医療保険部会(2)
新型コロナの影響で未就学児の医療機関受診が激減、受診日数はほぼ半減—社保審・医療保険部会(1)
オンライン資格確認で使用可能なカードリーダー、医療機関等が3機種から選択—社保審・医療保険部会
2021年からのオンライン資格確認等システム、支払基金サイトへ登録し情報収集を—社保審・医療保険部会
2021年からのオンライン資格確認、カードリーダー等端末は支払基金が一括購入し医療機関へ配付―社保審・医療保険部会
2021年3月からマイナンバーカードに「保険証機能」付与、既存保険証が使えなくなる訳ではない―社保審・医療保険部会
オンライン資格確認や支払基金支部廃止などを盛り込んだ健保法等改正案―医療保険部会
被保険者証に個人単位番号を付記し、2021年からオンラインでの医療保険資格確認を実施―医療保険部会
2020年度中に、医療保険のオンライン資格確認を本格運用開始―社保審・医療保険部会
医療機関等で患者の薬剤・診療情報を確認できる仕組み、電子カルテ標準化に向けた方針を固める―健康・医療・介護情報利活用検討会
電子カルテの標準化、全国の医療機関で患者情報を確認可能とする仕組みの議論続く―健康・医療・介護情報利活用検討会
「健康・医療・介護情報共有方針」固まる、全国の医療機関等で薬剤・手術等の情報共有可能に―健康・医療・介護情報利活用検討会
「レセ情報とレセ以外情報」をセットで格納・共有し、効果的かつ効率的な医療提供の実現を―健康・医療・介護情報利活用検討会
全国の医療機関間で、患者の「薬剤情報」「手術情報」など共有できれば、救急はじめ診療現場で極めて有用―医療等情報利活用ワーキング
電子カルテ標準化や国民への健康情報提供(PHR)など一体的に議論し、夏までに工程表まとめる―健康・医療・介護情報利活用検討会
電子カルテの標準化、まず「電子カルテの将来像」固め、それを医療情報化支援基金の補助要件に落とし込む―医療情報連携基盤検討会
2019年度予算案を閣議決定、医師働き方改革・地域医療構想・電子カルテ標準化などの経費を計上
異なるベンダー間の電子カルテデータ連結システムなどの導入経費を補助―厚労省・財務省