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新型コロナ対策 症例Scope

医療計画に感染症対策位置付け、感染症予防計画と組み合わせ『漏れ』なき対応を―医療計画見直し検討会(2)

2020.12.7.(月)

新興感染症対策を医療計画の中に位置付け、感染症患者への医療提供はもちろん、それ以外の傷病患者への医療計画確保について、地域で検討し、対応方針を記載しておく。予防計画と重複して「漏れ」の内容に感染対策を行う—。

12月3日に開催された「医療計画の見直し等に関する検討会」(以下、検討会)では、こういった議論も行われました。下部組織である「地域医療構想に関するワーキンググループ」の検討内容も踏まえて、さらに議論が続けられます。

12月3日に開催された「第24回 医療計画の見直し等に関する検討会」

医療計画の6事業目に「新興感染症対策」を位置付ける

Gem Medでお伝えしているとおり、検討会では、(1)外来機能報告制度(2)新興感染症の医療計画への位置づけ―の2点について議論が行われています。(1)の外来機能報告制度については大枠が了承されたことを既にお伝えしており、本稿では(2)に焦点を合わせます。

猛威を振るう新型コロナウイルス感染症に対処する中で、▼医療機関間の役割分担・連携体制の構築が不十分である▼感染防護具や医療用物資の確保・備蓄▼局所的な病床数不足(感染症病床を超えて、一般病床での対応も必要となった)がある▼特定の診療科における医師不足、看護師等の不足がある―などの医療提供体制上の課題・問題点が浮き彫りとなりました。11月からのいわゆる第3波においても、こうした課題が解消されていません。

今後も新たな感染症(新興・再興感染症)が生じる可能性があり、これらの課題解消を急ぐ必要があります。

厚生科学審議会・感染症部会による「医療計画の中に新興感染症対策を明確に位置付けるべき」との意見を受け、記載内容などの詳細を「医療計画の見直し等に関する検討会」で議論しており、これまでに次のような方向が固まってきています(関連記事はこちらこちら)。

(1)新興感染症対策を医療計画の中に明確に位置付け、「5事業」を「6事業」とする

(2)医療計画には、【平時からの取組】と【感染拡大時の取り組み】とを分けて記載しておく。感染症部会等の議論も踏まえて「数値目標」などの具体化に向けた検討を行う

(3)「新興感染症等の感染拡大時における医療」について、他の5疾病・5事業及び在宅医療と同様に、各都道府県に対し「感染症対応に係る医療資源の状況など、地域の実情に応じた計画の策定と具体的な取り組みを促す」こととする



まず(1)については、▼発生時期、感染力、病原性などを事前に予測することが困難である▼発生後に速やかに対応できるよう予め準備を進めておくことが重要である―という点が、すでに5事業の1つに位置付けられている「災害医療」と類似していることを踏まえ、新興感染症対策を「6事業」目に位置付けてはどうか、と厚労省は考えています。

ただし、災害医療は「局地的」であり、他地域からの応援(DMATなど)が行えるのに対し、新興感染症は、ごく初期であれば別として、全国的に拡大した場合にはこうした対応が行えない、という点に留意する必要があるでしょう。もっとも、「他地域の応援を行える余裕がない」状況に陥らないよう、「ごく初期の段階」に他地域からの応援も含めて強力な「封じ込め」対応を行う必要が出てくるとも考えられます。



また(2)の記載事項に関しては、これまでの議論を踏まえて、下図表のような案が提示されています。

平時の取り組み例(医療計画見直し検討会(2)1 201203)

感染拡大時の取り組み例(医療計画見直し検討会(2)2 201203)



この点、構成員からは「ファーストアクセスはかかりつけ医になるであろう。かかりつけ医と病院(とりわけ重症患者等を受け入れる病院など)との連携についても記載すべき」(幸野庄司構成員:健康保険組合連合会理事)、「感染症患者に対応する人材の確保が何よりも重要である。ただし都道府県が人材養成の責任を負うわけではなく、都道府県内の人材を把握して、適切に配置することが役割である旨を明確にすべき」(今村聡構成員:日本医師会副会長)、「新興感染症の感染力や毒性によって、対策も変わってくる点を十分考えなければならない」(今村知明構成員:奈良県立医科大学教授)など様々な意見が出ています。

また日本病院会では、この問題について集中討議を行っており、岡留健一郎構成員(日本病院会副会長)からその概略が報告されました。▼人材の確保がとりわけ重要であり、平時からの教育・研修が必要である▼医療機関間、診療科間の連携が重要となる▼都道府県のガバナンス体制を明確にする必要がある▼平時には稼働させず、感染拡大時に稼働させる「予備ベッド」などを考える必要がある—などの意見が出されています。詳細を考える際に、非常に重要な資料となるでしょう。

なお、新興感染症発生「当初」には、「かかりつけ医」に大きな役割を期待することは困難でしょう。発生当初は、感染力や毒性が明らかでないことから、「どのような防御対策をとればよいのか」が明確でありません。そうした中で、一般クリニック等に感染患者が多く来院すれば、感染拡大を招く可能性もあります。そうした点をも考慮した「かかりつけ医と病院との連携」方策が明示されることになると思われます。



ところで感染症対策については、すでに感染症法で対策方針等が規定されており、厚生労働大臣が対策の「基本方針」を示し(法第9条第1項)、各都道府県がこれを踏まえて「予防計画」を作成する(法第10条第1項)ことになっています。

感染症法において、厚生労働大臣は感染症対策の基本指針を定め、それに沿って都道府県が予防計画を定めることとなっている(医療計画見直し検討会 201001)



この「予防計画」と、新たに位置付けられる「医療計画」との関係について、厚労省は「予防計画では『主に感染者へどう対応するか』を、医療計画では『感染者以外への対処も含めてどう対応するか』を記載することになるなど、視点がやや異なる。『漏れ』のないように、両計画で一定程度の重複をしながら新興感染症に対応することとなる」との考えを示しています。



なお、地域医療構想ワーキングでは、▼感染症蔓延によっても人口構造は大きく変わらず、中長期的な「疾病構造の変化」傾向も変わらないため、地域医療構想については考え方(例えば病床の必要量など)は維持し、実現に向けた動きを加速させていく▼新興感染症による一時的な医療ニーズの急増に対しては、医療計画の中に「感染拡大時の対応」を明確化して対処する(一般病床による感染症患者受け入れや、臨時増床など)―方針が固められつつあります(異論もまだ出ている)。この議論経過も盛り込んで意見をとりまとめ、近く、社会保障審議会・医療部会での議論に供することになります(関連記事はこちらこちら)。

新型コロナウイルス感染症患者の対応体制イメージ(地域医療構想ワーキング 201105)



ぽんすけ2020MW_GHC_logo

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