2021年度の病床機能報告より、「前年度1年分の診療実績」を月別・病棟別に報告―厚労省
2021.4.16.(金)
今年度(2021年度)の病床機能報告から、診療実績データについて「前年度1年分」を「月別」「病棟別」に報告することを求める。その際、医療機関の負担に配慮する―。
厚生労働省は4月13日に通知「令和3年度以降の病床機能報告における入院診療実績の報告内容について」を示し、こうした点を明らかにしました。
季節変動等を考慮し、2021年度から「通年データ」の報告を義務化
Gem Medでお伝えしているとおり、今年度(2021年度)の病床機能報告から「毎月分のデータを1年度分報告する」こととなります。
病床機能報告は、毎年度、一般病床・療養病床を持つすべての病院・有床診療所に対し「自院の機能」(診療実績や各病棟の機能など)を都道府県に報告することを義務付けるものです。報告結果をもとに、各地域医療構想調整会議で地域医療関係者が膝をつき合わせた「病院・病床の機能分化」議論を行い、地域医療構想の実現を目指します。
このうち診療実績については、これまで「6月分の単月データ」提出が求められていましたが、「季節変動の状況」(例えば例年であれば、冬季にはインフルエンザが流行し、医療ニーズが高まるなど)を把握できないことから、2021年度から「毎月分のデータを1年度分報告する」ことが「地域医療構想に関するワーキンググループ」(ワーキング)で決まりました。
ワーキングでは、あわせて他の「病床機能報告の改善」策も固めており、今般の通知でこれらが明示されたものです。2021年度の病床機能報告では、従前に比べて次のような見直しが行われます。
▽2021年度以降、「前年度(4―3月)の1年分データ」を「月別」かつ「病棟別」に報告する。その際、次のような負担軽減等を行う
▼公費負担医療制度で請求された電子レセプト情報分を含めた上で報告する。病床機能報告制度の入力画面等で当該公費負担医療データを報告様式に自動表示できる仕組みとする
▼「電子レセプトに病棟コードをあらかじめ記録していない医療機関」では、当面の間「病棟別に振り分けて報告する」ことで良しとする。病院全体の診療実績を「特定の病棟の診療実績」として報告しても良い。
▼「紙媒体で報告している医療機関」では、「月別」でなく「年間合計数」のみの報告で良しとする。ただし、2023年度を目途に「電子報告」を原則として、紙媒体報告は「やむを得ない事情のある場合に限る」こととなる点に留意(電子報告への移行に努めるべきである)
▽「新規入院患者数」(予定・予定外)、「救急車の受け入れ件数」などについて、任意で「月別の報告」を求める(従前どおり「年間合計数」でも良い)
▽引き続き「全診療月の入院電子レセプトに病棟コードを記録する」ことを推進する(2022年度以降のレセプト請求では「確実に病棟コードが記録される」方策を検討する)
なお、2021年度以降の報告スケジュールや報告マニュアル等については別途示されます。
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