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新型コロナ対策 症例Scope

人口100万人以上の大規模構想区域、まず各調整会議で「個々の病院の機能の在り方」議論を進めよ―地域医療構想ワーキング(1)

2021.2.12.(金)

人口100万人以上の地域医療構想調整区域では、医療ニーズも増加していき、近接する病院も多いために、「類似の機能を持つ病院が近接している公立・公的病院」を抽出し、機能の再検証を求める、という方策をとれない。まず、診療データをもとに各地域医療構想調整会議で「個別病院の機能の在り方」などについて議論を進めることとしてはどうか―。

2月12日に開催された「地域医療構想に関するワーキンググループ」(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)で、こういった方針が固められました。

厚生労働省は近く関係通知・事務連絡等を示し、こうした考え方を広く周知します。ただし、大都市ゆえに病院数も多く、地域医療構想調整会議の参加メンバーも多くなります。どのように「実質的な膝をつき合わせた議論」を確保するかが今後の重要論点となるでしょう。

人口100万人以上の構想区域、一律基準で再検証対象病院等を抽出せず、まず各調整会議で議論を

2025年度には、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者に達するため、今後、急速に医療ニーズが増加していくと予想されます(新型コロナウイルス感染症の影響により受診控えや予定入院・予定手術の延期がなされているが、これは一時的なものである)。このため従来型の医療提供体制(例えば、病院完結型の医療)では、増大し、複雑化する医療ニーズに的確かつ効率的に応えることが難しくなるため、各地域において「2025年度の医療ニーズ」を踏まえた「地域医療構想の実現」が求められています。

地域医療構想の実現に向けては、まず「地域の公立病院・公的病院等の機能改革等」を確定し、進めることが重要です。多くの地域では公立病院・公的病院等が地域の基幹的な役割を果たしているためです(基軸の在り方を明確にしなければ、全体像を描けない)。そこで、各地域医療構想調整会議(以下、調整会議)において、「地域の公立病院・公的病院等の機能改革等」(公立病院・公的病院等でなければ担えない機能への特化)に関する合意を得ることになっており、2018年度末時点で、それはほぼ完了しました。

ただし「形だけの機能改革論議や現状追認にとどまっているケースがある」とも指摘され、ワーキングでは、急性期医療に関する診療実績データ(病床機能報告データ)を詳細に分析し、次のような(A)診療実績が特に少ない(B)類似の機能を持つ病院が近接している―の2指標に該当する公立・公的病院を抽出。これらの公立・公的病院について「役割は適切か」(民間で代替可能なのではないか)、「病床規模は適切か」(病床過剰なのではないか)などを再検証することを求めました(【再検証要請対象医療機関】と呼ぶ、関連記事はこちらこちら)。

(A)診療実績が特に少ない公立・公的病院等
▼がん▼心疾患▼脳卒中▼救急▼小児▼周産期▼災害▼へき地▼研修・派遣機能―の9領域すべてで、地域における診療実績が下位3分の1の病院

(B)類似の機能を持つ病院が近接している公立・公的病院
自動車で20分以内の距離に、▼がん▼心疾患▼脳卒中▼救急▼小児▼周産期―の6領域すべてで、「診療実績が類似する病院」がある病院



このうち(B)指標については「人口100万人未満の地域医療構想区域に所在する病院」が対象となり、「人口100万人以上の地域医療構想区域に所在する病院については、別途、再検証方針等を定める」こととなっていました(後述のとおり、(A)指標については、人口100万人以上の地域医療構想区域に所在する病院も含めて、再検証対象病院を抽出している)。

人口100万人未満の、いわば中小規模地域では、「人口減→医療ニーズ減」が生じ「急性期機能が過剰になる」ケースが多く、複数の急性期病院が近接する場合には「共倒れ」となる可能性があるため、「当該機能を近接する病院に移譲する」などの機能分化論議を行う必要があります。

これに対し、人口100万人以上の、いわば大都市では、必然的に患者数も多くなり、医療ニーズも複雑であるため「数多くの病院が近接する」「今後も人口が増加する(医療ニーズが高まる)」ために、人口100万人未満の地域とは「異なる考え方」が必要となるのです。



2月12日のワーキングには、厚労省が「人口規模」区分ごとの、医療提供体制の状況を分析。その結果、次のように、人口100万人以上の構想区域では「数多くの病院が近接する」「今後も人口が増加する」などの点が再確認されました。

▽人口100万人以上の構想区域では、99%の病院について「同一構想区域内に車で20分以内の距離に別の病院が存在」し、半数の病院では「車で20分以内の距離に10施設を超える別の病院が存在」する

人口100万人以上の構想区域に所在する病院では、99%が「車で20分以内の圏域に他病院が存在」している(地域医療構想ワーキング(1)2 210212)

人口100万人以上の構想区域に所在する病院では、半数が「車で20分以内の圏域に10施設を超える他病院が存在」している(地域医療構想ワーキング(1)3 210212)



▽人口100万人以上の構想区域では、過半数が「2025年度まで人口増加」が続き、約3分の1が「2040年度まで人口増加」が続く

人口100万人以上の構想区域では、過半数が2025年度まで人口が増加し続ける(地域医療構想ワーキング(1)4 210212)

人口100万人以上の構想区域では、3分の1が2040年度まで人口が増加し続ける(地域医療構想ワーキング(1)5 210212)



また、人口100万人以上の構想区域は、わずか25区域にとどまりますが、▼病院数が他区域の2倍である▼民間病院が多い―などの特徴があります。

人口100万人以上の構想区域では、他地域と比べて医療提供体制が異なる(病院数が多い)(地域医療構想ワーキング(1)1 210212)



こうした状況を踏まえると、人口100万人以上の構想区域について、「人口100万人未満の構想区域と同じように考えることはできない」(上述の(B)指標をもって再検証対象病院等を抽出することはできない)、「25の区域に一律の基準を当てはめて、再検証対象病院等を抽出することはできない」と考えられます。ワーキングでも、今村知明構成員(奈良県立医科大学教授)から、こうした指摘がなされています。

このためワーキングでは、「何らかの基準で再検証対象病院等を抽出する」のではなく、「各地域医療構想会議において、各種のデータ(▼自院の診療実績▼周辺医療機関の診療実績▼医療需要の推移―など)を踏まえて、自らが担うべき役割・医療機能など各々の具体的対応方針の妥当性を確認し、改めて機能分化等に向けた議論をする」よう求める方針を固めました。

例えば、今後も人口が維持されると見られるX構想区域では、急性期を担うα病院・β病院・γ病院のそれぞれについて「機能、病床規模の維持が妥当」と判断されるかもしれません。また、今後、さらに人口が増加すると考えられるY構想区域では、急性期を担うa病院・b病院・c病院だけで、今後の医療ニーズに応えることが難しく、「各病院について増床や急性期機能の増加」、さらには「新病院の設立」などが必要になってくるかもしれません。各構想区域で、実情踏まえた議論を行い、それぞれで妥当な結論を導くことが求められます。

大都市では病院も関係者も多く、どのように「膝をつき合わせた議論」確保するか

ところで、人口100万人以上である25の構想区域では、1つの構想区域の中に平均で77.7施設の病院が所在しています(公立病院:3.8施設、公的病院等:6.7施設、民間病院:67.2施設)。各病院から院長などの管理者が「1人」のみ参加したとしても、それだけで80名近くなり、ここに医師会の関係者や保険者・住民代表などが参画すると、1つの地域医療構想調整会議で100名を超える関係者が集うことになるでしょう。この大人数で「膝をつき合わせた協議」を行うことは困難です。

人口100万人以上の構想区域では、他地域と比べて医療提供体制が異なる(病院数が多い)(地域医療構想ワーキング(1)1 210212)



このため猪口雄二構成員(日本医師会副会長)は「1つの構想区域を小分けして、実質的な話し合い(膝をつき合わせた話し合い)ができるようにする必要があるのではないか」と提案しました。地域医療構想区域と2次医療圏とは、多くがオバーラップしており、「2次医療圏の見直しにもつながる論点」であると猪口構成員はコメントしています。もっとも伊藤伸一構成員(日本医療法人協会会長代行)は「人口100万人以上の大都市では交通の便もよい」点を考慮すべきと指摘しています。大都市では、公共交通機関を利用することで遠方の病院に迅速かつ安価に通えるため、「小分けした地域内で、医療提供体制が完結する」わけではありません。

猪口構成員の提案にも、伊藤構成員の提案にも頷ける部分があり、「人口100万人以上の構想区域において、どのように実質的な、ひざを突き合わせた議論を確保するか」が、今後の重要論点の1つになりそうです。

人口100万人以上の構想区域でも、30病院程度が「急性期の診療実績が著しく乏しい」

なお、人口100万人以上の構想区域(25区域)のうち、およそ10区域・30病院程度が、上述の(A)指標によって「再検証対象病院等」に抽出されています。つまり、大都市にも「急性期の診療実績が極めて少ない」公立・公的等の病院が存在するのです。

これら病院については「回復期や慢性期などへの機能転換」や「病床削減」、さらに「他病院との合併」などを検討していくことになりますが、伊藤構成員は「回復期・慢性期機能は民間優先と考えるべき」と強調しています。



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