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GemMed塾 ミニウェビナー DPC委員会のありかたとは?

地域枠医師などサポートするキャリア形成プログラム、現場ニーズを意識した作成・運用進む—地域医療構想・医師確保計画WG(2)

2022.5.13.(金)

地域枠医師などのキャリア形成をサポートする各都道府県の「キャリア形成プログラム」について、医学部生などの「現場ニーズ」を意識した作成・運用が進んできている—。

5月11日に開催された「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」(「第8次医療計画等に関する検討会」の下部組織、以下、地域医療構想・医師確保計画WG)には、こうしたデータも示されています(関連記事はこちら)。

5月11日に開催された「第4回 地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」

プログラム適用者の82%は「都道府県から就学資金貸与を受ける地域枠医師」

医療提供体制改革に関しては、▼地域医療構想の実現▼医師偏在の解消▼医師働き方改革の推進—の3施策を一体として実現することが求められます(いわゆる三位一体改革)。

医師偏在対策に関しては、Gem Medでも報じているとおり「都道府県が医師確保計画に基づき、2036年度までに医師偏在を解消する」方針が固められ、順次、実行に移されています(関連記事はこちらこちら)。

医師確保計画では「医師多数区域から医師少数区域への医師移動」を段階的に強力に進めることを目指し、「●年までに●名の医師確保を行う」という目標を設定するとともに、「どのように医師を確保していくのか」に関する具体的な施策を記載することが求められています。

具体的な施策としては、(1)大学と都道府県が連携した地域枠の設定(2)地域医療対策協議会・地域医療支援センターによる医師派遣推進(3)キャリア形成プログラムの拡充(4)認定医師制度(医師少数区域等での勤務経験を厚生労働大臣が認定する)の活用—などがあげられます。

このうちキャリア形成プログラムは、「医師不足地域の医師確保」と「派遣される医師の能 力開発・向上」の両立を目的としたプログラムです。若手医師には「医師が不足する地域での勤務では、十分な症例経験を積めず、医師としてのキャリア形成が不利になるのではないか」などの不安があります。これを払拭できるように、各都道府県において「医師不足である我が県ではあるが、『●●コースを設けており専門医資格取得に問題なし』『〇〇コースを用意しており学位も取得可』『◆◆コースでは海外留学も可能』などのサポートを行っており、医師として十分なキャリアを積めます。是非、我が県で医師として従事してください」というPRを行うツールの1つとしてキャリア形成プログラムがあります。

キャリア形成プログラムの概要(地域医療構想・医師確保計画WG2 220511)

キャリア形成プログラムイメージ(地域医療構想・医師確保計画WG2(5) 220511)



このキャリア形成プログラムの作成状況について、これまでの調査では▼一部の都道府県では、キャリア形成プログラムが1コースしかない(多様なニーズに応えることが困難)▼どのような専門医資格を取得できるかを明示していないコースが一部にある▼専門医の研修プログラムと整合的でないケースがある—などの課題も浮上していました。

こうした問題を放置すれば、地域における医師確保が困難になるため、厚労省は「2020年末時点のキャリア形成プログラムの状況」を改めて調査。そこから次のような状況が明らかとなりました。

▽キャリア形成プログラム適用対象者は、仕組み上▼都道府県が修学資金を貸与した地域枠医師▼市町村、大学等が修学資金を貸与した地域枠医師▼修学資金が貸与されていない地域枠医師▼自治医科大学を卒業した医師▼その他キャリア形成プログラムの適用を希望する医師—とされているが、82%は「都道府県が修学資金を貸与した地域枠医師」であり、適用医師総数は増加傾向である

キャリア形成プログラム調査1(地域医療構想・医師確保計画WG2(1) 220511)



▽医師の多様なニーズに対応できるよう、仕組み上「診療科や就業先となる医療機関等の種別ごとに複数のコースを設ける」こととされているが、2自治体では複数コースを設けていない。しかし、これら自治体でも「個人の事情や希望に応じて、個人毎にコースを作成」しており、実態としては「全県において複数のコースによる対応」がなされている

キャリア形成プログラム調査2(地域医療構想・医師確保計画WG2(2) 220511)



▽仕組み上、「特定の診療科での就業が修学資金の貸与要件となっている場合には、当該診療科のコースを必ず設定する」こととされており、36%の自治体でこのコースを設定しており、その内訳は▼救急科:12▼小児科:14▼産科:15▼総合診療科:10▼その他(内科・外科・麻酔科など):13—である

キャリア形成プログラム調査3(地域医療構想・医師確保計画WG2(3) 220511)



▽仕組み上、キャリア形成プログラムの既存のコース内容変更、新コース設定などを行う場合には、都道府県は「対象医師や学生(将来の対象者候補)の意見を聴取する」こととなっており、全県で「意見聴取」がなされている(面談、文書、メールなど)

キャリア形成プログラム調査4(地域医療構想・医師確保計画WG2(4) 220511)



今般の調査結果を眺めると、上述の「問題」「課題」は相当程度解消しており、また各都道府県が「現場医師のニーズを踏まえたプログラム作成・運用」を意識していることが伺えます。

プログラムがさらに「魅力的」なものとなることで、医師を目指す高等学校生や医学生が「地域枠を活用して、医師免許取得後も地域医療に従事しよう」と考えるようになっていくことが期待されます。上述のとおり、キャリア形成プログラム適用者の多くは「都道府県から就学支援金貸与を受けている地域枠医師」ですが、他の医師もキャリア形成プログラムの適用を受けることが可能で、「さらなるプログラムの活用」→「地域医療従事医師の増加」につながることに期待が集まります。



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