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外来診療 経営改善のポイント 看護必要度シミュレーションリリース

「オンライン手術支援」の医学的有用性確認、外科医偏在問題の解消に新たな糸口―国がん

2021.11.10.(水)

8K映像システムで手術映像をリアルタイムに送受信し、遠隔で手術を支援(指導)するシステムを開発し、世界初の実証実験で医学的有用性を確認した―。

国立がん研究センターが11月2日に、こうした研究結果を公表しました(国がんのサイトはこちら)。遠隔操作による手術そのものの技術開発も進んでおり、後述するように「医師偏在状態の改善・解消」に向けた新たな糸口になると言えます。

高精細映像を高速度伝送し、リアルタイムで専門医が遠隔地の執刀医を支援・指導

オンライン診療の1形態として、いわゆる「D to P with D」があります。例えば、指定難病などの患者が、身近なかかりつけ医などの対面診療を受け、その対面診療を行う診療室と遠隔地の専門医とをオンラインで結ぶことにより、専門的な診断・治療を身近な医療機関で受けられるような形態が考えられます(2020年度の診療報酬改定で、この形態のオンライン診療が【遠隔連携診療料】として評価されている)。

2020年度診療報酬改定では「D to P with D」を評価する遠隔連携診療料が創設された



こうした「D to P with D」の1形態として「手術の超高精細映像をリアルタイムに送受信し、専門医が遠隔地にいながら、執刀医を支援(指導)するシステム」を国がんとNHKエンジニアリングシステム等とで共同開発。今般、その実証実験(動物に対する腹腔鏡下直腸切除術の実験)が行われ医学的有用性が確認されました。

具体的には、人間の網膜にも迫る「8Kスーパーハイビジョン技術」(従来のハイビジョンの16場合に当たる3300万画素の高精細映像)を用いた新たな内視鏡(硬性鏡)を使用した手術をA病院(今回の実験では千葉県)で実施。その手術映像を、腹腔鏡手術に関する高度スキルを持つ医師(サポート医師)が所在する遠隔地の病院(今回の実験では京都府)に伝送し、サポート医師が執刀医に対しリアルタイムで「ここ」「そこ」などのコミュニケーションをとりながら支援する仕組みです。映像データは、光ファイバーや5G等のブロードバンド回線を用いて低遅延で伝送されてライブ配信されました。

遠隔手術支援システム(実験)の概要



執刀には外科医3名が携わり、「遠隔支援がある場合」と「遠隔支援がない場合」とで、腹腔鏡手術技術の改善度を評価。

その結果、▼遠隔支援によって執刀医の腹腔鏡技術が向上し手術時間が短縮できた(手術の質が向上した)▼映像伝送による遅延は600ミリ秒で、別に設定された基準遅延時間「1.3秒以下」を満足することができた(映像伝送の遅延は最小限に抑えられた)―ことなどの成果を確認できました。

今後、さらに「遠隔支援の下で、執刀医を3名から2名に減らした場合の手術完遂度」なども評価。より少ない執刀医で腹腔鏡下直腸切除術を実施できるかどうかを確認するとともに、医療経済的な観点での評価も行い、「近い将来の社会実装」に向けた検討が具体的に進められます。



地方においては医師、とりわけ「外科医師」の不足(いわゆる医師偏在)が問題となっています。遠隔手術支援システムが全国に普及すれば、「地方の外科医が少ない病院においても、専門医の遠隔支援を受けて、適切に難易度の高い手術を行える」環境が整うことが期待されます。医師不足・医師偏在の解消を、ICT技術で解決できる新たな糸口が明確に見えてきたと言えるでしょう。かかりつけ医機能を持つクリニックが行うオンライン診療とは異なる「高機能な病院が目指すべきオンライン診療」の一方向と考えられます。

遠隔手術支援により、執刀医を遠隔地の専門医がリアルタイムでサポートする

既存技術と新技術(遠隔手術支援)との比較



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