多くの糖尿病治療薬で「外陰部・会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)」、画期的な抗がん剤オプジーボで「下垂体機能障害」の重大な副作用―厚労省
2019.5.10.(金)
多くの糖尿病治療薬について、新たに「外陰部および会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)」の、また画期的な抗がん剤であるニボルマブ製剤(オプジーボ)について、新たに「下垂体機能障害」の重大な副作用が判明した―。
厚生労働省は5月9日に通知「『使用上の注意』の改訂について」を発出し、こうした情報提供を行いました(厚労省のサイトはこちら)。
今般、新たに重大な副作用などが判明したのは次の12医薬品です。多くの糖尿病治療薬、さらに画期的な抗がん剤などについて、新たな重大な副作用が判明しています。薬剤部から院内各部門へ、さらに調剤薬局から処方元医療機関等へ十分な情報提供を行うとともに、処方医への積極的な疑義照会を行うことも重要となります。
厚労省は製薬メーカーに対して速やかに「使用上の注意」を改訂するよう指示しました。
(1)糖尿病治療薬の「デュラグルチド(遺伝子組換え)」(販売名:トルリシティ皮下注0.75mgアテオス)
▽新たな【重大な副作用】:「重度の下痢」「嘔吐」(脱水を続発し急性腎障害に至った例あり)
(2)糖尿病治療薬の「イプラグリフロジンL-プロリン」(販売名:スーグラ錠25mg、同50mg)、「トホグリフロジン水和物」(販売名:アプルウェイ錠20mg、デベルザ錠20mg)
▽【重要な基本的注意】の項において、従前からの「尿路感染を起こし、腎盂腎炎、敗血症などの重篤な感染症に至ることがある」旨に加え、新たに「性器感染を起こし、外陰部および会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)などの重篤な感染症に至ることがある」旨の記載を追加する(膣カンジダ症等の記載は削除)
▽新たな【重大な副作用】:「外陰部および会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)」
(3)糖尿病治療薬の「エンパグリフロジン」(販売名:ジャディアンス錠10mg、同25mg)
▽【重要な基本的注意】の項において、従前からの「尿路感染を起こし、腎盂腎炎、敗血症などの重篤な感染症に至ることがある」旨に加え、新たに「性器感染を起こし、外陰部および会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)などの重篤な感染症に至ることがある」旨の記載を追加する(膣カンジダ症等の記載は削除)
▽新たな【重大な副作用】:「外陰部および会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)」
(4)糖尿病治療薬の「エンパグリフロジン・リナグリプチン」(販売名:トラディアンス配合錠AP、同BP)
▽【重要な基本的注意】の項において、従前からの「尿路感染を起こし、腎盂腎炎、敗血症などの重篤な感染症に至ることがある」旨に加え、新たに「性器感染を起こし、外陰部および会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)などの重篤な感染症に至ることがある」旨の記載を追加する(膣カンジダ症等の記載は削除)
▽新たな【重大な副作用】:「外陰部および会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)」
(5)糖尿病治療薬の「カナグリフロジン水和物」(販売名:カナグル錠100mg)
▽【重要な基本的注意】の項において、従前からの「尿路感染を起こし、腎盂腎炎、敗血症などの重篤な感染症に至ることがある」旨に加え、新たに「性器感染を起こし、外陰部および会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)などの重篤な感染症に至ることがある」旨の記載を追加する(膣カンジダ症等の記載は削除)
▽新たな【重大な副作用】:「外陰部および会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)」
(6)糖尿病治療薬の「シタグリプチンリン酸塩水和物・イプラグリフロジンL-プロリン」(販売名:スージャヌ配合錠)
▽【重要な基本的注意】の項において、従前からの「尿路感染を起こし、腎盂腎炎、敗血症などの重篤な感染症に至ることがある」旨に加え、新たに「性器感染を起こし、外陰部および会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)などの重篤な感染症に至ることがある」旨の記載を追加する(膣カンジダ症等の記載は削除)
▽新たな【重大な副作用】:「外陰部および会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)」
(7)糖尿病治療薬の「ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物」(販売名:フォシーガ錠5mg、同10mg)
▽【重要な基本的注意】の項において、従前からの「尿路感染を起こし、腎盂腎炎、敗血症などの重篤な感染症に至ることがある」旨に加え、新たに「性器感染を起こし、外陰部および会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)などの重篤な感染症に至ることがある」旨の記載を追加する(膣カンジダ症等の記載は削除)
▽新たな【重大な副作用】:「外陰部および会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)」
(8)糖尿病治療薬の「テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物・カナグリフロジン水和物」(販売名:カナリア配合錠)
▽【重要な基本的注意】の項において、従前からの「尿路感染を起こし、腎盂腎炎、敗血症などの重篤な感染症に至ることがある」旨に加え、新たに「性器感染を起こし、外陰部および会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)などの重篤な感染症に至ることがある」旨の記載を追加する(膣カンジダ症等の記載は削除)
▽新たな【重大な副作用】:「外陰部および会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)」
(9)糖尿病治療薬の「ルセオグリフロジン水和物」(販売名:ルセフィ錠2.5mg、同5mg)
▽【重要な基本的注意】の項において、従前からの「尿路感染を起こし、腎盂腎炎、敗血症などの重篤な感染症に至ることがある」旨に加え、新たに「性器感染を起こし、外陰部および会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)などの重篤な感染症に至ることがある」旨の記載を追加する(膣カンジダ症等の記載は削除)
▽新たな【重大な副作用】:「外陰部および会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)」
(10)▼悪性黒色腫▼切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん▼根治切除不能または転移性の腎細胞がん―などの治療に用いる「ニボルマブ(遺伝子組換え)」(販売名:オプジーボ点滴静注20mg、同100mg、同240mg)
▽【重要な基本的注意】の項において、従前からの「甲状腺機能障害が現れることがあるので、投与開始前・投与期間中に定期的に甲状腺機能検査(TSH、遊離T3、遊離T4等の測定)を実施する」旨に加えて、新たに「下垂体機能障害および副腎障害が現れることがあるので、投与開始前・投与期間中は定期的に内分泌機能検査(TSH、遊離T3、遊離T4、ACTH、血中コルチゾール等の測定)を実施する」旨、さらに「必要に応じて画像検査等の実施も考慮する」旨の記載を追加する
▽新たな【重大な副作用】:「下垂体機能障害」(▼下垂体炎▼下垂体機能低下症▼副腎皮質刺激ホルモン欠損症―などの下垂体機能障害が現れることがあり、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与中止など適切な処置を行う)
(11)根治切除不能な甲状腺がん、切除不能な肝細胞がんの治療に用いる「レンバチニブメシル酸塩」(販売名:レンビマカプセル4mg、同10mg)
▽新たな【重大な副作用】:「間質性肺疾患」
(12)インフルエンザHAワクチン
▽新たな【重大な副反応】:「急性汎発性発疹性膿疱症」
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