うつ病治療に用いるデュロキセチン塩酸塩など、自動車運転などの際には十分な注意を―厚労省
2016.11.29.(火)
うつ病治療に用いる『デュロキセチン塩酸塩』(販売名:サインバルタカプセル)などの服用で、眠気やめまいなどが起こることがあるため、医師などは「これらの症状を自覚した場合には、自動車の運転など、危険を伴う機械の操作に従事しない」よう患者に指導する必要がある―。
厚生労働省は25日、以下の薬剤について、こういった内容を「使用上の注意」に盛り込むよう、日本製薬団体連合会を通じて製薬メーカーに指示しました。
▼デュロキセチン塩酸塩(販売名:サインバルタカプセル20mg、同30mg)【効能効果:うつ病、うつ状態、糖尿病性神経障害・線維筋痛症・慢性腰痛症に伴う疼痛】
▼ベンラファキシン塩酸塩』(販売名:イフェクサーSRカプセル37.5mg、同75mg)【効能効果:うつ病、うつ状態】
▼ミルナシプラン塩酸塩(販売名:トレドミン錠12.5mg、同15mg、同25mg、ほか)【効能効果:うつ病、うつ状態】
これらの薬剤の服用では眠気、めまいなどが起こることがあるため、厚労省はこれまで「自動車の運転など危険を伴う機械の操作を行わない」よう求めていました。
しかし今般、医師が患者に「副作用に関して適切な指導を行う」などの一定の条件を満たすことを前提として、自動車運転などを認めることとしたものです。
具体的には、「自動車の運転など危険を伴う機械を操作する際には十分注意させる」こと、さらに「眠気、めまいなどの症状を自宅した場合には、これらの操作に従事しないよう指導する」ことが、添付文書のうち【重要な基本的注意】に追記されます。
とくにデュロキセチン塩酸塩は、疼痛治療にも用いられており、医療現場では特段の留意が必要となります。
なお、医師と患者は次のような点を注意する必要があります。
(1)本剤を処方される患者が自動車運転などを希望する際に「医師が注意すべき点」
▼患者のうつ病などの精神疾患の状態が安定しているかよく観察する
▼用法・用量を遵守する
▼患者に対する本剤の影響には個人差があるので、個々の患者をよく観察する
▼めまい、眠気に代表される自動車運転などに影響を与える可能性のある副作用について、患者の自覚症状の有無を確認する
▼投与初期、他剤からの切り替え時、用量変更時には、患者にとって適切な用量で精神疾患の状態が安定しているか、特に患者の状態に注意する必要がある。そのため、自動車運転などの可否を判断する前に一定期間、観察することも検討する
▼多剤併用処方は避け、必要最小限のシンプルな処方計画を心がける。また、併用薬がある場合は自動車運転などへの影響を予測することが困難なため、場合によっては自動車運転などを避けるよう注意することが適切な場合もある
(2)本剤を処方された患者が自動車運転などを行う際に「患者が注意すべき点」
▼本剤の投与により、めまい、眠気に代表される自動車運転などに影響を与える可能性のある副作用が発生することがある
▼投与初期、他剤からの切り替え時、用量変更時などは上記副作用が発生しやすいため、可能な限り自動車運転などを控え、めまい、眠気や睡眠不足などの体調不良を自覚した場合は、自動車運転等を絶対に行わない
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