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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

MRI造影剤の「脳への残存」を危惧、検査の必要性を慎重に判断せよ—厚労省

2018.1.5.(金)

 厚生労働省は昨年(2017年)11月28日、MRI造影剤が脳に残存し、潜在的なリスクとなる可能性が否定できないとして、「MRI検査の必要性を慎重に判断する」「MRI造影剤にはガドキセト酸ナトリウムなどの環状型ガドリニウム造影剤を第一選択とする」よう、医療機関に注意を呼び掛けています((厚労省のサイトはこちら))。

 また、統合失調症治療薬のクロザピンには、胸膜炎を引き起こす可能性も明らかになりました。

 添付文書が改訂されたのは、次の3医薬品です。

(1)統合失調症治療薬の「クロザピン」(販売名:クロザリル錠25mgほか)

▼新たな【重大な副作用】:胸膜炎(感染を伴わない胸膜炎が現れることがあるので、▽呼吸困難▽発熱▽胸痛—などが現れた場合には速やかに胸部X線検査などを実施。異常が認められた場合には、感染症等との鑑別診断を行い、投与を中止するなど適切な処置を行う)

 
(2)磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI)における造影剤である「ガドキセト酸ナトリウム」(販売名:EOB・プリモビスト注シリンジ5mLほか)、「ガドテリドール」(販売名:プロハンス静注5mLほか)、「ガドテル酸メグルミン」(販売名:マグネスコープ静注38%シリンジ10mLほか)、「ガドブトロール」(販売名:ガドビスト静注1.0mol/Lシリンジ5mLほか)

▼【効能・効果に関連する使用上の注意】の項を新たに設け、「ガドリニウム造影剤を複数回投与した患者において、『非造影T1強調MR画像上、小脳歯状核、淡蒼球等に高信号が認められた』との報告や『脳の剖検組織からガドリニウムが検出された』との報告があるので、ガドリニウム造影剤を用いた検査の必要性を慎重に判断する」旨を追記する

 
(3)磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI)における造影剤である「ガドジアミド水和物」(販売名:オムニスキャン静注32%ほか)、「ガドペンテト酸メグルミン」(販売名:マグネビスト静注ほか)

▼【効能・効果に関連する使用上の注意】の項を新たに設け、次の2点を追記する

▽ガドリニウム造影剤を複数回投与した患者において、『非造影T1強調MR画像上、小脳歯状核、淡蒼球等に高信号が認められた』との報告や『脳の剖検組織からガドリニウムが検出された』との報告があるので、ガドリニウム造影剤を用いた検査の必要性を慎重に判断する

▽「本剤を含む線状型ガドリニウム造影剤は、環状型ガドリニウム造影剤(上記(2))よりも多く脳にガドリニウムが残存する」との報告があるので、本剤は環状型ガドリニウム造影剤の使用が適切でない場合に投与する

 
 なお、厚労省は同日に通知「ガドリニウム造影剤の「使用上の注意」の改訂の周知について(依頼)」を発出。ガドリニウムの脳組織への残存に伴う具体的な臨床症状の発現に関する副作用は報告されていないものの、「残存による潜在的なリスクの懸念も否定できない」として、▼ガドリニウム造影剤を用いた検査の必要性を慎重に判断する▼環状型(上記(2))を第一選択とし、線状型(上記(3))は環状型の使用が適切でない場合に投与する—旨を関係団体に要請しています(厚労省のサイトはこちら)。

 
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