健保組合の後発品割合は調剤ベースで2025年7月に93.2%に上昇、ただし依然として大きな地域差—健保連
2026.2.20.(金)
昨年(2025年)7月時点で、健康保険組合における後発医薬品の使用割合(調剤ベース)は93.2%となった。昨年(2025年)4月時点に比べて「0.8ポイント上昇」している。ただし地域格差は依然として大きい—。
健康保険組合連合会が2月17日に公表した「後発医薬品の普及状況」(数量ベース)【令和7年7月診療分】から、こういった状況が明らかになりました(健保連のサイトはこちら)。
医科・歯科・DPC等含めれば後発品割合は低くなり、地域格差などの課題はより深刻
Gem Medで繰り返し報じているとおり、医療保険財政は厳しさを増しており、今後、状況はさらに深刻になっていきます。
背景の1つとして、まず「医療技術の高度化」があげられます。医療技術の高度化は、述べるまでもなく我々患者・国民に大きな恩恵をもたらしますが、一方で医療費の高騰を招きます。脊髄性筋萎縮症の治療薬「ゾルゲンスマ点滴静注」(1億6707万円)、白血病等治療薬「キムリア」(3350万円)などの超高額薬剤の保険適用が相次ぎ、さらにキムリアに類似したやはり超高額な血液がん治療薬も次々に登場してきています。2022年度には月額1000万円を超える超高額レセプトが過去最高の1792件となりました。また、2023年12月には認知症治療薬「レケンビ」が保険適用され、2024年11月には新たな認知症治療薬「ケサンラ」が保険適用されました。
さらに、「3億円超の薬価」が設定された小児の「デュシェンヌ型筋ジストロフィー」(DND)治療に用いる「エレビジス点滴静注」の保険適用も承認されています(関連記事はこちらとこちら)。
同時に、高齢化の進展も医療費高騰に大きく関係します。人口の大きなボリュームゾーンを占める団塊世代が2022年度から75歳以上の後期高齢者となりはじめ、今年度(2025年度)には全員が後期高齢者となります。後期高齢者は若い世代に比べて、傷病の罹患率が高く、1治療当たりの日数が非常に長く、結果、1人当たり医療費が若年者に比べて3.66倍と高くなります(関連記事はこちら)。このため高齢者の増加は「医療費の増加」につながるのです(医療費は1人当たり医療費×人数で計算できる)。
このように医療費が高騰していく一方で、支え手となる現役世代人口は急速に減少していきます(2025年度から2040年度にかけて急速に減少する)。
少なくなる一方の支え手で、増加する一方の医療費を支えなければならず、医療保険制度の基盤が極めて脆弱になってきており、今後、ますます脆弱になっていきます。
こうした中では、「医療費の伸びを、我々国民が負担できる水準に抑える」(医療費適正化)ための取り組みが極めて重要です。政府は、▼平均在院日数の短縮による入院医療費の適正化(入院基本料や特定入院料、DPCの包括点数は「1日当たり」の支払い方式であり、在院日数の短縮が入院医療費の縮減に効果的である)▼後発医薬品(ジェネリック医薬品、後発品)の使用促進による薬剤費の圧縮(関連記事はこちらとこちら)▼病院の機能分化推進と連携の強化▼地域差(ベッド数、外来受療率、平均在院日数など)の是正▼保健事業の充実による健康寿命の延伸―など、さまざまな角度から医療費適正化に向けて取り組んでいます。
主に大企業の会社員とその家族が加入する健康保険組合全体でも後発品割合の向上を目指して取り組んでおり、このほど、昨年(2025年)7月時点では「93.2%」であることが明らかにされました(調剤分)。昨年(2025年)4月時点から0.8ポイント上昇しています。

健保組合後発品割合の推移(25年7月)
「2024年10月に導入された、長期収載品の選定療養費制度」(医療上の必要性がないにもかかわらず、後発品でなく、あえて高価な先発品を患者が選択した場合には患者に特別負担を求める仕組み)のスタートに伴って、後発品使用割合は昨年(2024年)10月に急上昇し、それが維持されていることが伺えます(関連記事はこちら)。
ただし、次のような2つの課題もあります。
(1)長期収載品の選定療養費導入後、後発品割合は「踊り場状態」に入っている
(2)都道府県別にみると依然として大きなバラつきがある(最も低いのは徳島県の90.2%、最も高いのは沖縄県の96.2%)

都道府県別の健保組合後発品割合(25年7月)
(1)の踊り場状態については「抜け出した」感も若干伺えますが、中長期的に眺めていく必要があります(短期的に増減はあっても、中長期的には大きな変動がないケースもままある)。
なお、これらの数字は「調剤」ベースであり、調剤・医科・DPC・歯科分の合計でみると「後発品割合は低くなる」ことから、(1)(2)の課題はより深刻に捉える必要があります。
後発品をめぐっては「一部メーカーによる不祥事」(関連記事はこちらとこちら)などに端を発し、供給停止・出荷調整が長引いています(A医薬品が出荷停止になると、代替薬であるA1医薬品のニーズが高まり品薄になる、そして次なる代替品A2医薬品のニーズが高まり・・・と連鎖していく、関連記事はこちら)。
状況は徐々に改善しているように見えますが、医療機関・薬局の努力では解決できない事情により「後発品割合を維持・向上することが困難」な状況は依然、継続しています。
厚労省は診療報酬上の手当て(供給不安になっている品目を加算算定のベースから除外することを認めるなど、関連記事はこちら)を行っていますが、「供給不安そのものを解消するための取り組み」が切望されています。
この点、「2026年度の薬価制度改革でも「医薬品の供給不安解消」に向けて、後発品を中心とした低薬価品の価格下支え等が行われます。
また(2)の都道府県間のバラつきは、協会けんぽ(主に中小企業の会社員とその家族が加入)でも同様で、例えば▼後発品割合が進んでいる地域(沖縄県など)の取り組み内容を参考にする▼医療機関や薬局での情報提供、働きかけを強化する―などの対応を強化していくことがさらに重要となってきています(関連記事はこちら)。
あわせて、上述のように「医療保険の安定的な運営確保」という重要テーマが根底にあることへの理解を関係者全員が深めることが必要不可欠です。
なお、社会保障審議会・医療保険部会では、次のような新たな「後発品使用推進目標」が固められました(関連記事はこちらとこちら)。これらの成果にも注目が集まります。
【主目標】
▽数量シェアを2029年度末までに全ての都道府県で80%以上とする(継続)—
【副次目標】
▽2029年度末までに、「バイオシミラーが80%以上を占める成分数」が全体の成分数の60%以上とする—
▽後発医薬品の金額シェアを2029年度末までに65%以上とする—
さらに、2026年度の診療報酬改定では「長期収載品の選定療養」における患者特別負担の拡大(現在は長期収載品と後発品との価格差の4分の1を特別負担としているところ、本年(2026年)6月より特別負担額を同じく2分の1に拡大する)が決まっています(関連記事はこちら)。
こうした制度改革の効果を今後、検証していくことが重要です。
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