医療用医薬品の出荷状況(通常、限定、停止)は成分・製品で大きく異なり、時間の経過で変化(悪化・好転)する点に留意—厚労省・日薬連
2024.11.8.(金)
厚生労働省が11月6日、同日(本年(2024年)11月6日)現在の「医薬品供給状況にかかる調査」結果を公表しました(厚労省サイトはこちら(エクセルファイルをダウンロードし、「品目別の出荷状況」を把握できる))。
一部後発品メーカーの不祥事に端を発する医薬品の欠品・品薄などが続いています。状況は徐々に改善してきていますが、医療現場では診療に支障が生じる事態にまで至っています(関連記事はこちら)。
医薬品メーカーで構成される日本製薬団体連合会(日薬連)も事態を重く受け止めており、定期的に「医薬品供給状況にかかる調査」を行い、その結果を公表するとともに、厚労省に報告しています。今般、本年(2024年)11月6日時点の「医薬品供給状況にかかる調査」結果が公表されました。
例えば、高血圧症治療薬の「テルミサルタン」(後発品)に注目してみると、64製品のうち▼60品目が「通常出荷」(10月23日時点と比べて2品目減)▼2品目が、「限定出荷」(同2品目増)▼2品目が、品質トラブルによる「供給停止」(同増減なし)—という状況です。
本成分については、供給状況は「相当程度改善してきてものの、再び悪化している」ように見えます。このように、成分・製品ごとに状況は異なっており、また、時間の経過とともに状況は変化しており、「自院の採用製品について出荷調整などは行われていないか、調整が行われ入手困難な場合には、どの代替薬が比較的潤沢か」などを確認する必要があります。このリストも参考に、卸業者と納品調整を行うことなどが必要です。
なお中央社会保険医療協議会では、来年度(2025年度)の薬価中間年改定に向けた議論を続けています(中間年改定が実施されるかどうかはまだ決定されていないが、実施が決定された場合に速やかに実施できるような準備が進められている)。そこでは、2024年度薬価制度改革の柱となった「医薬品の安定供給、薬価下支え」と「国民皆保険維持」とのバランスを考えて、中間年改定の在り方を検討することが重要との方向で議論が行われています。
【関連記事】
本年(2024年)10月23日時点の医療用医薬品・出荷状況(通常、限定、停止)を公表—厚労省・日薬連
2025年度薬価中間年改定、「医薬品の安定供給、薬価下支え」と「国民皆保険維持」とのバランスをどう考えるか—中医協・薬価専門部会