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インフルエンザ治療薬、異常行動に十分注意した処方を!タミフルは未成年者に解禁―厚労省

2018.8.22.(水)

 インフルエンザウイルス感染症治療薬については、因果関係は明らかでないが、種類に関わらず「小児・未成年者では異常行動が生じる可能性がある」点に留意し、患者家族に「転落等の防止」措置を講じることなどを十分に説明した上で処方することが求められる。これまで未成年者には原則として処方を控えることとしていたタミフル(オセルタミビルリン酸塩)についても、こうした留意点を踏まえて未成年者に処方することを認める(警告を削除)—。

厚生労働省は8月21日に、こうした内容を盛り込んだ通知「抗インフルエンザウイルス薬の『使用上の注意』の改訂について」を発出。医療現場においては、リスクを十分に踏まえた処方を行うとともに、患児の家族に適切に情報提供を行うことが求められます(厚労省のサイトはこちら)。

 今般、使用上の注意が改訂されたのは次の6成分です。

(1)アマンタジン塩酸塩」(販売名:アテネジン錠、シンメトレル錠、ほか後発品多数)[A型インフルエンザ感染症治療のほか、パーキンソン症候群の治療、脳梗塞後遺症に伴う意欲・自発性低下の改善にも用いる]
(2)オセルタミビルリン酸塩(販売名:タミフルカプセル、タミフルドライシロップほか、後発品のオセルタミビル)[A型またはB型インフルエンザウイルス感染症の治療、およびその予防に用いる]
(3)ザナミビル水和物(販売名:リレンザ)ラニナミビルオクタン酸エステル水和物(販売名:イナビル吸入粉末剤)[A型またはB型インフルエンザウイルス感染症の治療、およびその予防に用いる]
(4)バロキサビル マルボキシル(販売名:ゾフルーザ)[A型またはB型インフルエンザウイルス感染症の治療に用いる]
(5)ファビピラビル(販売名:アビガン錠)[他の抗インフルエンザウイルス薬が無効・効果不十分な新型または再興型インフルエンザウイルス感染症の治療に用いる]
(6)ペラミビル水和物(販売名:ラピアクタ点滴静注液)[A型またはB型インフルエンザウイルス感染症の治療に用いる]

 
 これらインフルエンザウイルス感染症治療薬については、とくに小児・未成年男性で「因果関係は不明であるものの、異常行動が報告されている」ことを踏まえ、【使用上の注意】の[重要な基本的注意]の項(アマンタジン塩酸塩では「『A型インフルエンザウイルス感染症』に本剤を用いる場合」の記載について、次のような内容に改められます。

抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無・種類にかかわらず、インフルエンザ罹患時には、異常行動を発現した例が報告されている

▼異常行動による転落等の万が一の事故を防止するための予防的な対応として、(1)異常行動発現のおそれがある(2)自宅で療養する行う場合、少なくとも発熱から2日間、保護者等は転落等の事故に対する防止対策を講じる―ことについて患者・家族に説明する

▼転落等の事故に至るおそれのある重度の異常行動については、「就学以降の小児・未成年者の男性」で報告が多く、「発熱から2日間以内の発現」が多い

 
 また新たな[重大な副作用]として、「異常行動」を追記し、「因果関係は不明であるものの、インフルエンザ罹患時には、転落等に至るおそれのある異常行動(急に走り出す、徘徊する等)が現れることがある」旨を注意喚起しています。

 
このうち(2)のオセルタミビルリン酸塩(タミフル等)では、これまで「警告」として「10歳以上の未成年患者で、因果関係は不明であるが、異常行動を発現し、転落等の事故に至った例があるため、合併症、既往歴等からハイリスク患者と判断される場合を除き『原則として本剤の使用を差し控える』」旨が記載されていますが、今般、削除されており、当該患者においても、上記の注意事項等に十分留意した上でタミフルを処方することが可能となります。

 
なお、医療現場におかれては、患者の家族等に対し、事故防止のため、発熱から少なくとも2日間は、就寝中を含めて患者が容易に住居外へ飛び出さないよう、次のような対策をとるよう適切に説明することが求められます。

▼玄関や全ての部屋の窓を確実に施錠する(内鍵、チェーンロック、補助鍵がある場合は、その活用を含む)
▼ベランダに面していない部屋で寝かせる
▼窓に格子のある部屋がある場合は、その部屋で寝かせる
▼一戸建ての場合は、できる限り1階で寝かせる

 
 
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