エクリズマブ(遺伝子組換え)製剤、二次性血栓性微小血管症の患者には有効性・安全性が未確立―厚労省
2019.2.13.(水)
エクリズマブ(遺伝子組換え)製剤(販売名:ソリリス点滴静注)は、現在、「非典型溶血性尿毒症症候群における血栓性微小血管障害の抑制」に効能・効果が認められているが、関連学会によれば、「血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy:TMA)の原因となる他の病態によるTMA(二次性TMA)」は、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)には含まれず、こうした点を踏まえた使用が求められる―。
厚生労働省は2月8日に通知「『使用上の注意』の改訂について」を発出し、こうした情報提供を行いました(厚労省のサイトはこちら)。
エクリズマブ(遺伝子組換え)製剤(販売名:ソリリス点滴静注300mg)には、現在、(1)発作性夜間ヘモグロビン尿症における溶血抑制(2)非典型溶血性尿毒症症候群における血栓性微小血管障害の抑制(3)全身型重症筋無力症(免疫グロブリン大量静注療法または血液浄化療法による症状の管理が困難な場合に限る)―という効能・効果が認められています。
このうち(2)の「非典型溶血性尿毒症症候群」(atypical hemolytic uremic syndrome:aHUS)について、日本腎臓学会と日本小児科学会が作成した「非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)診療ガイド2015」によれば、▼先天性、および後天性の補体制御異常によるaHUSのみを「aHUS」または「補体関連HUS」とする▼血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy:TMA)の原因となる他の病態によるTMAを「二次性TMA(その他のTMA)」とする―と定義されています。つまり、後者の「TMAの原因となる他の病態によるTMA(二次性TMA(その他のTMA))」は、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)には含まれないこととされているのです。
これを踏まえ、厚労省は今般、本剤の[効能・効果に関連する使用上の注意]のうち、「非典型溶血性尿毒症症候群における血栓性微小血管障害の抑制に関する記載」について、次のような見直しを行うよう製薬メーカーに要請しています。
【従前】
本剤の適用にあたっては、日本小児科学会及び日本腎臓学会の診断基準等を参考に、非典型溶血性尿毒症症候群と診断された患者を対象とすること
↓
【改訂内容】
補体制御異常による非典型溶血性尿毒症症候群(「非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)診療ガイド2015」(日本腎臓学会・日本小児科学会)を参考にすること)の患者に使用すること。二次性血栓性微小血管症(二次性TMA)の患者に対する本剤の有効性・安全性は確立していない(使用経験がない)
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