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GemMed塾診療報酬改定セミナー2026

ロボット支援下手術をハイボリュームセンター(年間200例以上実施)に集約し、質の高い効率的な手術提供を目指す

2026.3.19.(木)

厚生労働省が3月5日、2026年度診療報酬に関する関係告示の公布・通知の発出を行いました。あわせて動画やパワーポイントスライドを用いた、分かりやすい解説も行われています。

2月13日の答申時点では明らかにされていなかった詳細な基準や要件の内容が示されています。Gem Medでは、順次、告示・通知内容をお伝えしています。

●厚労省の2026年度改定に関するサイトはこちら

今回は、「高度急性期病院におけるロボット手術の評価の新設」について中心に眺めてみましょう(関連記事はこちら)。

ロボット支援下手術のハイボリュームセンターを評価する新加算を創設

Gem Medで繰り返し報じているとおり、2026年度診療報酬改定では「外科医、外科症例の集約化」を促進する対応が盛り込まれています(関連記事はこちら)。

●地域医療体制確保加算において「若手医師数が減少し、かつ医療提供体制の確保が必要とされている診療科の医師を対象として勤務環境・処遇改善を行うとともに、研修体制を整えている医療機関」の新たな評価区分(地域医療体制確保加算2、加算1よりも100点高い720点)を設ける(入院料の加算)

●地域の基幹的な医療機関において「高度手術を実施する体制を整備し、外科医の勤務環境改善を図った上で、当該手術を実施した場合の加算」(外科医療確保特別加算、手術料に15%の上乗せ医)を新設する(手術料の加算)



後述するように、外科医・外科症例の集約化によって「外科医の働き方を改善し、外科医確保を目指す」、「症例の集約化による医療の質向上を目指す」、「症例の集約化による病院経営の安定化を目指す」などの効果が出ることを期待するものです。

この点に関連して、2026年度診療報酬改定では「高度急性期病院におけるロボット手術の評価」を新設します。

(新)内視鏡手術用支援機器加算:1万5000点

後述する施設基準に合致する医療機関で、次の術式を「内視鏡手術用支援機器を使用して実施する」場合に算定できます。

(対象手術)
・K374-2【鏡視下咽頭悪性腫瘍手術(軟口蓋悪性腫瘍手術を含む)】
・K394-2【鏡視下喉頭悪性腫瘍手術】
・K502-5【胸腔鏡下拡大胸腺摘出術】
・K504-2【腔鏡下縦隔悪性腫瘍手術】
・K514-2【胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術】の2「区域切除」および3「肺葉切除又は1肺葉を超えるもの」
・K529-2【胸腔鏡下食道悪性腫瘍手術】
・K529-3【縦隔鏡下食道悪性腫瘍手術】
・K554-2【胸腔鏡下弁形成術】
・K555-3【胸腔鏡下弁置換術】
・K655-2【腹腔鏡下胃切除術】の3「悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの)」
・K655-5【腹腔鏡下噴門側胃切除術】の3「悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの)
・K657-2【腹腔鏡下胃全摘術】の4「悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの)」
・K674-2【腹腔鏡下総胆管拡張症手術】
・K695-2【腹腔鏡下肝切除術】
・K702-2【腹腔鏡下膵体尾部腫瘍切除術】の1「膵尾部切除術の場合」
・K703-2【腹腔鏡下膵頭部腫瘍切除術】
・K719-3【腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術】
・K740-3【腹腔鏡下直腸切除・切断術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの)】
・K755-2【腹腔鏡下副腎摘出術】
・K773-5【腹腔鏡下腎悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの)】
・K773-6【腹腔鏡下尿管悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの)】
・K778-2【腹腔鏡下腎盂形成手術】
・K803-2【腹腔鏡下膀胱悪性腫瘍手術】
・K865-2【腹腔鏡下仙骨腟固定術】
・K879-2【腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術】(ただし、子宮体がんに限る)



本加算の施設基準は次のように設定されています。

▽上記の手術を合計で「年間200例以上」実施している(1月から12月までの実績)

▽麻酔科を標榜している

▽常勤の麻酔科標榜医を配置している

▽緊急手術が可能な体制を有している

▽常勤の臨床工学技士を1名以上配置している

▽当該療養に用いる機器について、保守管理の計画を作成し、適切に保守管理をしている

▽内視鏡手術用支援機器を用いた手術について、関連学会が行うレジストリにおける手術 患者の長期予後情報の収集に参加している

▽内視鏡手術用支援機器を用いた手術の前年の実績(症例数および平均在院日数)につい て、ウェブサイトに掲載している(来年(2027年)5月までの経過措置あり)

ロボット支援下手術をハイボリュームセンターに集約していく加算を新設



施設基準の1つ目で「ロボット支援下手術を年間200例実施する」こととあり、いわゆるハイボリュームセンターへのロボット支援下手術集約を狙うものと見ることもできそうです。ロボット支援下手術については「鉗子等が高額である」などの指摘があり、ハイボリュームセンターに集約することで効率化を促す(一般に、症例数が増えれば鉗子等の購入量が多くなり、価格交渉がしやすくなると想定される)とともに、加算による経済的支援を行うものです。

なお、「ハイボリュームセンターでない施設で高額なロボットを導入してしまった場合には、そのコストを今後、どう賄っていくのかを別に検討する必要がある。ロボット支援下手術症例はハイボリュームセンターに集約されていくので、必然的に、こうした施設ではロボットの稼働が低くなると考えられる。古典を病院の自助努力に委ねるのか(ロボットをハイボリュームセンターに売却するなど)、行政が何らかの手を差し伸べるのか、注目する必要がある」と指摘する識者も少なくない点に留意したいところです。



「外科は激務である」ために医学生や若手医師が敬遠することがあり、▼1施設当たりの外科医数を多く確保する→▼「急性期医療を提供する機能、急性期病院」を集約化・重点化していく—ことで、「外科医の負担軽減→外科医の確保・定着→医師の診療科偏在の是正」につながると医療提供サイドは強く提言しています(関連記事はこちらこちらこちら)。

また、外科医療(とりわけ高度な外科医療)を主に提供する急性期病院の集約化・重点化方向には▼病院経営の維持・向上▼医療の質向上—などの効果も期待できます(関連記事はこちら)。

とりわけ「医療の質向上」については、消化器外科学会から▼高度な消化器がん手術の成績は症例数と相関している▼ハイボリュームセンター(大腸がん手術件数が年間50件以上など)の方が、それ以外の手術よりも術後成績が良い—との、脳神経外科学会から「膠芽腫やグリオーマなどの脳腫瘍治療において、症例の基幹施設への集約化によって治療成績の向上が期待できる」とのエビデンスが示されています(関連記事はこちら)。

症例数が多いほど(集約化が進むほど)高度な消化器がんの治療成績が良くなる

消化器外科では「高度手術の集約化・重点化」を積極的に進める方針

脳腫瘍の分類

症例数が多いほど(集約化が進むほど)膠芽腫の治療成績が良くなる1

症例数が多いほど(集約化が進むほど)膠芽腫の治療成績が良くなる2



さらにGem Medを運営するグローバルへルスコンサルティング・ジャパン(GHC)と米国メイヨークリニックやスタンフォード大学との共同研究でも「症例数と医療の質(例えば医療安全)は相関する」ことが明らかになっています。

人工膝関節置換術における症例数と術後合併症の関係



こうした点を踏まえ、別に議論されている「新地域医療構想」においても、急性期拠点機能病院については「人口20-30万人につき1か所程度」に集約化する方向が示されています。これを踏まえ、2026年度診療報酬改定では「病院の救急搬送件数・全身麻酔手術件数を施設基準に盛り込んだ急性期病院一般入院基本料(急性期A・B)の創設」なども行われます。



あわせて、医学会からは「医師の働き方改革」「外科の評価充実」「医師へのインセンティブ」(業務量などに見合った給与の確保等)などを進めてほしいとの声も出ています。例えば「手術点数等が引き上げられても、現場医師の給与にまでは反映されてこない」という問題があります。

こうした状況を総合的に勘案し、2026年度の診療報酬改定では上記のような対応(地域医療体制確保加算2、外科医療確保特別加算、内視鏡手術用支援機器加算の新設)が行われます。

これらの加算を取得するために、一定程度の「外科医、外科症例(とりわけ高難度症例)の集約化」が進むと期待され、上記の問題も解消に進むと期待されます。

この点、地域の急性期病院がてんでんバラバラに「加算取得のために外科医、外科症例を獲得しよう」と動けば、症例が分散し「医療の質向上」「医師の働き方改革」「病院の経営安定」という目的が達成できなくなってしまいます。

「個々の病院で点数取得を検討する」のではなく、「地域の医療関係者が膝を突き合わせて『どの病院に外科医・外科症例を集約するのか』を協議し、合意を得る」ことが極めて重要となってきます。

「自院の経営」を考えることは極めて重要ですが、より大所高所に立ち「外科医の確保、定着」「外科手術の成績向上」(=医療の質の向上)を目指し、地域ごとに「どの病院に外科医・外科症例を集約するか」を十分に話し合い、関係者が納得したうえで決定することが重要でしょう。

その際、新点数を取得しない病院への配慮も必要です。例えば「A病院に外科医・外科症例を集約するが、病状が安定した後には極めて速やかに他の医療機関に転院させる。結果、病床の回転率が高まり、大幅なダウンサイジングが可能となるため、病床削減にも力を入れる」ことなどを明確化することなどが強く求められます。

逆に、こうした協議が整わなければ「新点数を取得できない」と考えることができます。

このように考えていくと、2026年度の診療報酬改定は「地域での機能分化論議を強く推し進める」ものと捉えることができます(急性期A・B、急性期総合体制加算についても、同様に地域での話し合いで取得病院を選定することが必要となる)。

あわせて「超高額な設備整備、病院の建て替え」などについても、地域の医療提供体制の「将来」を見据えて、地域の医療関係者・行政と事前に協議をしたうえで決定することも重要でしょう(今後は「超高額機器を購入したが、まったく稼働しない」という事態が生じかねない)。



なおGem Medではオンラインの改定セミナーで詳細な解説も行っています。是非、ご活用ください。



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